QEX No18

久しぶりにQEX誌を購入した
知らない方もいらっしゃるが、CQ誌の技術情報別冊と言う位置付けであろうか?

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<QEX誌 No18>

ざっと見たら結構興味深い記事が掲載されていた
「JARDアマチュア局保証業務を徹底解説」の記事に、旧スプリアス機器の実態調査を開始の記事が掲載されている
その中に、参考情報としてJARDのWebについて紹介されている
詳細はこれからであろうが、保証制度を活用したより簡便な方法の追加 についてはウォッチをして行きたい

更に興味が湧いた記事は’5GHzATV通信’であった
市販品のTV送信機を流用してのATV活用であるが、具体的な免許申請等の参考資料もあり楽しそうである
もっとも、実験してみるのに費用が少なくて済むのが良いと思う
さすがは量産効果である

後、JA0BZC局の7MHzハイシング変調の送信機の製作記事である
以前にCQ誌に掲載された’飛5号受信機’とペアで使う送信機を想定して製作されたモノである

電源トランスや変調チョークそして送信管・変調管等の大型部品をあのスペースに収める技術は、おいそれとは真似は出来ない さすが猛者である矢花氏である
しかし、ハイシング変調なので変調トランスは変調チョークとなり、再現性は高そうである
適当な部品が入手出来れば、自分もチャレンジしてみたい

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<JA0BZC局の送信機製作記事>

QEX誌は久しぶりの購入であったが、興味深い記事が掲載されている 私も良く査読していきたい

SSTV スキャンコンバータ開拓史 その1

大先輩の矢花氏JA0BZC局から資料が届いたのであった
CQ誌1980年1月号に掲載された製作記事の写真である

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<CQ誌 1980年1月号 のスキャンコンバータ製作記事>

今ではパソコンを端末して通信を行う事が主流のSSTVであるが、パソコンの無い時代はSSTVの信号を普通のテレビで映す装置を使って通信を行っていた

そもそもSSTVとはSlowScanTeleVisionの略で早い話が静止画である、普通のテレビはSSTVに対してFSTV(FirstScanTeleVision)と言う言葉もあったがアナログ放送の動画である

アナログ動画と静止画の結合は簡単な様に思えるが実は大変な技術だったのである
コンピュータが一般的になって実用化されたテクノロジである

早い話、静止画を昔のアナログTVで見るには、カメラで静止画像を撮影するか、何らかのメモリに1画面を記憶するかである
(コンピータ無しでの画像変換を実現するには大変な技術が必要で、放送でもテロップが一般化したのは1980年代からと記憶している)

そのSSTVの開拓史に残るスキャンコンバータを大先輩は1970年代に作り上げていたのであった
それもコンピュータ無しである

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<スキャンコンバータのブロック図>

ブロック図を見て頂けると解ると思うが、記憶素子は初期の頃のD-RAM(μPD4116)である
1個16Kbitのメモリを4個並列で16階調としている
またNTSC信号として水平・垂直信号を生成し画素の位置決めタイミングまでロジックで生成しているのである (今でこそ絶滅危惧種の信号になりつつあるがNTSC信号は、アナログ技術の集大成である)

D-RAMなので一定時間毎にメモリのリフレッシュを行わないとメモリ内容が消失するのであるが、そのタイミングも絶妙に生成してある (D-RAMはタイミングが少しでも狂うと内容が消える、測定機が使えない自作者には扱いにくいデバイスだった)

回路も職人技といえると思う
ロジックアナライザ無しでオシロだけでこのロジックをデバッグして作り上げていたのだから、本当に恐れ入るのである

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<A/D変換 Sync検出 Sync発生 部分の回路>

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<コンバータの心臓部 メモリ・D/A変換・Sync/NTSC信号生成の回路>

現在拝見させて頂いても本当に凄い回路である

大先輩はお優しい方であるが、技術的には猛者である

元祖 DC-DCコンバータ ??

現在は色々な回路で使用されているDC-DCコンバータである
昇圧型のDC-DCコンパータは、内部の発振器で発振させた信号を昇圧した電圧を利用している

約80年前にもDC-DCコンバータは存在していたのである
名称は回転式直流変圧器である

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<地三号受信機の回転式直流変圧器>

これは、直流モータでダイナモ発電機を回転させて発電する力技の、電力変換器である
入力がDC6V出力がDC200Vである

この回転式直流変圧器は、旧陸軍の地3型受信機に使われていた変圧器である
一般的に真空管を動作させる場合は、プレートに対して数100Vの電圧印加が必要であり、この変圧器は受信機のプレート電圧を確保するために使われている
交流電源が用意出来る場所であれば電源トランスで済むのであるが、交流電源が利用出来ない場所で使うために用意されている
元々真空管のヒータ電源として6.3Vが用いられていたのと、当時の自動車は6V電装が主流だったので入力電圧が6Vだったと思う

さてこの回転式直流変圧器であるが、大先輩の矢花氏から見てもらえないか とお預かりしたものである
内部のロータは固着しており、モータ部分の道通はあるがダイナモ発電機出力の道通は無かった
多分ブラシの接触不良であろう

70年以上前の貴重な重要文化財である、壊さないように慎重に作業を行う
まずネジは全て’―’ネジである 手持ちの工具箱から全てのマイナスドライバを取り出す
ネジ山にフィットするドライバを使用しないと、ネジ山を痛めるためである

電気回路修理には原則スプレー式の潤滑剤は使わないのであるが、長年の年月でネジは固着しているのでネジや接合部にスプレー式の潤滑剤を吹き付ける
1日以上置いておくと潤滑剤が浸透しネジの固着が緩和される

本来であれば全部を分解・洗浄・組立・再給脂となるのであるが、ベアリングを外す専用プーラが無いのでブラシ部分の清掃とベアリング部分の洗浄、電極接点磨きを試みてみる
一通り作業を行って、ダイナモ出力の抵抗値を見ると約600Ωと道通している

モータの電源にはCC制御が出来る電源を使用し電流制限値は3Aとしてみる
MAX電圧は3Vとして、まずは様子を見てみることにした
モータ入力にDCを印加すると、電流値はMAXの3Aとなりその時の電圧は約0.9Vであった
ロータを外から回してみると回転したのでユルユルと回転したのであった
モータ側のブラシ位置を調整してみたところ、きちんと回転を始めたのである
電流値は約2.5A、電圧値は3Vである

ダイナモ側のブラシ位置の調整をした所、100V程度の電圧が確認出来た
この状態で、発熱・発煙・異臭・異音が無いことを確認して、徐々に電圧を上げて見る
出力は無負荷であるが、モータ電圧6Vで205V程度の出力を確認出来たのである

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<回転中の回転式直流変圧器 2次側無負荷で6V 2.7A程度の消費電力>

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<2次側無負荷の出力は 205V>

とりあえずは、この回転式直流変圧器の基本部分は動作している事を確認出来たのである
しかしOHは必要であるので、軸受け構造など確認の上でOHを考えてみたい

<試運転の動画である>

飛5号受信機 と諸先輩方の努力

§5 あとがき 

兵器として考えた場合、No1を目指す必要があります
No2ではその性能差を量なり時間なりで補填が必要となり、人命が掛かっている戦場の場合では致命傷となりかねません。
工業技術全体が発達していた米国では、更に無線技術を軍事戦略として膨大な資金を投入し大きく進化させました
砲弾の中に電波反射による金属近接探知回路を載せて実用化までしています (VT信管と呼ばれています)
米国のように、回路に適した真空管を最適な方法で、精度の高い部品や信頼性の高い線材などを潤沢に使えた国とでは、どうしても性能差があったと思います。

旧陸軍は戦場でのメンテナンスを考え、回路を工夫し真空管を6F7の1種類とした無線機を作ったのではと考えています。
いろいろな問題点はあるにせよUt6F7だけでスーパーヘテロダイン受信機を作り上げた先輩技術者の方々には深く頭が下がります。
しかしながら日本ではこの飛5受信機は昭和14年当時、最高の性能だったと思います。
更に昔の方が今より遥かに人工ノイズは少ないし、無線局の数は無線局統制下でもあり比較になりません
その環境下なら、軍用無線機として十分な活躍が出来ていたのではと安易に想像できます
そして、飛5受信機は現在に於いても7MHzのAMやCWを聞くには十分な感度です。

昭和19年の飛5号受信機の目標生産台数は1,000台となっていますが、おそらく1/10も生産できなかったのではないかと思います。
これだけ手の込んだ物です、量産品ですから100余の部材一つ無くても完成しませんし、必要な部材が必要な時に集められなかったのではと予想しています、また腕の立つ職人さんの匠の技も飛5号受信機を組み立てるには必要です
更に、無線機を保守する人材が逼迫していたと本で読んだことがあります。
人材は一朝一夕で育ちません。

この無線機を調べて驚いた事は、半田付けの素晴らしさです。
70年以上経過しているにもかかわらず1箇所も半田不良がありません。
昔の半田ごては、ごついニクロム線が中に見えるタイプと思います。
今、我々は普通に温度管理されたコテを使っていますが、昔はありませんでした。
半田付の職人さんのすばらしさです。
もちろん米軍の機械のようなからげ配線などありませんので、本当に半田付の職人さんの凄さが感じられます。
(しかし米国は組み立て作業を徹底的に分析して、マニュアルに従えば誰でも作れるようにして量産したのはすごい技術です)

先人が苦労して作り上げたこの貴重な当時の戦時遺産を、大切に動態保存をしたいと思っています。
現在の無線技術は戦前からの先駆者から引き継いだ技術を基盤に、更に積み上げてきたものと考えています
人・金・モノの投入量の違いはありますが、戦前の日本でも無線技術の基礎研究はそれなりに進んでいました、その知見が戦後の電子立国のベースとなっています
我々が今、無線を楽しめるのも先輩方々の努力の賜物と思い感謝をしています。
改めて先人の偉大さに敬意を表したいとおもいます
私は真空管が好きで、送信機や受信機を何十台か趣味として製作して楽しんできました。
‘JA0BZC Amateur Radio Homebrew with vacuum tubes‘ と題して、制作内容をインタネットで公開しています
URLは下記となりますので、是非アクセスして見て下さい

真空管を使った製作と言えば、オーディオと思われがちですが、オーティオは受信機のほんの一部です。真空管本来の使い方をしてアマチュア無線を楽しみませんか!

最後に、この飛5の甦りにあたりお世話になりました
JA1BA,JA1HU,JR1KQU,JAOGWK
JH0WJF,各局にお礼申し上げます。

73´de JA0BZC

参考文献
真空管半代記 JA1FC  藤室衛
東京文献センター
真空管談義  JA1AYZ 有坂英雄 有朋社
魅惑の軍用無線機・第1巻  ㈱三才ブックス

飛5号受信機 7MHz~10MHzコイルユニットを制作

§4 コイルユニットについて

私の飛5受信機の受信機のユニットは3.2MHz~4.7MHzが装着されています
この受信機は有名な米国ナショナルのHRO受信機を基に設計されております。
日本の軍用無線機のほとんどがHROを基としてアレンジされたと思います。
プラグインユニット式で作りやすかったのではないでしょうか。

米国製のHROではコイルユニットは多く流通しているので入手も可能ですが、私の飛5受信機は現存数があまりにも少ないのでもちろんコイルユニットなどあろうはずはありません。
では、と言うことで飛5受信機専用に7MHzから10MHz のコイルユニットを制作しました
今回制作した、7MHzから10MHzまでのコイルユニットは以下の回路となります

13_飛五号無線機_コイルユニット回路図

<今回制作した、7MHz~10MHzコイルユニットの回路>
ANTのリンクコイルは、0.8UEWを1ターンでちょうど50Ωとなります。
もし、アンテナアナライザーやネットワークアナライザーをお持ちでしたらリンクの巻き数を変更するとインピーダンスが変わるのがわかると思います。
本機のバリコンは約150PFと推測しました。
なぜかと言いますと、このバリコンでの可変範囲を考えますと昔、松下電器で発売していた短波用バリコン3DC―18の可変範囲が本機より少し広いので、こんなものかと思った訳です。
これにストレー容量、真空管の電極容量、トラッキング用のトリーマー容量を加え合計200PFと考え計算(1/2π√LC)で同調容量を算出しました。
局発用のコイルは7%くらいLが少なくなくてはいけませんので、少しLを減らしました。
それと820PFのパティングコンデンサーで7MHzから10MHz迄なんとかトラッキングがとれました。
Lを計測される時は、LCメーターの100KHz以上の周波数で計測されれば、ほぼ7MHzでのL値と同じになりますので、高い計測器でなくても使えます。
1KHzでのものは、7MHz用コイルの計測には使えません。
デップメーターで共振点を計ってLを算出してもよいでしょう。
IFは1段増幅ですが、帯域幅は40dBで±10KHzは全く問題にならないと思います。

今の混雑している7MHz SSBを聞いても混信は入りますが実用になります、昭和14当時は無線局も少なかったので全く問題は無かったと思います
なお、比較データとして自作のトリオT21(JR60IFT)を使った6球スーパー(IF2段)の特性を破線で示します。
資料は別紙を参照下さい

07_飛五号受信機_IF帯域特性グラフ

<IF 帯域特性のグラフ>

08_飛五号受信機_IF帯域特性データ

<IF 帯域特性のデータ>

続く…

飛5号受信機 の心臓 Ut6F7

§3 Ut6F7真空管について

飛5受信機は3極5極のUt6F7で全ての真空管が構成されています。
Ut6F7は、RCAより1933年に発売されています。
(JA1AYZ有坂英雄氏・真空管談義より)
今回参照の規格表は私の手元にあるRCA-RC13,1937年版です。
なお、Ut6F7の日本での生産開始時期は資料が無く不明ですが、以下の推測をしています

JA1AYZさんの本の中にも1934年(昭和9年)にUt6A7・Ut6B7はあるのですが、Ut6F7だけが見当たらないのです。
しかし、1938年(昭和13年)にメタル管のUS6F7Aが発表されていますので、その時にはすでにあったのではないかと考えられます。
JA1FC(藤室さん)の真空管半代記東京文献センターによりますと、6C6・6D6と同じ時に価格表に載っていた様子ですので1935年(昭和10年)頃には日本で生産していたと考えられます。
Ut6F7の用途はRCAの規格表にもあるように、周波数変換を主な用途として設計されたと考えられます
しかし、米国でも家庭用のラジオへの使用は少なかったと思います。

なお、Utとは日本独特の呼び名で米国ではスモール7ピンと言います。名称は6F7です。
RCAの1937年の真空管規格表RC-13のリンクを入れておきますので、参照して下さい。
このgmの低い真空管でもコイルのQによって10MHzくらいまでは十分実用になったと考えています
米国では自動車用(シボレー)のカーラジオで使用例があり、5極部は高周波増幅、3極部は低周波増幅になっておりました。
IFTが175KHzですので、かなり古いタイプと思わります。
RCAでもIFと検波に使っていた4球の台所用ラジオの回路がありました。
しかし使用例はほんのわずかで、米国においては周波数変換には専用管 6A7や6A8・6L7 などを使った例が殆どを占めています。
ARRLのハンドブック1936年版に進歩した2球受信機(6F7+41)の製作が発表されています。

6F7はコリンズのKWM2に使っているような6AZ8などとは違い、カソードが共通です。
我々の世代ですと6AV6や6ZDH3Aなどと構造が同じです。
高周波増幅は2段です。当時の米国受信機もBC-342BC-348BC779HRO等々ほとんどの受信機は高周波2段増幅の構成となっています
各周波数での感度特性は下記資料をご参照下さい。

09_飛五号受信機_3500KHzA3受信時の感度特性データ

<3.5MHzでの感度実測データ>

10_飛五号受信機_4600KHzA3受信時の感度特性データ

<4.6MHzでの感度実測データ>

11_飛五号受信機_7100KHzA3受信時の感度特性データ

<7.1MHzでの感度実測データ>

12_飛五号受信機_9600KHzA3受信時の感度特性データ

<9.8MHzでの感度実測データ>

続く…

悠久の眠りから目覚めよ 飛5号受信機

§2 悠久の眠りから目覚めよ 飛5号受信機

さて、飛5号受信機ですが更に困った問題がありました、それは電源プラグがUtなのです。
古いラジオからマジックアイ用のソケットはいくらでも入手できるのですが、Utは見たこともありません。

(注:Utとは7pinST管の小サイズの規格で使用例が少ない UTは全体の径が大きいもの)

6WC5用のベークのウエハーソケットで何とかならないかと考えましたが、どうしてもうまく装着できません。
アンフェノールのリングマウントまたは板付のモールドソケットが使えるのではないかと思い、ネットで検索したところ米国のジャンク屋さんに現物を発見し即刻注文したのは言うまでもありません。
1週間程で到着しましたが、航空便料金の方が高価になってしまいました。

マジックアイのソケットとアンフェノールのソケットを使って友人のJAOGWKさんがすばらしい物(売っていればこんなもの)を製作してくれました。
私も試作してみたのですが、どうしても外観上の仕上げの差で今回は彼の製作の物を使用しています。

さて、電源プラグが米国から到着まで1週間を見込んで、その間に専用電源を制作することにしました。
リードのアルミケースP-2に組んであります。
電源出力はDC250V/40mAとDC12V/0.9Aで設計してみました
回路図を別図に書いておきます。

04_飛五号受信機用_電源回路図

Utコネクタも到着して専用電源も完成しました、回路図も石川OMからご提供頂き電源の供給ピンも判明しましたので思い切って電源を投入することにしました。

音声出力はヘッドフォンで聞こうかと思いましたが、P610(16cm)のような高能率スピーカーは鳴るだろうと思い、インピーダンス比600Ω:8Ωのトランスを使いP610dBで聴いてみることにしました。

05_スピーカドライブ用インピーダンス変換

<スピーカドライブのインピーダンス変換>

ところがPHONE端子の径が微妙に異なるのです
現在国内で販売しているマイクプラグは1/4インチサイズが標準ですが、戦前や戦後しばらくの間、国産品は6.0mmΦのものでした。
始めインチサイズでもギリギリ入ったので入れてしまいましたら、抜けなくなってやっとの思いで抜くことが出来、友人に旋盤で削ってもらいスムーズに入るようになりました。
私が開局した東京オリンピックの頃までは、6.0mmΦがほとんどだったのですが、今は本当になくなってしまいました。
中学の放送部の時プラグが混在していて入らず困った記憶があります。

DC12Vは以前に実験用電源を使って点灯試験済ですので問題はないのですが、+B高圧電源は電圧計を接続したままでスイッチをONとしました。
1分くらいしましたらスピーカーから何やら音が聞こえてきました。
3.5MHzダイポールを接続し、3.5MHz付近をワッチしましたが何も聞こえません。
お昼頃でしたので、聞こえなくてあたり前です。昔よく聴いた日本短波放送が3.9MHz台にある事を思い出し、コイルユニットの表示をたよりにダイヤルを回すと、ラジオNIKKEIの第1・第2プログラムを受信出来ました
これには思わず感動して、暫く聴き入ってしまうばかりです
感動も落ち着いた頃に、アマチュアバンドを聞いてみたところ感度が低いのです…..
*結果としては飛5号受信機のアンテナの入力インピーダンスが770Ωと高く、50Ω系のアンテナとミスマッチしていたため
(この辺りはCQ誌の本文参照をお願いします)

実際に飛5号受信機のアンテナの入力インピーダンスを調べるにあたり、以下の確認をしてみました。
手持ちのトリオのSシリーズのS-H(3.5MHz~7MHz)のコイルを計測するとインピーダンスは約150Ω程でした。
まして戦前のリンクコイルのインピーダンスはかなり高かったと考えられます
S-Hコイルに1:4のトランスを入れるとリターンロス15dBと良好な結果です。

今のSGは50Ω出力ですので、計測時はマッチングを取らないと実力は測定出来ません
マッチング後SGで計測してみましたら約20dBの感度差が出てびっくりしました。
下記に今回作成した飛5号受信機と50Ω系のアンテナマッチングの回路図を示します。
回路は25mm × 25mm × 25mm のケースに入れてあります。

06_アンテナ入力インピーダンス変換

<アンテナ入力のインピーダンス変換回路>

続く…

99式’飛5号受信機’ の素性とは

§1 イントロダククション

飛5受信機をインタネットで検索をしたところ、米国に1台イギリスに1台しかヒットしません。
米国のものは、フロリダのタンパベイのラルゴにあり、かなり良いコンディションの様子ですが動作は不明です。

またイギリスにある物は、南方戦線よりの引き上げ品のようで、真空管が抜けていたりシールドケースが付いてはいません、近々動作すると記載されています、内部は比較的きれいです。
URL http://www.qsl.net/g4bxd/japanese.htm

さて、飛5号受信機を我が家へ搬入し一通りの確認を済ませました

(保存状態はかなり良く70年モノとは思えない状態 この辺りは本文参照願います)

ヒーターは球のピン配置で判りますのでヒーター電圧はDC12.6Vと予想し、恐る恐る電源へ接続してヒーターの点灯は確認しました。
しかし+B電圧を加えるポイントがなかなか解らず、全体の動作確認は全体の回路が判明するまでペンディングとしました。

回路図が入手出来なければ、配線を1本ずつ辿ることで、回路の解析は何とかなるだろうと考えていたのですが、JR1KQU/JA2OZE(加藤さん)なら何か情報をお持ちと思いご相談をさせていただきました。
即答で旧日本軍の無線機のことはJA1BA(石川OM)だとご教示頂き、さらに連絡先までお教えいただきました
JA1HU(伊藤OM)からもJA1BAさんが旧日本軍の無線機の知見はNo1と太鼓判でした。

早速、石川OMに連絡をさせて頂き、5月の末にご自宅に訪問し資料と共に貴重なお話を拝聴出来ました。

01_飛五号無線機諸元

<99式’飛5号受信機’ の諸元>

02_飛五号無線機回路図

<99式’飛5号受信機’ の回路図>

03_飛五号無線機部品表

<99式’飛5号受信機’ の部品表>

古い無線機に関する貴重な資料と深い造詣をご教示頂き、深く感謝をしております。

更に、魅惑の軍用無線機〈第一巻〉に掲載されている日本軍を含む膨大な無線機が、調布の電気通信大学に保管されているので後日、案内をしていただける事となりました。

私が開局した1965年(戦後20年)は、米軍払い下げの無線機はアマチュア無線に結構使われていて、私も近くの先輩から譲って頂いたBC-342を修理して交信に使用していました。
BC-610のチューニングBOXを万世橋近くのジャンク屋で購入し807シングルのAM送信機を作りました。
内部には素晴らしいバリコンが入っていました。
現在もほとんど当時のままで、時々使用し、懐かしさを楽しんでいます。
当時高校1年生だった私は、旧日本軍の無線機はまるで知りませんでした、旧日本軍の無線機か米軍の無線機かどちらかを選べと言われれば米国製を選択したことでしょう。

続く…

旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる CQ誌2015年10月号 掲載記事の補足

§0 最初に

71年前 (昭和19年製造)
旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる
CQ誌2015年10月号 掲載記事の補足
JA0BZC 矢花 隆男

CQ誌2015年10月号に「旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる」を寄稿させて頂きました
紙面の都合で、掲載出来なかった内容を補足として、このブログで公開することにしました
今回の投稿記事については、戦前の日本の無線技術をデータとして残したいとの考えもあります
執筆の際に計測したデータと集めた各種資料を興味がある方々に見て頂くことが、次の世代への技術継承に繋がると考えています。
ご興味のある方は、CQ誌2015年10月号に掲載された「旧日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる」の本文とこのブログの記事補足及び資料をお読み頂ければ幸いです

なおこの後数回、このブログに投稿させて頂きますので、よろしくお願いします

私は真空管が好きで、送信機や受信機を何十台か趣味として製作して楽しんいます、制作内容を掲載していますので下記のアドレスを是非アクセスして見て下さい
http://mamegoro6.jalbum.net/ja0bzc/

IMGP5887

IMGP5888

予告!! あの JA0BZC が当ブログに登場

今週のテーマ予告である
当ブログでも少し名前が出ていた、大先輩のJABZC矢花氏から当ブログに記事を掲載していただけることになったのである

内容は、CQ誌2015年10月号に掲載された、「日本陸軍99式’飛5号受信機’よみがえる」の補足記事である
CQ誌に掲載された内容以外の、エピソードと資料を当ブログで公開していただけるのは、管理人としてとても誇らしいことでもある

矢花氏は様々な活動をされており、様々な分野で多大な功績を残している
アマチュア無線機器を始めとした機器類の自作の数々は圧巻である

特に私の目を釘付けにしたのは1978年頃の制作と思うが、SSTV(アマチュア無線での静止画電装)のスキャンコンバータの自作である
いわゆるマイコンの黎明期(パソコンに進化する遥か前)に、テレビカメラのNTSC信号を、自作回路で画像フレームをダイナックメモリに展開し、そのメモリデータを変調して送受信を行う装置を自作していたのだから、恐れ入るのである
NTSC信号から、RGBそれぞれのプレーンに変換する回路をディスクリートで設計出来る超人でもある (この辺りは別途取材してご報告したいのである)

矢花氏とは偶々アマチュア無線で交信させて頂いたことがご縁で、その後もお付き合いをさせて頂いている
個人的には師匠なのであるが、ご本人は弟子は要らないとのことなので、大先輩とさせて頂いているのである

私の古い機械たちも矢花氏の知見と部品がなかったら本当に粗大ゴミである

特に、寝る場所よりも真空管達のほうが面積を取っていると思われる矢花邸で、無いものはなさそうでもある

是非、大先輩である矢花氏の知見を、このブログを見て頂いている皆様と共有出来れば嬉しいのである