99式’飛5号受信機’ の素性とは

§1 イントロダククション

飛5受信機をインタネットで検索をしたところ、米国に1台イギリスに1台しかヒットしません。
米国のものは、フロリダのタンパベイのラルゴにあり、かなり良いコンディションの様子ですが動作は不明です。

またイギリスにある物は、南方戦線よりの引き上げ品のようで、真空管が抜けていたりシールドケースが付いてはいません、近々動作すると記載されています、内部は比較的きれいです。
URL http://www.qsl.net/g4bxd/japanese.htm

さて、飛5号受信機を我が家へ搬入し一通りの確認を済ませました

(保存状態はかなり良く70年モノとは思えない状態 この辺りは本文参照願います)

ヒーターは球のピン配置で判りますのでヒーター電圧はDC12.6Vと予想し、恐る恐る電源へ接続してヒーターの点灯は確認しました。
しかし+B電圧を加えるポイントがなかなか解らず、全体の動作確認は全体の回路が判明するまでペンディングとしました。

回路図が入手出来なければ、配線を1本ずつ辿ることで、回路の解析は何とかなるだろうと考えていたのですが、JR1KQU/JA2OZE(加藤さん)なら何か情報をお持ちと思いご相談をさせていただきました。
即答で旧日本軍の無線機のことはJA1BA(石川OM)だとご教示頂き、さらに連絡先までお教えいただきました
JA1HU(伊藤OM)からもJA1BAさんが旧日本軍の無線機の知見はNo1と太鼓判でした。

早速、石川OMに連絡をさせて頂き、5月の末にご自宅に訪問し資料と共に貴重なお話を拝聴出来ました。

01_飛五号無線機諸元

<99式’飛5号受信機’ の諸元>

02_飛五号無線機回路図

<99式’飛5号受信機’ の回路図>

03_飛五号無線機部品表

<99式’飛5号受信機’ の部品表>

古い無線機に関する貴重な資料と深い造詣をご教示頂き、深く感謝をしております。

更に、魅惑の軍用無線機〈第一巻〉に掲載されている日本軍を含む膨大な無線機が、調布の電気通信大学に保管されているので後日、案内をしていただける事となりました。

私が開局した1965年(戦後20年)は、米軍払い下げの無線機はアマチュア無線に結構使われていて、私も近くの先輩から譲って頂いたBC-342を修理して交信に使用していました。
BC-610のチューニングBOXを万世橋近くのジャンク屋で購入し807シングルのAM送信機を作りました。
内部には素晴らしいバリコンが入っていました。
現在もほとんど当時のままで、時々使用し、懐かしさを楽しんでいます。
当時高校1年生だった私は、旧日本軍の無線機はまるで知りませんでした、旧日本軍の無線機か米軍の無線機かどちらかを選べと言われれば米国製を選択したことでしょう。

続く…

旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる CQ誌2015年10月号 掲載記事の補足

§0 最初に

71年前 (昭和19年製造)
旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる
CQ誌2015年10月号 掲載記事の補足
JA0BZC 矢花 隆男

CQ誌2015年10月号に「旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる」を寄稿させて頂きました
紙面の都合で、掲載出来なかった内容を補足として、このブログで公開することにしました
今回の投稿記事については、戦前の日本の無線技術をデータとして残したいとの考えもあります
執筆の際に計測したデータと集めた各種資料を興味がある方々に見て頂くことが、次の世代への技術継承に繋がると考えています。
ご興味のある方は、CQ誌2015年10月号に掲載された「旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる」の本文とこのブログの記事補足及び資料をお読み頂ければ幸いです

なおこの後数回、このブログに投稿させて頂きますので、よろしくお願いします

私は真空管が好きで、送信機や受信機を何十台か趣味として製作して楽しんいます、制作内容を掲載していますので下記のアドレスを是非アクセスして見て下さい
http://mamegoro6.jalbum.net/ja0bzc/

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予告!! あの JA0BZC が当ブログに登場

今週のテーマ予告である
当ブログでも少し名前が出ていた、大先輩のJABZC矢花氏から当ブログに記事を掲載していただけることになったのである

内容は、CQ誌2015年10月号に掲載された、「日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる」の補足記事である
CQ誌に掲載された内容以外の、エピソードと資料を当ブログで公開していただけるのは、管理人としてとても誇らしいことでもある

矢花氏は様々な活動をされており、様々な分野で多大な功績を残している
アマチュア無線機器を始めとした機器類の自作の数々は圧巻である

特に私の目を釘付けにしたのは1978年頃の制作と思うが、SSTV(アマチュア無線での静止画電装)のスキャンコンバータの自作である
いわゆるマイコンの黎明期(パソコンに進化する遥か前)に、テレビカメラのNTSC信号を、自作回路で画像フレームをダイナックメモリに展開し、そのメモリデータを変調して送受信を行う装置を自作していたのだから、恐れ入るのである
NTSC信号から、RGBそれぞれのプレーンに変換する回路をディスクリートで設計出来る超人でもある (この辺りは別途取材してご報告したいのである)

矢花氏とは偶々アマチュア無線で交信させて頂いたことがご縁で、その後もお付き合いをさせて頂いている
個人的には師匠なのであるが、ご本人は弟子は要らないとのことなので、大先輩とさせて頂いているのである

私の古い機械たちも矢花氏の知見と部品がなかったら本当に粗大ゴミである

特に、寝る場所よりも真空管達のほうが面積を取っていると思われる矢花邸で、無いものはなさそうでもある

是非、大先輩である矢花氏の知見を、このブログを見て頂いている皆様と共有出来れば嬉しいのである

FT-101E トラッキング調整 をしてみる

何気に、7MHzを聴いていた所、大先輩の矢花氏がオンエアしていたのであった
呼んで見ようとファナル調整をした所、その周波数でPLATEつまみを回してもDIP点が出ないのである
そんなことしている間に、呼出の機会を失ってしまった (>_<)

他の機械(FT-101Z)で呼ぼうと思ったのであるが、これも電源入れてファナル調整していたら数分は掛かってしまうのである
終段が真空管の機械は現在の機械と異なりすぐにオンエアは出来ない、またトリマコンデンサなどの経年変化で調整点がズレることもある
前にも書いたが、ビンテージマシンを使っていると良くあることであろう

気を取り直して、久しぶりにFT-101Eのトラッキング調整をしてみることにしたのである

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<トラッキング調整調整は裏面のトリマデッキで行う>

FT-101のトラッキング調整とは、いわゆるギロチンと呼ばれる3つのμ同調を、アンテナ同調・送受信混合・トライバ同調を合わせる作業である

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<FT-101の ギロチンと呼ばれる3連μ同調ユニット>

これも慣れていると簡単に出来るのだろうが、数年に一回程度しか行わないので、イザやるとなると中々面倒である
必要にモノは信号発生器(内蔵マーカでも可)出力計そしてダミーロードである
特に100W機の場合、ダミーロードは熱容量に余裕がないと大変なことになる

FT-101Eの場合は、28.5MHz・21MHz・14MHz・7MHz・3.5MHz・1.9MHzそして7MHz・14MHz・21MHzの順番で行う
最初の28MHzはドライバ同調は無いが、この周波数できちんと調整をすることが大切である
ちなみに今回はファナルの中和も調整してみた

周波数帯毎にVFOの位置は最小値の0KHzで調整し、中点250KHz・最大点500KHzで確認をする

調整内容は各回毎に以下の内容を行う
1. PRESELECT・PLATE・LOADを合わせる
2. 受信最大点にANTトリマを合わせる
3. 送信出力の最大点にMIXERトリマを合わせる
4. 送信出力の最大点にDRIVER PLATEトリマを合わせる(28MHzは無い)

中和の調整 (FT-101Eの取説記載内容)
28.5MHz帯で上記調整がされていることが前提で以下の内容を実施する

1.28.5MHzでPRESELECT・PLATE・LOADを合わせる
2.出力を70%位に絞る
3. PLATEつまみがDIP点(IP電流が最小値になるポイント)で、出力が最大になる所に中和バリコンを合わせる

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<黄色の円の所が、中和調整バリコンである>

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<中和調整は裏面から行う 高圧部分なので金属ドライバは厳禁である>

この調整は終段管を取り替えた時に行う調整であり、以外とシビアであるので交換時以外は触らない方が安全である
ちなみに中和調整とは、真空管内のプレート・グリッド間の容量結合を、逆相の信号で打ち消すための逆相信号のレベル調整である 終段管の場合この調整がズレると異常発振などで終段管を破損することもある

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<妖しく輝く、6JS6C終段真空管>

調整後は綺麗にDIP点も出る様になったのである
我が家のメイン送信機である、まだまだ頑張って頂くのである

FT-817ND 数少ない新品購入機

新品購入しないと、メーカさんや販売店さんの活性化につながらない、やっばりお布施は不可欠である
メーカさんには是非新品で購入したくなる商品を沢山開発して欲しいのである (古い粗大ゴ○を処分しろとは言わないで下さい)

私は約2年前にFT-817NDを新品で購入させて頂いた
理由は、”欲しかった”からである
”欲しかった”をもう少し掘り下げると、小さな筐体で1.9MHz~430MHz帯までオールモードで送受信出来ることである そして出力5Wは私的には必要十分であったのである
それと、我が家では唯一の新スプリアス対応機でもある

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<TS-700GⅡとFT-817ND>

FT-817無印が発売されてから10数年経過しているが、この手の機器で10年以上継続販売出来ていることも、素晴らしいことである
メーカさんには、半導体屋さんから’この部品が製造中止なります、最終ロットは○○月まで確定頂き発注単位は○千個’です とかのプレッシャーも入ったのであろうと想像する
部品在庫のプレッシャーの中で販売継続しているメーカさんには頭が下がるのである

さてFT-817NDであるが、最初の目論見は出張の時にカバンに入れて出張先で遊ぶことであったが、夜しか遊べないので結局3.5MHz帯かU/Vになってしまう、結果として数回出張のお供になっただけである
BC帯の受信ならスマホのラジコの方が遥かに具合が良いし、ホテルに戻る頃は短波の海外放送も大体終わっている
で、その時間帯に付属ホイップアンテナでU/Vを聞いても殆どスカスカ状態なのである
気合を入れて、八木やヘンテナ位分解して持っていけば良いじゃんと言われるが、出張なので荷物は増やせない

その昔、ハンディ機と言うかショルダーバック機であった中古TR-2200に、単3乾電池を8本をぶち込んで良く電車のデッキから遊んだものであった (高校生には、あっと言う間に無くなる電池代だけでも大変な金額であったが...)
あの頃は、空きが無いくらいに混んでいたが、夜でも話し相手は沢山いたのであった
寂しい限りである それはさておき…

後は数回、お仲間でのバーベキュー大会でワイヤアンテナで遊んだ位である
これはこれで、5W+ワイヤアンテナは馬鹿にできないであるが...

じゃぁ、使わないんだったら くれ!! なんて言ってはいけないのである
このFT-817NDは古い機械達を動かすときに、モニタ機として大変重宝しているのである
従って、私のFT-817NDのBNC端子には殆どダミーロードが繋がっている
電池でも動作するし、まだ販売継続中の現役機である 信頼性は抜群である
ビンテージマシンが増えてくると、このFT-817の利便性が活きて来るのである

只一点だけ.... 筐体とのアンバランスなマイクは頂けない
メーカさんの色々な都合はあると思うが、コンパクトなマイクにして欲しかったのである

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グリッドディップメータを分解してみる

普段現役で使用しているグリッドディップメータである
プローブコイルの取付位置によって、たまに発振しないことがあるので分解してみた

それこそ、50年モノの機械なので年季も半端ではないのである
角は塗装も剥がれ、メータも換装している

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中身は二連のエアバリコンと6AK5真空管が鎮座している
ネオン管は、テスト発振器として使う際の変調用である
変調を掛けると、ビィィ...と言う変調音がするので、信号源はこのディップメータと判断出来る
とても、素晴らしい知恵である

エアバリコンの端子が、プローブコイルのソケットにハンダ付けされている
プローブコイルのソケットは、昔懐かしいFT-243ソケットである(これが今は入手難である)

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<FT-243ソケットとバリコンの端子>

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<自分で巻いたプローブコイルとFT-243水晶>

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<FT-243水晶を挿してみたところ>
従って、FT-243の水晶発振子を挿すと、その周波数で発振するので水晶発振子の確認も出来る
ちなみに、欠品のプローブコイルを巻くときにプラグ用として、調子の悪いFT-243水晶を分解して下部を切ってソケットとして使用している

<FT-243水晶まで頂戴した大先輩の矢花氏には感謝の念が絶えないのである>

今回はこのソケットの端子の嵌合が甘くなってプローブコイルとの接触不良が偶に起きるようなので、接点を軽く磨き、バリコンとの端子を再ハンダしてみる

まだまだ、このグリッドディップメータには現役で活躍して頂くのである

ビンテージマシン を使う メリット と デメリット

今更、何で古い機械を使うの?  それって殆ど粗大ゴ○でしょ と聞かれることがある
自分自身への自問を含めて、メリットとデメリットをまとめてみた

ここで言う、古い機械とは1980年以前の機械としておく
何故1980年以前なのかは私の個人的な嗜好による所が大きいのであるが、1980年位までがVFO搭載機が販売されていたからである
VFOからPLLへの変遷は、別次元の周波数安定度と送受信周波数の直読による操作の利便性が大きく向上した
更に、いわゆる’マイコン’制御により周波数のメモリやスキャンなどの多機能化も大幅に進んだ
従って1980年代後半の機械は、整備さえされていれば現代でも十分に使用出来る操作性を持っている

しかしながらである
趣味で使用する機械なので、自分の思い入れは大きいと思う
その昔、憧れていた機械を使ってみたいとか、あの頃の操作感が懐かしいとか色々とあると思うのである

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<FT-101E(上) FT-101ZSD(下)  同じ名前だが異なる別マシーン 1970年代の憧れマシンであった>
この辺は、オールドカーの趣味と似ているのではないだろうか
オールドカーも、現在のクルマからすると、エンジンを始動するのにチョークレバーを引いたり、窓だって手動で開け閉めしたり、走る際には常に水温等に気を配ったり、燃料にはバルブを保護するために有鉛ガソリンを入れたり、相当の手間がかかる
メンテナンスも、整備工場真っ青の設備を自分で保持してメンテナンスをしている人もいる
それでも自分の思い入れのあるクルマで走ることが喜びなのであろう

初代セリカ

<懐かしのセリカ 1970年代の憧れた旧車である>

古い無線機も同じで、VFOのQRH(送受信の周波数変動)や送信時の同調調整、自分の発射している電波の質など運用時に気にすることは多い
極めつけは不具合時の対応であり、メーカ修理は殆ど期待出来ないし、修理可能な業者にお願いした場合は結構な金額になったりする
そもそも、当時の設計者も40年以上も使われるなんてことは考えもしなかったと思う

さて、前置きが長くなったがメリット・デメリットを整理してみたい

メリット
1.思い出(思い入れ)がある機械を使える
2.機械のデザインが好き
3.それを持つことで優越感を味わえる
etc..

デメリット
1.機械自体の信頼性が乏しい
2.操作が面倒で機能が少ない
3.真空管使用機種は電源投入から運用まで時間がかかる
4.変更申請に保証認定が必要
5.メーカのメンテナンスを殆ど受けられない
6.純正補修部品の入手が難しい
7.運用とメンテナンスはそれなりの知識・技術が必要となる

正直言って、運用面だけ考えるとデメリットの方が多い
ビンテージマシンを使って、メジャーコンテスト等で上位を目指す等は厳しいと思う
最新の機械は、最新の技術を駆使されて開発されているので、操作性・選択度・感度・混信対策・不要輻射などの基本性能は比べるまでもない

逆に考えると、普段はそんなにシビアなことに勤しんでいる機会は少ないと思うのである

のんびりと、自分の気に入った、思い入れの深い機械で、遊ぶのも趣味としては悪くはないと思う
私も、まだまだ駆け出し者であるが古い機械を楽しんで行きたい1人である

このブログも、古い機械を楽しむ方々のコミニケーションの場となることを目指しているのである

今後も皆様のご支援をお願いいたします

TS-700GⅡ の キャリアバランス 調整

件のTS-700 GⅡである
いわゆる、キャリア漏れを測定してみた
調整前は10dB程度(10W出力で1W程度のキャリア漏れ)で、とてもSSB送信機としての体を成していないのであった

測定は、USBモードで1.5KHzの正弦波を入力させた状態で、キャリアと信号波の電力比を測定した

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<調整後のキャリアと信号波 中心が1.5KHzの信号波 左右の山は左がキャリア分[右はイメージ]、信号との信号差は約45dB>

昔の機械では、SSB信号はDBM(DoubleBalancedMixer)と呼ばる回路に、キャリア信号と音声信号を入力し、一旦AM信号からキャリア分を除去した信号を生成する
その後で、2.4KHzの帯域フィルターを通して、片方だけの側波帯を通過させることで、SSBの信号を生成している
(最近の機械はDSP処理で信号を生成している機械もある)

TS-700の場合IF周波数が10.7MHzであり、USBのキャリア周波数は10.685MHz・LSBのキャリア周波数は10.715MHzとなっている
これは、USBとLSBそれぞれに帯域フィルターを用意出来れば、USB・LSBそれぞれにキャリアを用意する必要は無いが、帯域フィルタは高価であるためUSB・LSBで帯域フィルタを共用する知恵である

10.7MHzのキャリアで音声信号帯域が0.3K~2.4KHzの場合、USBの側波帯周波数は10.703MHz~10.724MHz・LSBの側波帯周波数は10.697MHz~10.676MHzになる
教科書だと2つの側波帯の山が描かれており、教科書的に考えた場合それぞれの側波帯周波数の中心を1.5KHzとした場合、10.715MHzと10.685MHzの2つの帯域フィルタが必要になる
逆の考え方で、USBとLSBのキャリアを切換える方式だと10.7MHzを中心周波数とした帯域フィルタが一つで済むのである

SSBの調整ポイントは、帯域フィルターに合わせたキャリア周波数の微調整キャリア成分の除去である

キャリア周波数の微調整は、帯域フィルターの経年劣化やバラツキで中心周波数等が若干ずれている場合に帯域フィルターの特性に、キャリア周波数を合わせこむ調整である
この調整がズレていると、送信音に違和感を感じる
具体的な調整方法は、音声入力に0.3KHz~2KHzの入力でほぼフラットな送信出力になる様にキャリア周波数を調整する

キャリア成分の除去については、DBM回路のバランス調整でありキャリアバランス調整とも呼ばれる
TS-700の場合はGenerator基板のトリマコンデンサと半固定抵抗の相互の調整を行い、残留キャリアが少なくなる様に調整する

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<白丸がUSBの残留キャリア調整箇所>

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<ちなみに、トリマコンデンサは経年変化で調整不可となっており交換>

私みたいな素人は慣れていないため、結構面倒で時間も掛かってしまうが、手慣れた人は手早く作業が出来関心してしまうのである

老婆心ながら、調整箇所はしっかりと確認すべきである、間違って別な箇所を弄ってしまうことの無いように十分な注意が必要である

 

昔の4pinマイクアダプタを作ってみる

本当に今更ながら、昔の4pin仕様のマイク変換アダプタを作ってみた
私の所にある1970年代の機械たちは、八重洲製が2台とその他2台であり、すべて4pinのマイク端子は八重洲仕様に統一してある

先日、件のTS-700GⅡが到着したのであるが、昔のTRIOの機械で使えるマイクが無いのであった
送信調整ではマイク端子にワニ口クリップで、発振器から信号を入力して計測していたが、実際の声を入力する手段が無い

1970年代の頃は4pinマイクが主流であり、モービル機までが4pinのマイク端子を備えていたのである
只、この頃は無線機自体のマイク入力のインピーダンスが従来の50KΩから600Ωに切り替わる頃だったので、マイク自体の出力インピーダンスが50KΩと600Ωの切替え式も多く存在した

まぁ冷静に考えて見ると、マイクの物理的な形状は全く同じなのに、動作しないのは複雑なことであった
我が家でも、同じ八重洲製なのに、FT-101Eは50KΩのマイク・FT-101Zは600Ωのマイクである

で、件のTS-700GⅡは600Ωのマイクなので、FT-101Zで使っているマイクと共用出来そうである

けれど、いちいちマイクコネクタのハンダ付けを変更するは、面倒極まりない
そこで、本当に今更ながらYASEUとTRIOの4pinマイクのアダプタをでっち上げてみた

マイクコネクタ
<YAESU と TRIO マイク端子比較>

図を見ていると、単に右に90度回転させると、端子が一致することに気付いたのである
この手のアダプタに手間を掛けたくないのと、シールド付きの4芯線の手持ちがないので
メスコネクタとオスコネクタを90度回転させてハンダ付けして、でっち上げたの下記の写真
メスコネクタの金属部をマイクのグランドに接続している

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<昔の機械用 YAESU→TRIO マイク変換アダプタ>

とりあえず問題無くは動作している

その後マイクの高機能化(UP-DOWN等)により、マイクコネクタの端子数は増えて専用化が進む
近年ではコンピュータ用RJ-45モジュラー端子となっている
いずれにしても、専用マイク以外はそのまま使えないことが多いのである
(アダプタも販売されているが....)

たかがマイク、されどマイクである 21世紀になってもやっぱり変わっていないと思うのであった

グリッドディップメータ で共振点を測ってみる

たまたま部品箱を漁っていたら、タンクコイルを発見したのであった
これも、大先輩の矢花氏から、無理矢理頂いてきたものである
その昔は、エアーダックスコイルと言うものが販売されていて、そのコイルを切ってタンクコイルに便利に使えたのであるが、もうエアーダックスコイルは販売されていない
送信機とかアンテナチューナなどを自作するには、とても便利であったのだがとても残念である

さて、今回はそのタンクコイルに100pFのコンデンサを繋いで、共振点を測ってみたのである

IMGP5847
<ディプメータのプローブコイルと平行して置いた、タンクコイル>

件のグリッドディップメータを使ってみた
動画では音声が入っていないので、若干補足をする

1.グリッドディップメータをコイルと誘導結合する範囲に近づける
2.発振周波数を最小にする
3.発振レベルをメータの1/3程度に絞る
(発振周波数が変化すると発振レベルも変化するため)
4.ダイアルをゆっくりと回して発振周波数を上げていく
5.メータの指示が落ちる所が共振周波数である
深く結合している場合はコイルの距離を離してメータ指示の落ちる値を少なくして測定する

下の動画は、ディプ点のメータの変化を記録している

この例では、比較的DIP点(メータの指示が落ちる点)はわかりやすい
これは、コイルのQが高く共振点と共振点以外のインピーダンスの差が大きいため、メータ指示がはっきりしている

今回の共振点の測定値は約50MHzである

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小さななコイルの場合は、DIP点が分かりにくいので、工夫が必要となる測定器である

なお、アンテナの共振点も同じ様に測る事ができるので便利である  是非、今更ではあるが良質なグリッドディップメータを入手して、活用して欲しいのである

色々と、楽しい発見がありそうである