超基本 LED の点灯について考えてみる

電子回路超基本

LEDの点灯について考えてみる

回路設計の経験者の方はこの項は読み飛ばして欲しいのである

ここでは、あえて電子工作と言う単語は使わない「電子工作」と言うと単なる趣味で終わりそうな気がするからなのである
学んだことは、趣味でも良いと思う、けれどこの手の知識は決して趣味だけで終わることのない、自己啓発の一つだと私は信じているのである

さて、前置きは別として今回はLEDの点灯について考えてみる

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PICなどのマイクロコントローラ入門で、例題に良く出てくるのがLEDの点滅である

LEDの点灯は非常にポピュラーであるが、原理原則について改めて記載してみた

1・LEDは順方向(アノード→カソード)に規定電流を流す
2・LEDは順方向(アノード→カソード)に規定電圧以上を印加する
3・LEDは許容電流値を超えると壊れる
4・LEDは逆方向電圧に弱い

まずLEDを点灯させるためには、アノード→カソード間に一定以上の電圧(Vf)を加え、普通のLEDで10mA,高輝度タイプで20mA位の電流を流す必要がある (定格は使用するLEDのデータシートを参照のこと)
一般的な用語では、点灯開始の電圧をVf、電流値をIfと言う記号で表す

少し乱暴であるが、電流制限が出来る安定化電源で点灯実験をしてみる
(電流制限が無い電源では絶対に試してはいけない)
最初に最大電流値を10mAに設定する
+端子にアノード –端子にカソードを繋ぐ
5mA,15mAで試してみる

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<上記は5mAで点灯させた所>

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<上記は10mAで点灯させた所>

一般的なLEDに10mA以上流しても、LEDの明るさには殆ど差は無い

例として5VでLEDを点灯させるためには
直列に470Ωの電流制限抵抗を接続する
(一般的なLEDのVFは3V以下なのでVf以上の電圧を印加する場合はVfを無視する)
この場合だと最大電流値は 5V ÷ 470Ω = 10.06mA である

LEDは定格電流で動作させるのが基本である

マイクロコントローラ例えばPIC12F675を5V動作させた場合のLEDを点滅させるためには以下の条件で接続する

GP3(4pin)以外のIOピンにLEDのカソードを接続し、アノードに470Ωの電流制限抵抗を繋げて、5Vの電源に接続する

12F675のプログラムで、接続したIOピンを’0’に設定すればLEDは点灯し、’1’に設定すればLEDは消える これはポートが’0’の時にPIC全体に流し込める電流の方が多いためである

この辺りは別途説明したいのである

方形波 の スペクトラム を測ってみた

方形波のスペトクラムについて

正確なサイン波以外の場合は高調波を含むのである
この事は、今更のことであり詳細に数学でも証明されている
(恥ずかしながら、私は証明出来ないが)

さて、オシロスコープの波形を観測することは、時間軸での電圧や電流の変化をモニタ画面で観測することである
そして、周波数成分とその強さをモニタ画面にプロットするする測定器がスペクトルアナライザである
最近では、デジタル処理技術の向上で、デジタルオシロスコープはFFT変換機能によって取り込んんだ時間軸での測定結果を周波数軸に変換出来る
周波数が比較的低ければ、デジタルオシロスコープはスペクトルアナライザを兼ねるのである

さて今日のイタズラは、方形波をスペクトルアナライザで観測するとどうなっているかである

昔の無線機では、マーカと呼ばれる発振器が付いていた
これは切りの良い周波数、例えば100KHzで正弦波をわざと歪ませた発振器である
マーカ(無線機によってはCAL  [Calibration])スイッチをONにする事によって整数倍の高調波を発生させ、その信号を受信することで、無線機の送受信周波数を確認している

100KHzのマーカで7.1MHzの受信周波数を確認する場合は、71倍の高調波を受信していることになる
正確なマーカ発振器があれば、発振周波数の整数倍の周波数で送受信周波数の校正が可能となる

例として、5MHz方形波の出力のOCXOのスペクラムと件のTS-700GⅡのスペクトラムを測定してみた

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<5MHzOCXOの方形波出力のスペクトラム 5MHz毎のスペクトラムが出力されている>

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<820MHz付近まで、観測出来る周波数が出力されている>

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<TS-700GⅡのマーカ発振器のスペクトラム 100KHz毎のスペクトラムが出力されている>

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<TS-700GⅡのマーカ発振器のスペトクラム 145MHz付近でも100KHzのスペクトラムが出力されている>

方形波の出力は、これだけの周波数成分を持った発振器である
今や、送受信周波数の確認も、パネル面の数値表示だけで確実にわかる時代である
そのため、現在ではマーカ発振器を使うことも殆どなくなった

しかしながら、デジタル表示機能が無い1970年代前半まで機械を使いこなすには、マーカ発振器は必須なのである

LA-1600 を使った 7.195MHz受信機の受信音

以前に記載した、SANYO LA-1600を使った7.195MHz専用受信機で7.195MHzを聴いてみた

単純な構成なので、比較的音質は良いと思うのである
AM用のフィルタは、murataの455KHzセラミックフィルタ6KHzの帯域幅のものである

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<このセラミックフィルタは通信販売で入手可能>

LA-1600を使う場合は、IFTが一段になってしまうため、選択度が不足する
単にAMラジオとしても、ラジオ用のセラミックフィルタが必要と思う
ましてや、混み合っている7MHz帯では必要不可欠である 近隣周波数にSSB局がいるが、6KHz程度の帯域だと、音質と選択度のバランスが良いようである

以下が、LA-1600を使用した7.195MHz A3専用受信機の受信音である

いかがであろうか

1波専用受信機の場合は、選局の仕組みが必要無いため、シンプルに制作可能である
アンテナ同調とプリセレクタとして7.2MHzの同調コイル、局発とし7195+455=7.650MHzの水晶発振回路を組み、LA-1600の局発端子に入力するのである
455KHzのIFTの後に、ちょっと良さ気なセラミックフィルタを奢ってやり、オーディオ増幅はTA7386で組むと3Vで動作する受信機となるのである

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<基板を小型SP-BOXに押し込んでいる>

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<裏面 電源兼VOLとANT端子だけ 水晶切替SWで周波数を切替える>

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<電源は単3電池2本 ロングワイヤーを適当に繋ぐと持ち運び自由で便利である>

本格的に、選局出来る受信機も良いのであるが、選局部分を考えるとVXOやらVFOなどの構成を考える必要がある
又、選局ダイアルの減速機構とか周波数表示とか考え出すと、キリがないのである
(これはこれで考えている楽しみもあるであるが)

で、1波専用として製作すれば同調回路を簡略化が出来るため、コンパクトなLA-1600を使った受信機としてはお勧めである

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その6 送信調整

この連休中に色々と突いていたTS-700GⅡであるが、やっと送信調整出来る段階となった
先週の到着時に、ざっと測った所FMで4W位の送信出力であった

準備として、パワーメータとダミーロードを接続する
とりあえず、FMモードで確認を行う

まずはMIX UNITの調整が先であるが….
調整するトランスが蝋で固められているので、一旦はパスした
(安直すぎるかも知れないが.. )

なお、ALCの半固定抵抗は、ここでは弄らないでおく
次にフィナルユニットである
まずは、DRIVE(PreSeleter)を送信周波数に合わせる
パワー計を見ながら送信を行い、FINALを最大値に合わせる (パネル分解後はここでツマミ位置を合わせる)
この後に、フィナルユニットのトリマコンデンサを終段から、パワー計の最大値に調整する

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<フィナルユニットは下面であり 丸印が調整箇所>

数回繰り返した所で、約12Wの出力が確認出来たのであった
(ALCを弄ると出力は上げられるが12W以上は出していけない)

次に、マイク端子の音声に1.5KHz程度の音声信号を入れる
USB,LSBそれぞれで出力を確認してみる
パワー計は約12W程度でこれも良好である (キャリア調整は又別途)

ちなみに、FM 無変調時の送信時のスペクトラムを測ってみた
測定範囲には輻射信号は無いのである (IMDは未測定)
とても素晴らしい機械である

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<100MHzスパン 全く綺麗である>

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<500KHzスパン これも非常に綺麗である>

今は、145MHz帯も昔と異なりガラガラである ガラガラに空いているのに144MHzの下方でわざわざ、お話している方々がいるのであるが不思議なことである

今更この機械をメインで使う事はないと思うが、さすが当時のメジャーマシンである
受信感度はイマイチ感があるが、とても良く出来た機械である
我が家の、ミニミュージアムにまた一台機械が増えたのであった
(追加申請が面倒ではある…)

それって粗大ゴミでしょ!! と言う声には負けていられないのである

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その5 受信の調整

今回は、一通りの整備を行ったTS-700GⅡの調整作業である

ネット検索すると、TS-700無印のサービスマニュアルは簡単に入手出来たのだが
TS-700GⅡのものは私は探す事が出来なかった
今回の修理は、TS-700の回路図とプロック図を参照していたのであるが、やっぱりマイナーチェンジで変更されている所が多々ある
従って調整作業については、資料が入手出来るまで項目によってペンディングとなる

又、TS-700GⅡの資料については、ネット以外のルートで探してみたいのである

さて、調整であるが 最初にキャリア周波数の確認である
CARRIER UNITのUSB,LSBの発振周波数と発振レベル調整である
これは、USB 10.6985MHz LSB 10.7015MHzの周波数を確認して、T1を最大値に調整する
この内容はTS-700無印と全く一緒である
正確な周波数カウンタが無ければここは触らないの無難である

(最終的にはフィルタの特性に合わせることになるが、最初の基準点の調整は必要)

次にHET UNITであるが、調整するトランス類は蝋で固定されている
安易であるがここでは、125MHzと126MHzの発振周波数の確認をした
ほぼ問題無しであった
(厳密にいうと数10Hzのズレはあったが、L1とL2の蝋を溶かして再調整するほどではないと判断した)

その後は、受信調整である
本来は、きちんとしたSG(SignalGenerator)を使うべきである
残念ながら、私はきちんとしたSGは持っていないので、その代用としてHF帯のパルスジェネレータを利用した
方形波出力なので、マーカ発信器と同じ理屈で使えるのである
但し出力レベルは全く当てにならない

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<信号源に使った方形波のジェネレータ 本来はSGを使うべき>

145MHzの1/5は29.000MHzである この周波数で方形波発振しアンテナとの結合を調整すれば、とりあえずはそれなりの信号源になる
ハンディ機で出せばと言う方も多いが、アンテナ端子にダミーロードを付けても強すぎて受信信号の調整には使いづらい

かなり離せば良いかも知れないが、これも操作性に難がある
グリッドディップメータで良いが、操作性でパルスジェネレータを使用したのである
(HF機はグリッドディップメータが便利である)

適当な信号源が用意が出来た所で、145.00MHzで受信調整を行う
AMモードにして、Sメータが3-5位の信号を受信する
DRIVEツマミを回して、Sメータが最大値の付近に合わせる この位置がDRIVEの145MHzの位置となる
再度Sメータが3-5位になるように信号源との結合を調整する

ここから、RX NB UNIT の調整である

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<写真はRX NB UNIT 丸印が調整箇所>

Sメータを見ながら、4つのトランスをSメータが大きく触れる様に調整する
これを、144.00MHzと146.00MHzでも確認をする (DRIVEは都度合わせること)
DRIVEの位置を確認して、ツマミを固定して、受信調整は終了である

話は飛ぶが、何故にTRIOはプリセレクタをDRIVEと言ったのであろうか?
普段FT-101Eを使っていると、この部分だけが違和感がある

送信調整編に続く

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その4 外観とインジケータ等々の整備

今回は、TS-700GⅡのインジケータや外観の整備である

一通り動作の確認をしながら、その不具合の対応をして来たTS-700GⅡである
今回は、RITのインジケータの球切れの交換から入る
インジケータの球は麦球であり、探せば入手は可能と思うが面倒なので
手持ちの高輝度LEDを使用した MAX20mAの白色LEDである
電流制限抵抗は1KΩとし14Vが印加されても最大電流は15mA以下である
横の「ON AIR」のインジケータも暗いので、一緒に交換することにする

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<高輝度LEDに交換したインジケータランプ 裏面より>

バネルやエスカッション類を含んだ外観は中性洗剤で洗い、完全に乾燥させる
ツマミ類も歯ブラシなど活用して、中性洗剤で洗い汚れを落とす
各ツマミのイモネジに軽くCRC-556を含ませた布などで、サビを落とす
一通りのクリーニングを実施して、フロントパネル面を順次組み立てを行う

実際にフロントバネルの分解・組み立ては面倒である
しかし、当時の機械がいかに、材料を含めて気合が入っていたかが理解出来るのである
VFOのダイアル窓は本物のガラスである
当時のデザイナーと外装設計は本当に大変だったのではないかと思ってしまうのである この外装を現在で同じモノを作るとしたら、とても高価なモノになるだろう 当時の大卒初任給 9.2万円 当時のTS-700GⅡの定価 134,800円 現在の価値で計算すると約30万円近くの超高級機だったのである

さて、とりあえず最組み立てしたフロントバネルである
レストア物までは綺麗にはならないが、まぁ実用上は問題ない範囲である
ここまで来ると、ボ○が無線機らしく見えて来るのも不思議である

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<最組み立てしたフロントパネル>

組んだ後は、フロントパネルのツマミ位置の調整である
ツマミ位置が確定されない、RITやDRIVE・FINALのツマミ位置については受信調整と送信調整と合わせて行う必要がある

次回は受信調整編

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その3 固定チャンネル発振停止やマーカ修理

シルバーウィークも3日目である (ちょっとしつこいのであるが)
本日もTS-700GⅡを突いていのるであった

さて昨日はVFOを片付けたのであるが、その後色々とチェックした所、固定チャンネルの状態が思わしくない
固定チャンネルの状態で、チャンネルランプが点滅するのである

まあ、このTS-700 GⅡを現役復帰させた所で、固定チャンネルを使う事は少ないと思うのであるがそうは言っても、気持ちが悪いのである

TS-700で素晴らしいのは、VFOや固定水晶の発振が停止すると、パネル上のランプも消灯するのである
なので、オペレータはこの表示で、正しく動作しているかを確認出来る
この不具合については、VFOランプは常時点灯なのに対して、固定チャンネルだけが消灯するのである

で、ブロック図を参照すると、HET UNITのQ1かQ2辺りの水晶発振回路か発振増幅回路ではないとか予想してみる

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<HET UNITの発振状態を追ってみた所>

オシロスコープでQ4のコレクタを確認した所、発振の振幅がチラチラと変化してるのが確認出来た
まずは、HET UNITのQ3 2SC470 を交換してみる
発振の振幅は大きくなったが、まだ発振の振幅が変化する、固定チャンネルのランプもチラツキが大分減ったが、まだ多少のチラツキがある
で、Q4の2SC470も交換してみる
これで、発振の振幅は一定となった

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<交換した箇所>

さて次に新たに見つけた不具合は、マーカが動作しない事である
それなり正確な信号源はあるので、家で使う分には周波数校正で困る事は無いと思うが、これもやはり気持ち悪いので修理にチャレンジした
これは、TS-700とTS-700 GⅡでは構成が異なるである
TS-700は1MHz発振で、VFOの起点と終点で校正を行う、TS-700 GⅡではロジック回路で分周して100KHz出力となっており、100KHzのポイントでVFOの校正が可能となっている

で、原発信のオシロスコープで確認するとこれも発振不良である、とりあえず2SC458を2SC2668に交換してる
バッチリである、発振を確認すると綺麗に発振している
周波数カウンタで100KHzの調整を行う 低い周波数の場合はレシプトリカル方式の周波数カウンタが必要である
100KHz出力をトリマで合わせ込んでマーカの修理は完了なのである

ちなみに今時の機械でマーカを使用する事は無い
マーカとは正確な周波数で発振する発振回路に出力を故意に歪ませた発振回路で、出力が歪んでいるために百数十倍位の逓倍波が放出される
その逓倍波を受信して、基準信号としてVFOを校正するのに用いる
VFOを使用している機械は殆ど搭載していた機能である

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<TS-700GⅡのマーカユニット>

新たな問題が…
マーカで、VFOのリニアリティ(VFOの目盛りと周波数の同期)を確認したのであるが
VFOの始点付近で、3KHz程度のズレがあるのである (>_<)
この調整には、VFOのカバーを外してバリコンの羽を調整する事になるが、超面倒そうである
この癖を覚えておけば良いので、今回はこのままにすることにした

必要なら、件の周波数カウンタのTS-700対応版を作って、TS-700Sもどきとする手も無くはない

次回に続く

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その2 VFOが発振停止する周波数への対応

シルバーウィークの2日目である
相変わらず、予定の無い私はボ○のTS-700GⅡを突いているのであった

さて、前回に続いて今回はVFOの修理にチャレンジすることとする
現象は、14X.4MHz以下と14X.6MHz以上でVFOの発振が停止することである

TS-700のVFOは8.200MHz~9.200MHzまでをカバーしている
(後、500KHz高ければFT-101のVFOと高低逆になるが互換性が有ったのに残念である)
症状として、8.600MHz付近から8.800MHz付近までしか発振していないのである

で、まずはバラシである
フロントのツマミ類とエスカッション類を取り外す
この機械は、移動運用等で水を被ったと思われる後がある
VFOのノブはサビで固着しており、取り外すのにCRC-556の助けを借りながら、小一時間も掛かってしまったのである

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<ツマミ類を外した写真>

その後、VFOの固定ネジ4箇所を外して、やっとVFO単体が取り外し出来る

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<VFOを取り外した所>

その後、VFO単体で動作確認を行う
この頃のVFOは単体で動作確認と調整が出来るので、この点は便利である

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<VFOの単体チェック>

その状態で、発振停止したVFOの回路をオシロスコープでチェックしていくと、Q1 3SK22が発振していない
オシロスコープのプローブであちこちを突いていると、一瞬発振する時があることを確認した
と言うことであれば、発振コイル・バリコンのどちらかの不具合と予想して、コイルを突いても状態が変化しない
バリコンを突いてみると、ロータ側の軸付近を突くと状態が変化するのである
機構を良くみると、板状のスプリングでロータのアースをしている
この板状の通電スプリングの接触不良である

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<通電スプリングの写真 ドライバの先端が通電スプリング>

で、対処として接点クリ-ナを掛けながら、細めのタコ糸で接点を清掃する
タコ糸を通す角度を変えながら、綿密に清掃をする
その結果は、8.2MH~9.2MHzまで全周波数問題無く発振することが確認出来た

その後、VFOのギアにごく少量のグリスでグリッスアップを行い、VFOのケースを取り付け発振レベルと発振周波数の確認を行った
周波数でのレベル変動は殆ど無く、周波数もピッタリである

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とりあえず、本体と繋いで動作確認を行う
おぉ 問題なく全周波数の受信が出来るのである (^_^)v

この後は、フロントパネルの清掃やら、インジケータ球切れや、全体調整を行う予定である
まだまだ、道のりは遠そうなのである

固定チャンネル修理編に続く

 

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その1 FMが聞こえない

シルバーウィークの始まりである、私はこれといった予定が無いので先日 林大先輩から贈呈いただいた、TS-700GⅡの修理にチャレンジしてみることにした

不具合箇所は沢山あるが、まずFMが受信出来ない不具合を追ってみる事にしたのである
(VFOの修理はパネル分解が必要なので簡単な所からチャレンジしてみる)

TS-700_block
<TS-700のブロック図である>

ブロック図を見ると、FM受信の時は’FM IF UNIT’に10.7MHzに変換された信号が入力されて、10.7MHzセラミックフィルタ通過後に、455KHzに再度変換され、その後にFM検波となっている
この回路を追えば、この不具合は直りそうではある

で、近くのハンディ機で145.48KHz付近でFMを出してみる
なぜなら、VFOが145.40以下は発振していなさそうなので、受信が出来る所でテストしてみる

音声は聞こえないがSメータは振り切れているので、受信の基本機能は正常そうである,’FM IF UNIT’’の入力には10.7MHzの信号は入力されているのである
次に455KHzの変換出力を確認すると455KHzのIFが出ていないのであった…

そうなると当然、第2局部発振の10.245MHzの正常発振の確認が必要である
’FM IF UNIT’のQ7 2SC460のコレクタにオシロのプローブを当ててみる
ビンゴであった 10.245MHzが発振していないのである

只この場合は10.245MHzの水晶発振子のアクティビティ低下も考えられるが、まずはQ7を換えてみることにしたのである

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<白丸部分が換えたトランジスタ>

2SC460なんて多分入手は難しいと思うので、手持ちの2SC2668を代用品で使ってみることにした
代用品を使う際に気を付ける事が一点ある
2SC460の足は、品種のプリント面の裏面から’E’,’C’,’B’の順となっているのである
最近の石で代用する場合は、取り付け方向には十分に注意すべきと思う

さて、トランジスタを換えてテストをしてみると,10.245MHzの発振が正常となったのである
この不具合については、FM IF UNITのQ7 2SC460の不良である

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<発振の確認画面>

ハンディー機で自分の声を送信してみると、音声の確認が出来たのである
この件の修理はOKそうである

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<動作不良の2SC460>

 

しかし、この後が大変(と言うか面倒)そうである

VFOの出力は、ピンコネクタなので簡単にチェックは出来る
オシロスコープで、VFO出力を確認してみる
やっぱり、VFOの周波数位置でVFOの発振が止まることが、確認出来た

VFOの修理編に続く

 

真空管 から トランジスタとIC化 そしてSDRのことをちょっぴり

増幅素子のミニ変遷である

この4つの部品は皆、増幅素子なのである
そもそも増幅素子とは、元の信号をより大きな信号や電力に変換する部品である

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写真の一番左は一般的な信号増幅用真空管である
真空管は、グリッドに加えられた入力電圧の変化が、プレートとカソード間の電気抵抗の変化となる
一般的にはプレートには200V位の電圧が印加されているので、グリッドに加えられた入力電圧の変化がプレート電圧の変化となり、増幅度は大きい
プレートへの印加電圧は高いが、電力増幅管以外では電流はあまり流せない

写真の左から2番目はゲルマニュウムトランジスタである
このタイプのトランジスタは、ゲルマニュウムを使用している初期の頃のトランジスタである
今のシリコントランジスタとは材料も作り方も価格も大きく異る
トランジスタは、ベースとエミッタ間の入力電流の変化が、コレクタとエミッタ間の電気抵抗の変化となる
ゲルマニュウムトランジスタはベースとエミッタ間の電流が流れ始める電圧値が約0.2Vと低い
従って、単純に現在のシリコントランジスタへの置き換えは簡単には出来ないことが多い

写真の左から3番目はシリコントランジスタである
このタイプのトランジタは非常にポピュラーなものである
材料の高純度なシリコンも安く量産され、技術の進歩で高い周波数まで対応が出来る
入力信号から出力信号の取り出し方は、ゲルマニュウムダイオードと同じである
但し、シリコントランジスタはベースとエミッタ間の電流が流れ始める電圧値が約0.6Vが標準的である
電力増幅用のトランジスタは、コレクタとエミッタ間の電流が多く流せる

一番右は電界効果トランジスタ(FET)である
この電界効果トランジタはゲートに加えられた入力電圧の変化が、ソースとドレイン間の電気抵抗の変化となる
一般的なトランジスタは入力は電流値なのに対して、電界効果トランジタは電圧値である
そのことは、真空管と同じく入力のインピーダンスを高く取れるため、高周波信号増幅によく用いられる

現在ではシリコンを材料としたIC化が進み、最近ではデジタル回路の高速化が著しくなりDSP(ディジタル信号処理)搭載のチップも多い
DSPでアナログで処理をしていた帯域フィルターや検波などがチップ内で処理が可能となっている
チップ内部のソフトウェアを書き換えると色々なフィルターや復調処理が可能であり、そのチップを使用した受信機をSDRと呼んだりしている
しかし、DSPのプログラミングは一般人には難しくチップの種類毎での互換性は殆どない、よく言われることにソフトを入替えて色々な受信機が出来るというのは嘘ではない、しかし一般人は神様が作ってくれるかも知れないソフトウェアのリリースを待つしかない (神様はアマチュアが好みそうなSSBとかよりも、需要が桁違いに多い携帯電話などのデジタル処理に興味がありそうであるし、神様も大変忙しそうである)

メーカの開発者であれば、部品点数が大幅に減らせるDSPを使ったSDRのアドバンテージは高いのであるが
量産をすることがない、一般人はディスクリート部品で遊んでいた方が自由度は高いと思う(2015現在)のである