5球スーパ受信機 トラッキング調整

前回で、選局機構のOHを行ったので滑りが無く、選局が出来る様になった
基本的な動作は正常なので、調整を行うことでこのラシオも十分実用になると思われる

最初にIFTの調整を行う

2個あるIFTを455KHzに同調を合わせる作業で、455KHzのAM変調を出せるSSG等があれば簡単な作業である
今回は、SSGとラジオのアンテナ端子を100PFのコンデンサで接続して、455KHzを入力した
(本来であれば、局発を停止させて混合管の出力に、入力するのが正しいのかも知れない)

音声出力が大きい点にIFTを調整して終了
今回は殆どIFTのズレは無かった

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<奥が第一IFT、調整は手前の第二IFTから行う>

次に局発の発振周波数の調整を行う

スーパーヘテロダインの受信機の場合は必ず必要な調整で、この調整がズレているとダイアル表示と受信信号とのズレが生じる

中波ラジオの場合は、受信周波数に455KHzを足した周波数で発振する様に調整する、又ダイアル端の受信周波数が525KHz~1600KHzの範囲になる様に調整を行う

一般に低い周波数調整は発振コイルのコア、高い周波数は局発バリコンの調整トリマで調整をする

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<局発調整は局発バリコンのパデングコンデンサがポイント>

今回の三菱5P-220は発振コイルにコア調整は無いので、発振コイルの調整は難しい(コイルの巻き直しとなる)が、この頃の5球スーパは発振コイルの調整機構は無いらしい

実際にこの三菱5P-220のダイアル端の低い周波数は530KHzとなっており、問題は無い。高い周波数調整は、トリマコンデンサで調整する、三菱5P-220は中波と短波の2バンドラジオなので、各バンド毎に調整が必要となる

中波の調整トリマはシャーシに付いている、C21と記載されているパディングコンデンサで行い、短波帯はバリコンに付いているパディングコンデンサで調整なのであるが、このラジオは短波帯を最初に調整する必要がある

短波帯の受信帯域は3.8MHz~12MHzがスペックである

実測値は3.65MHz~11.4MHzで調整を行った、この調整値で大体ダイアル表示値と受信周波数が一致する

中波についての、実測値は520KHz~1550KHzで調整を行った、この調整値で大体ダイアル表示値と受信周波数が一致する

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<左からC4,C3,C21>

最後にトラッキング調整を行う

三菱5P-220は同調コイルに調整機構が無いので短波帯C3、中波帯はC4で行う

最初に短波帯から3.8MHzと12MHzをSSGで入力し最大感度にC3を調整する作業を数回行う
次に中波530MHzと1600MHzをSSGで入力し最大感度にC4を調整する作業を数回行う

調整を行って受信をしてみると、現代のラジオと比較しても遜色はない
短波帯でも十分な感度である

強いて上げると、アンテナは外部アンテナのみなのでバーアンテナ内蔵機の気軽さはない
しかし、数メートルのビニール線で十分な感度となり、十分実用となる
短波帯も数メートルのビニール線でラジオ日経は聴けるが、短波帯を聴くためには外部アンテナが必要であり、それは現代のラジオでも同じである

ちなみに、真空管構成は以下の通り
局発混合 12BE6
中間波増幅 12BA6
検波低周波増幅 12AV6
電力増幅 30A5
整流 35W4

5球スーパー受信機 糸掛けダイアルのオーバホール

入手したトランスレス式、5球スーパーラジオであるが
選局ツマミを回しても、空回りして選局が出来ないのであった

ここは直さないと、ラジオとして体を成さない
(1波受信のみとする手もあるが、折角の2バンドラジオがもったいのである)
シャシを取り外すして選局シャフトを回してみるのだが、シャフトの糸が空回りしている
全体の回転抵抗が高くなっているのであろうか

まずは、選局ダイアイルの糸掛けの現状を写真に撮る
糸掛けについては図もあるのだが、デジカメで撮るのが安全一番と思う

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<分解する前に撮った、糸掛けの写真>

バリコンの取付けが、何とハリガネで捩って止めてある
従ってバリコンの位置がグラグラとなっている、これではダイアルは正常に動作しない
又、バリコン取付けのインシュレーターが経年劣化で、ボロボロになっている

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<ハリガネで留めてあった、バリコン>    <経年変化でボロボロのインシュレータ>

あまり気が進まないが、糸掛けダイアルを分解することにした
先ずはバリコンを取り外して、ベアリングを清掃してグリスアップする
バリコンのインシュレーターに発泡ゴムを代用として取り付けた

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<発泡ゴムをインシュレータとして取り付けたバリコン>
ダイアル糸をアルコールで油分を取る、本来であればダイアル糸は新品交換したい所であるが、今回は清掃で対処した
更に選局シャフトの根本とプーリ等の根本を軽くグリスアップする
絶対に糸とシャフトの糸が巻かれる部分に油分が付着しない様にする

後は、糸掛けである
慣れない自分は、この作業に1時間以上掛かってしまった
糸の交差の上下関係まで、写真に撮っていなかったので、結局試行錯誤で張っては戻しを繰り返してしまったのであった
ダイアルの糸掛け後に、バリコンの動作がスムースに動作するか、引っ掛かり等を何度も確認する

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<OH後の糸掛けダイアル この後は単一調整を行う>

空回りも無く、スムースに選局出来る様になったので、一段落である

5球スーパーラジオ入手

オークションを眺めていたら、誰も入札していない5球スーパーラジオを発見
状況は、電源は入り、何らかの音はする 部品取り用にどうぞ とのことであった

メーカは三菱電機 MWとSWの2バンドで、外部入力付きである
当時多かった、トランスレス式の5球スーパである
短波帯は3.8MHz~12MHzであり、今更ながら5球スーパーの実力を確かめてみたいとの気持ちもある

この手のラジオは、その昔よく道端に捨ててあったラジオだった記憶があり、悪ガキだった私はその真空管を手榴弾と言いながら壁に投げつけて遊んだものてある
(今考えると恐れ多いコトである)

小学生の時に、近所から頂いた5球スーパーでBCLの真似事をしたコトがあるが、北京放送と平壌放送位しか受信出来なかった記憶がある

取り敢えず、入札してみるコトにしてみた
上限は2千円としたが
結局1500円で落札し送料が1700円でトータル3200円となった…

うーむ大変微妙な金額である

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<届いた 5球スーパ 三菱 5P220>

届いたモノは、オークションの説明通りであった、状況は下記の通り
・電源を入れると、スピーカからハム音はする、従って球のヒータは全球通電している
・バンド切替のスイッチは固着しており切替が出来ない 到着時は外部入力となっていた
・チューニングのツマミが滑って、チューニングが出来ない
・ラジオのアンテナ端子が取り外されている

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<5P220 の裏面>

まずは、現況確認で以下の確認をしてみた
・バンド切替のスイッチの軸部分への極少量の給油(CRC-556)でバンド切替のスイッチは復活
・SGで信号を出力して、アンテナコイル付近で結合すると受信は出来た
・チューニング機構はOHが必要であるが、NHK近辺に合わせてアンテナを結合させると受信は出来た

基本機能は生きている5球スーパーラジオであった
この後は、シャシを外して手を加えて行きたい

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<5P220のシャシ>

外部発振入力とBFOを付けて受信機風にして遊ぶか、バンドスプレッドを取付けて当時の高級機風で遊ぶか、リビングラジオにするか等々を考えるととても楽しい
暫くは色々と遊べそうである

QEX No18

久しぶりにQEX誌を購入した
知らない方もいらっしゃるが、CQ誌の技術情報別冊と言う位置付けであろうか?

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<QEX誌 No18>

ざっと見たら結構興味深い記事が掲載されていた
「JARDアマチュア局保証業務を徹底解説」の記事に、旧スプリアス機器の実態調査を開始の記事が掲載されている
その中に、参考情報としてJARDのWebについて紹介されている
詳細はこれからであろうが、保証制度を活用したより簡便な方法の追加 についてはウォッチをして行きたい

更に興味が湧いた記事は’5GHzATV通信’であった
市販品のTV送信機を流用してのATV活用であるが、具体的な免許申請等の参考資料もあり楽しそうである
もっとも、実験してみるのに費用が少なくて済むのが良いと思う
さすがは量産効果である

後、JA0BZC局の7MHzハイシング変調の送信機の製作記事である
以前にCQ誌に掲載された’飛5号受信機’とペアで使う送信機を想定して製作されたモノである

電源トランスや変調チョークそして送信管・変調管等の大型部品をあのスペースに収める技術は、おいそれとは真似は出来ない さすが猛者である矢花氏である
しかし、ハイシング変調なので変調トランスは変調チョークとなり、再現性は高そうである
適当な部品が入手出来れば、自分もチャレンジしてみたい

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<JA0BZC局の送信機製作記事>

QEX誌は久しぶりの購入であったが、興味深い記事が掲載されている 私も良く査読していきたい