5球スーパーの局発信号を確認してみた

お試しで、この5球スーパーラジオでSSBを無理矢理受信させてみた

BFOの替わりに、SGから455KHzをアンテナ端子から注入して、CWを受信してみる

一応は復調出来るが、なんかイマイチ感だっぷりである

チャピった(CW信号の周波数がキーイン時にズレること)感じの音である

 

次にSSBを受信してみる

これも一応は復調出来るが、これもイマイチ感だっぷりの音質である、件のホームセンターラジオの方が遥かに良い音である

 

この原因について仮説を立ててみた

仮説としては、局発の周波数純度が低いのではと思う、局部発振に何らかの信号が混入していると思う

只、この5球スーパーは通信用途ではなく、一般の家庭用2バンドラジオであり、短波を含めた普通の放送受信については何の問題はない

 

まずは、オシロスコープで局発の信号を見てみるとあまり綺麗な信号ではない、

局部発振の周波数で見てみると、ノイズが載っていそうな波形である

IMGP6512

<ノイズが載っている局部発振信号>

IMGP6515

<50Hzのハムが載っている波形>

周波数レンジを変えてみると、50Hzで変調された様な波形である

AF段ではハム音は感じられないのが、局部発振信号には50Hzのリップルが載っている

トランスレスなので、電源トランスの誘導ではなさそうであるが、ハム対策が必要であろう

IMGP6513

<スペアナで見ると裾が広いが、見た目の異常は無さ気>

スペアナでみると、特に異常は見当たらないので、局発のハム対策で局部発振の周波数純度は向上出来ると思われる

HF帯受信機として使える5球スーパーラジオを目指して対策を考えてみたい

 

5球スーパーに外部局発を注入してみた

いつもの五球スーパー、三菱 5P-220である

今更であるが、5球スーパーは色々と弄っていると楽しい

今回は、試しに外部から局部発振信号を注入してみた

外部OSC

<☓部分を外して、12BE6の第一グリッドに外部発信器を接続>

IMGP6508

<実際に外部発信器を接続した所>

この手の2バンドラジオの場合は、短波帯の選局がシビアである

チューニングは周波数カウンタで局部発振の周波数を読むことで解るようになるが、スプレッドバリコンが無いとやっぱり選局はシビアである

今回は、SGから局部発振信号を注入してみたが、当然のことながら選局はSGの周波数解像度となるので選局は非常に簡単となる

IMGP6510

<SGから10.455MHz 0dBmを注入>

IMGP6511

<局部発振周波数より455KHz低い周波数を受信>

外部から局部発振信号を入れると、ラジオの選局はアンテナ信号の同調となり、この同調は結構ブロードであることも実感出来る

高周波増幅が付いた高級ラジオの場合は、高周波増幅段に同調回路が入るので不要信号はスッパリと切れるが、通常の5球スーパーラジオだと目的外の信号を減衰し切れない、従って、イメージ信号を受信も、このイタズラでよく理解出来る

しかし、安定度が高く周波数が明確な信号を外部入力することで、短波ラジオとしての性能は一気に高まる

時間に余裕があれば、ジャンクのVFOを探して7MHz帯の受信機としてグレードアップとかの妄想をしてしまう

 

そうすると、SSB受信のBFOとかも妄想の対象となってくる

古いラジオだが、単純な感度は現在の受信機と比較して大きく劣らない

只、短波帯で使うには局部発振の安定度と、選局のシビアさが課題と思う

50年以上前の5球スーパーラジオであるが、ラジオは結構奥深いと今更ながら思ってしまう

 

注)トランスレスの5球スーパーラジオを弄る場合は感電にご注意下さい

 

5球スーパーラジオで周波数カウンタを使ってみる

件の5球スーパー周波数カウンタを付けてみた

周波数を測定する信号は、局部発振信号である

このラジオも混合管に12BE6に使用しているので、12BE6のカソードから局部発振信号を取り出してみた

周波数カウンタとの間の配線容量もあるので、10pFのセラコンを直列にして配線容量の影響を少しでも減らす

接続箇所は12BE6の2番ピンである

局発取出し

 

IMGP6503

<12BE6のカソードに仮付してみる>

取り敢えずは、仮付して動作の確認してみたが問題無し

熱収縮チューブを被せて絶縁を施して、シャシをケースに組み込む

IMGP6504

<局発の信号の取出し>

このラジオは調整済みであるが、周波数カウンタを取り付けることで放送周波数と局部発振周波数の差を確認出来る

当然のことながら、Δfは455KHzで問題無しである

中波帯は520KHz~1550KHzの選局範囲、短波帯は3.750MHz~11.150MHzを確認

これまた当然であるがSSGで調整した範囲と同じである

 

周波数カウンタを使用して、中波帯を受信してみる

確かにデジタルの数字を合わせるだけで、選局出来るのは便利ではある

しかしカウンタなしでも通常の放送受信であれば、違和感はない

普通のラジオ放送ほ楽しむのであれば、周波数カウンタの必要性は感じない

 

短波帯を試してみた

短波帯の受信をする場合、周波数範囲が広いので周波数カウンタの威力は絶大である

放送波の周波数に周波数カウンタの数値を合わせるだけで選局が出来る

今時の受信機では当たり前のことであるが、50年前の5球スーパーラジオでこれが出来るのは凄いことである

しっかりしたアンテナさえあれば、短波放送受信は問題ない

7.195MHzのA3交信は問題無く受信出来る (但し19時以降は近接放送が混信する)

IMGP6507

<5球スーパーラジオと周波数カウンタ>

但し、通信型受信機とは異なり、そのままではアマチュア無線の受信機として厳しい、以下の対応が必要であろう

  1. 選局は減速比が低いので、スプレットダイアルが必須
  2. 局発周波数の安定度が低いので、定電圧回路等の対策が必要
  3. SSB、SW受信のためにBFOの増設

まだまだ、このラジオで遊べそうである

トランスレス5球スーパーラジオを使ってみる

三菱電機の5P-220トランスレス5球スーパーラジオである

製造年は1959年位であろうか? 受信は、中波放送と短波放送(3.8MHz~12MHz)の2バンドで、外部入力端子付きとなっている

一応、一通り使える状態に整備したので、インプレッションを書いてみた

IMGP6496

<クリスタルピックアップを接続出来る外部入力端子>

 

まずは、中波受信である

このラジオはアンテナ端子に、アンテナを接続する必要がある

2-3メータ位のヒニール線で、東京近郊であれば十分に受信出来る

IMGP6497

<アンテナとアース端子は線が出ているだけだったので、RCAジャックとした>

なお、当然と言えば当然であるが、殆どのトランジタラジオにはバーアンテナが内蔵されているので、中波受信については外部アンテナの接続必要は無い

 

受信感度は必要十分である

局発調整で、選局指針の位置を合わせてあるが、東京のNHK第一放送594KHzは、このラジオだと600KHz位の位置となる

IMGP6494

<594KHzの受信位置>

発振コイルの調整機構が無いタイプなのであるが、まあ十分である。 高い周波数の位置は、トリマーで合わせられる

只、調整後の受信周波数範囲は520KHz~1560KHzとなった、1620KHzまで受信範囲に調整すると、指針が表示と合わなくなるので、一旦はこの位置としてある

 

音質は綺麗な中域ベースの音であり、低音と高音のブーストはされていない自然な音であろうか 当然モノラルであるが、2スピーカで十分な音量である

派手さは無いが長く聞いていて疲れない音質である

 

なお、近くにインバータ式の蛍光灯やスイッチング電源があると、ノイズが入りやすい

これは仕方が無いので、ラジオからノイズ発生源ほ離すしかない

 

短波受信も、アンテナを接続すれば十分な感度である

実際の受信範囲は3.75MHz~11.5MHzである

中波と同様で12MHzまで受信範囲に調整すると、指針が表示と合わなくなるので、一旦はこの位置としてある

安定度も、短波放送受信であれば全く問題はない

7.195MHzのAMでの交信も十分に受信が出来る

IMGP6495

<7.195MHzの受信位置>

但し、短波帯の選局は実用上厳しいと思う

受信周波数が直読出来ないので、この手のラジオを使い込むのであれば、周波数カウンタ等で受信周波数の直読しないと何処に選局しているか、解らなくなる

なお、短波で本格的に使うのであれば、スプレット選局とBFO等の改造を加えれば使い勝手は良くなると思うが、そこまでやるかが微妙である

 

50年以上前のモノなのに現代のラジオと遜色無く使える、50年前のトランスレス5球スーパー恐るべしである

只、部品は50年以上の年月が過ぎているので安全性には使用者の配慮が必要であろう