§2 悠久の眠りから目覚めよ 飛5号受信機
さて、飛5号受信機ですが更に困った問題がありました、それは電源プラグがUtなのです。
古いラジオからマジックアイ用のソケットはいくらでも入手できるのですが、Utは見たこともありません。
(注:Utとは7pinST管の小サイズの規格で使用例が少ない UTは全体の径が大きいもの)
6WC5用のベークのウエハーソケットで何とかならないかと考えましたが、どうしてもうまく装着できません。
アンフェノールのリングマウントまたは板付のモールドソケットが使えるのではないかと思い、ネットで検索したところ米国のジャンク屋さんに現物を発見し即刻注文したのは言うまでもありません。
1週間程で到着しましたが、航空便料金の方が高価になってしまいました。
マジックアイのソケットとアンフェノールのソケットを使って友人のJAOGWKさんがすばらしい物(売っていればこんなもの)を製作してくれました。
私も試作してみたのですが、どうしても外観上の仕上げの差で今回は彼の製作の物を使用しています。
さて、電源プラグが米国から到着まで1週間を見込んで、その間に専用電源を制作することにしました。
リードのアルミケースP-2に組んであります。
電源出力はDC250V/40mAとDC12V/0.9Aで設計してみました
回路図を別図に書いておきます。
Utコネクタも到着して専用電源も完成しました、回路図も石川OMからご提供頂き電源の供給ピンも判明しましたので思い切って電源を投入することにしました。
音声出力はヘッドフォンで聞こうかと思いましたが、P610(16cm)のような高能率スピーカーは鳴るだろうと思い、インピーダンス比600Ω:8Ωのトランスを使いP610dBで聴いてみることにしました。
<スピーカドライブのインピーダンス変換>
ところがPHONE端子の径が微妙に異なるのです
現在国内で販売しているマイクプラグは1/4インチサイズが標準ですが、戦前や戦後しばらくの間、国産品は6.0mmΦのものでした。
始めインチサイズでもギリギリ入ったので入れてしまいましたら、抜けなくなってやっとの思いで抜くことが出来、友人に旋盤で削ってもらいスムーズに入るようになりました。
私が開局した東京オリンピックの頃までは、6.0mmΦがほとんどだったのですが、今は本当になくなってしまいました。
中学の放送部の時プラグが混在していて入らず困った記憶があります。
DC12Vは以前に実験用電源を使って点灯試験済ですので問題はないのですが、+B高圧電源は電圧計を接続したままでスイッチをONとしました。
1分くらいしましたらスピーカーから何やら音が聞こえてきました。
3.5MHzダイポールを接続し、3.5MHz付近をワッチしましたが何も聞こえません。
お昼頃でしたので、聞こえなくてあたり前です。昔よく聴いた日本短波放送が3.9MHz台にある事を思い出し、コイルユニットの表示をたよりにダイヤルを回すと、ラジオNIKKEIの第1・第2プログラムを受信出来ました
これには思わず感動して、暫く聴き入ってしまうばかりです
感動も落ち着いた頃に、アマチュアバンドを聞いてみたところ感度が低いのです…..
*結果としては飛5号受信機のアンテナの入力インピーダンスが770Ωと高く、50Ω系のアンテナとミスマッチしていたため
(この辺りはCQ誌の本文参照をお願いします)
実際に飛5号受信機のアンテナの入力インピーダンスを調べるにあたり、以下の確認をしてみました。
手持ちのトリオのSシリーズのS-H(3.5MHz~7MHz)のコイルを計測するとインピーダンスは約150Ω程でした。
まして戦前のリンクコイルのインピーダンスはかなり高かったと考えられます
S-Hコイルに1:4のトランスを入れるとリターンロス15dBと良好な結果です。
今のSGは50Ω出力ですので、計測時はマッチングを取らないと実力は測定出来ません
マッチング後SGで計測してみましたら約20dBの感度差が出てびっくりしました。
下記に今回作成した飛5号受信機と50Ω系のアンテナマッチングの回路図を示します。
回路は25mm × 25mm × 25mm のケースに入れてあります。
<アンテナ入力のインピーダンス変換回路>
続く…