ビンテージマシン を使う メリット と デメリット

今更、何で古い機械を使うの?  それって殆ど粗大ゴ○でしょ と聞かれることがある
自分自身への自問を含めて、メリットとデメリットをまとめてみた

ここで言う、古い機械とは1980年以前の機械としておく
何故1980年以前なのかは私の個人的な嗜好による所が大きいのであるが、1980年位までがVFO搭載機が販売されていたからである
VFOからPLLへの変遷は、別次元の周波数安定度と送受信周波数の直読による操作の利便性が大きく向上した
更に、いわゆる’マイコン’制御により周波数のメモリやスキャンなどの多機能化も大幅に進んだ
従って1980年代後半の機械は、整備さえされていれば現代でも十分に使用出来る操作性を持っている

しかしながらである
趣味で使用する機械なので、自分の思い入れは大きいと思う
その昔、憧れていた機械を使ってみたいとか、あの頃の操作感が懐かしいとか色々とあると思うのである

IMGP5860

<FT-101E(上) FT-101ZSD(下)  同じ名前だが異なる別マシーン 1970年代の憧れマシンであった>
この辺は、オールドカーの趣味と似ているのではないだろうか
オールドカーも、現在のクルマからすると、エンジンを始動するのにチョークレバーを引いたり、窓だって手動で開け閉めしたり、走る際には常に水温等に気を配ったり、燃料にはバルブを保護するために有鉛ガソリンを入れたり、相当の手間がかかる
メンテナンスも、整備工場真っ青の設備を自分で保持してメンテナンスをしている人もいる
それでも自分の思い入れのあるクルマで走ることが喜びなのであろう

初代セリカ

<懐かしのセリカ 1970年代の憧れた旧車である>

古い無線機も同じで、VFOのQRH(送受信の周波数変動)や送信時の同調調整、自分の発射している電波の質など運用時に気にすることは多い
極めつけは不具合時の対応であり、メーカ修理は殆ど期待出来ないし、修理可能な業者にお願いした場合は結構な金額になったりする
そもそも、当時の設計者も40年以上も使われるなんてことは考えもしなかったと思う

さて、前置きが長くなったがメリット・デメリットを整理してみたい

メリット
1.思い出(思い入れ)がある機械を使える
2.機械のデザインが好き
3.それを持つことで優越感を味わえる
etc..

デメリット
1.機械自体の信頼性が乏しい
2.操作が面倒で機能が少ない
3.真空管使用機種は電源投入から運用まで時間がかかる
4.変更申請に保証認定が必要
5.メーカのメンテナンスを殆ど受けられない
6.純正補修部品の入手が難しい
7.運用とメンテナンスはそれなりの知識・技術が必要となる

正直言って、運用面だけ考えるとデメリットの方が多い
ビンテージマシンを使って、メジャーコンテスト等で上位を目指す等は厳しいと思う
最新の機械は、最新の技術を駆使されて開発されているので、操作性・選択度・感度・混信対策・不要輻射などの基本性能は比べるまでもない

逆に考えると、普段はそんなにシビアなことに勤しんでいる機会は少ないと思うのである

のんびりと、自分の気に入った、思い入れの深い機械で、遊ぶのも趣味としては悪くはないと思う
私も、まだまだ駆け出し者であるが古い機械を楽しんで行きたい1人である

このブログも、古い機械を楽しむ方々のコミニケーションの場となることを目指しているのである

今後も皆様のご支援をお願いいたします

TS-700GⅡ の キャリアバランス 調整

件のTS-700 GⅡである
いわゆる、キャリア漏れを測定してみた
調整前は10dB程度(10W出力で1W程度のキャリア漏れ)で、とてもSSB送信機としての体を成していないのであった

測定は、USBモードで1.5KHzの正弦波を入力させた状態で、キャリアと信号波の電力比を測定した

IMGP5856

<調整後のキャリアと信号波 中心が1.5KHzの信号波 左右の山は左がキャリア分[右はイメージ]、信号との信号差は約45dB>

昔の機械では、SSB信号はDBM(DoubleBalancedMixer)と呼ばる回路に、キャリア信号と音声信号を入力し、一旦AM信号からキャリア分を除去した信号を生成する
その後で、2.4KHzの帯域フィルターを通して、片方だけの側波帯を通過させることで、SSBの信号を生成している
(最近の機械はDSP処理で信号を生成している機械もある)

TS-700の場合IF周波数が10.7MHzであり、USBのキャリア周波数は10.685MHz・LSBのキャリア周波数は10.715MHzとなっている
これは、USBとLSBそれぞれに帯域フィルターを用意出来れば、USB・LSBそれぞれにキャリアを用意する必要は無いが、帯域フィルタは高価であるためUSB・LSBで帯域フィルタを共用する知恵である

10.7MHzのキャリアで音声信号帯域が0.3K~2.4KHzの場合、USBの側波帯周波数は10.703MHz~10.724MHz・LSBの側波帯周波数は10.697MHz~10.676MHzになる
教科書だと2つの側波帯の山が描かれており、教科書的に考えた場合それぞれの側波帯周波数の中心を1.5KHzとした場合、10.715MHzと10.685MHzの2つの帯域フィルタが必要になる
逆の考え方で、USBとLSBのキャリアを切換える方式だと10.7MHzを中心周波数とした帯域フィルタが一つで済むのである

SSBの調整ポイントは、帯域フィルターに合わせたキャリア周波数の微調整キャリア成分の除去である

キャリア周波数の微調整は、帯域フィルターの経年劣化やバラツキで中心周波数等が若干ずれている場合に帯域フィルターの特性に、キャリア周波数を合わせこむ調整である
この調整がズレていると、送信音に違和感を感じる
具体的な調整方法は、音声入力に0.3KHz~2KHzの入力でほぼフラットな送信出力になる様にキャリア周波数を調整する

キャリア成分の除去については、DBM回路のバランス調整でありキャリアバランス調整とも呼ばれる
TS-700の場合はGenerator基板のトリマコンデンサと半固定抵抗の相互の調整を行い、残留キャリアが少なくなる様に調整する

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<白丸がUSBの残留キャリア調整箇所>

IMGP5858

<ちなみに、トリマコンデンサは経年変化で調整不可となっており交換>

私みたいな素人は慣れていないため、結構面倒で時間も掛かってしまうが、手慣れた人は手早く作業が出来関心してしまうのである

老婆心ながら、調整箇所はしっかりと確認すべきである、間違って別な箇所を弄ってしまうことの無いように十分な注意が必要である

 

昔の4pinマイクアダプタを作ってみる

本当に今更ながら、昔の4pin仕様のマイク変換アダプタを作ってみた
私の所にある1970年代の機械たちは、八重洲製が2台とその他2台であり、すべて4pinのマイク端子は八重洲仕様に統一してある

先日、件のTS-700GⅡが到着したのであるが、昔のTRIOの機械で使えるマイクが無いのであった
送信調整ではマイク端子にワニ口クリップで、発振器から信号を入力して計測していたが、実際の声を入力する手段が無い

1970年代の頃は4pinマイクが主流であり、モービル機までが4pinのマイク端子を備えていたのである
只、この頃は無線機自体のマイク入力のインピーダンスが従来の50KΩから600Ωに切り替わる頃だったので、マイク自体の出力インピーダンスが50KΩと600Ωの切替え式も多く存在した

まぁ冷静に考えて見ると、マイクの物理的な形状は全く同じなのに、動作しないのは複雑なことであった
我が家でも、同じ八重洲製なのに、FT-101Eは50KΩのマイク・FT-101Zは600Ωのマイクである

で、件のTS-700GⅡは600Ωのマイクなので、FT-101Zで使っているマイクと共用出来そうである

けれど、いちいちマイクコネクタのハンダ付けを変更するは、面倒極まりない
そこで、本当に今更ながらYASEUとTRIOの4pinマイクのアダプタをでっち上げてみた

マイクコネクタ
<YAESU と TRIO マイク端子比較>

図を見ていると、単に右に90度回転させると、端子が一致することに気付いたのである
この手のアダプタに手間を掛けたくないのと、シールド付きの4芯線の手持ちがないので
メスコネクタとオスコネクタを90度回転させてハンダ付けして、でっち上げたの下記の写真
メスコネクタの金属部をマイクのグランドに接続している

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<昔の機械用 YAESU→TRIO マイク変換アダプタ>

とりあえず問題無くは動作している

その後マイクの高機能化(UP-DOWN等)により、マイクコネクタの端子数は増えて専用化が進む
近年ではコンピュータ用RJ-45モジュラー端子となっている
いずれにしても、専用マイク以外はそのまま使えないことが多いのである
(アダプタも販売されているが....)

たかがマイク、されどマイクである 21世紀になってもやっぱり変わっていないと思うのであった

グリッドディップメータ で共振点を測ってみる

たまたま部品箱を漁っていたら、タンクコイルを発見したのであった
これも、大先輩の矢花氏から、無理矢理頂いてきたものである
その昔は、エアーダックスコイルと言うものが販売されていて、そのコイルを切ってタンクコイルに便利に使えたのであるが、もうエアーダックスコイルは販売されていない
送信機とかアンテナチューナなどを自作するには、とても便利であったのだがとても残念である

さて、今回はそのタンクコイルに100pFのコンデンサを繋いで、共振点を測ってみたのである

IMGP5847
<ディプメータのプローブコイルと平行して置いた、タンクコイル>

件のグリッドディップメータを使ってみた
動画では音声が入っていないので、若干補足をする

1.グリッドディップメータをコイルと誘導結合する範囲に近づける
2.発振周波数を最小にする
3.発振レベルをメータの1/3程度に絞る
(発振周波数が変化すると発振レベルも変化するため)
4.ダイアルをゆっくりと回して発振周波数を上げていく
5.メータの指示が落ちる所が共振周波数である
深く結合している場合はコイルの距離を離してメータ指示の落ちる値を少なくして測定する

下の動画は、ディプ点のメータの変化を記録している

この例では、比較的DIP点(メータの指示が落ちる点)はわかりやすい
これは、コイルのQが高く共振点と共振点以外のインピーダンスの差が大きいため、メータ指示がはっきりしている

今回の共振点の測定値は約50MHzである

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小さななコイルの場合は、DIP点が分かりにくいので、工夫が必要となる測定器である

なお、アンテナの共振点も同じ様に測る事ができるので便利である  是非、今更ではあるが良質なグリッドディップメータを入手して、活用して欲しいのである

色々と、楽しい発見がありそうである

超基本 LED の点灯について考えてみる

電子回路超基本

LEDの点灯について考えてみる

回路設計の経験者の方はこの項は読み飛ばして欲しいのである

ここでは、あえて電子工作と言う単語は使わない「電子工作」と言うと単なる趣味で終わりそうな気がするからなのである
学んだことは、趣味でも良いと思う、けれどこの手の知識は決して趣味だけで終わることのない、自己啓発の一つだと私は信じているのである

さて、前置きは別として今回はLEDの点灯について考えてみる

IMGP5842
PICなどのマイクロコントローラ入門で、例題に良く出てくるのがLEDの点滅である

LEDの点灯は非常にポピュラーであるが、原理原則について改めて記載してみた

1・LEDは順方向(アノード→カソード)に規定電流を流す
2・LEDは順方向(アノード→カソード)に規定電圧以上を印加する
3・LEDは許容電流値を超えると壊れる
4・LEDは逆方向電圧に弱い

まずLEDを点灯させるためには、アノード→カソード間に一定以上の電圧(Vf)を加え、普通のLEDで10mA,高輝度タイプで20mA位の電流を流す必要がある (定格は使用するLEDのデータシートを参照のこと)
一般的な用語では、点灯開始の電圧をVf、電流値をIfと言う記号で表す

少し乱暴であるが、電流制限が出来る安定化電源で点灯実験をしてみる
(電流制限が無い電源では絶対に試してはいけない)
最初に最大電流値を10mAに設定する
+端子にアノード –端子にカソードを繋ぐ
5mA,15mAで試してみる

IMGP5843

<上記は5mAで点灯させた所>

IMGP5844

<上記は10mAで点灯させた所>

一般的なLEDに10mA以上流しても、LEDの明るさには殆ど差は無い

例として5VでLEDを点灯させるためには
直列に470Ωの電流制限抵抗を接続する
(一般的なLEDのVFは3V以下なのでVf以上の電圧を印加する場合はVfを無視する)
この場合だと最大電流値は 5V ÷ 470Ω = 10.06mA である

LEDは定格電流で動作させるのが基本である

マイクロコントローラ例えばPIC12F675を5V動作させた場合のLEDを点滅させるためには以下の条件で接続する

GP3(4pin)以外のIOピンにLEDのカソードを接続し、アノードに470Ωの電流制限抵抗を繋げて、5Vの電源に接続する

12F675のプログラムで、接続したIOピンを’0’に設定すればLEDは点灯し、’1’に設定すればLEDは消える これはポートが’0’の時にPIC全体に流し込める電流の方が多いためである

この辺りは別途説明したいのである

方形波 の スペクトラム を測ってみた

方形波のスペトクラムについて

正確なサイン波以外の場合は高調波を含むのである
この事は、今更のことであり詳細に数学でも証明されている
(恥ずかしながら、私は証明出来ないが)

さて、オシロスコープの波形を観測することは、時間軸での電圧や電流の変化をモニタ画面で観測することである
そして、周波数成分とその強さをモニタ画面にプロットするする測定器がスペクトルアナライザである
最近では、デジタル処理技術の向上で、デジタルオシロスコープはFFT変換機能によって取り込んんだ時間軸での測定結果を周波数軸に変換出来る
周波数が比較的低ければ、デジタルオシロスコープはスペクトルアナライザを兼ねるのである

さて今日のイタズラは、方形波をスペクトルアナライザで観測するとどうなっているかである

昔の無線機では、マーカと呼ばれる発振器が付いていた
これは切りの良い周波数、例えば100KHzで正弦波をわざと歪ませた発振器である
マーカ(無線機によってはCAL  [Calibration])スイッチをONにする事によって整数倍の高調波を発生させ、その信号を受信することで、無線機の送受信周波数を確認している

100KHzのマーカで7.1MHzの受信周波数を確認する場合は、71倍の高調波を受信していることになる
正確なマーカ発振器があれば、発振周波数の整数倍の周波数で送受信周波数の校正が可能となる

例として、5MHz方形波の出力のOCXOのスペクラムと件のTS-700GⅡのスペクトラムを測定してみた

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<5MHzOCXOの方形波出力のスペクトラム 5MHz毎のスペクトラムが出力されている>

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<820MHz付近まで、観測出来る周波数が出力されている>

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<TS-700GⅡのマーカ発振器のスペクトラム 100KHz毎のスペクトラムが出力されている>

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<TS-700GⅡのマーカ発振器のスペトクラム 145MHz付近でも100KHzのスペクトラムが出力されている>

方形波の出力は、これだけの周波数成分を持った発振器である
今や、送受信周波数の確認も、パネル面の数値表示だけで確実にわかる時代である
そのため、現在ではマーカ発振器を使うことも殆どなくなった

しかしながら、デジタル表示機能が無い1970年代前半まで機械を使いこなすには、マーカ発振器は必須なのである

LA-1600 を使った 7.195MHz受信機の受信音

以前に記載した、SANYO LA-1600を使った7.195MHz専用受信機で7.195MHzを聴いてみた

単純な構成なので、比較的音質は良いと思うのである
AM用のフィルタは、murataの455KHzセラミックフィルタ6KHzの帯域幅のものである

IMGP5830
<このセラミックフィルタは通信販売で入手可能>

LA-1600を使う場合は、IFTが一段になってしまうため、選択度が不足する
単にAMラジオとしても、ラジオ用のセラミックフィルタが必要と思う
ましてや、混み合っている7MHz帯では必要不可欠である 近隣周波数にSSB局がいるが、6KHz程度の帯域だと、音質と選択度のバランスが良いようである

以下が、LA-1600を使用した7.195MHz A3専用受信機の受信音である

いかがであろうか

1波専用受信機の場合は、選局の仕組みが必要無いため、シンプルに制作可能である
アンテナ同調とプリセレクタとして7.2MHzの同調コイル、局発とし7195+455=7.650MHzの水晶発振回路を組み、LA-1600の局発端子に入力するのである
455KHzのIFTの後に、ちょっと良さ気なセラミックフィルタを奢ってやり、オーディオ増幅はTA7386で組むと3Vで動作する受信機となるのである

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<基板を小型SP-BOXに押し込んでいる>

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<裏面 電源兼VOLとANT端子だけ 水晶切替SWで周波数を切替える>

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<電源は単3電池2本 ロングワイヤーを適当に繋ぐと持ち運び自由で便利である>

本格的に、選局出来る受信機も良いのであるが、選局部分を考えるとVXOやらVFOなどの構成を考える必要がある
又、選局ダイアルの減速機構とか周波数表示とか考え出すと、キリがないのである
(これはこれで考えている楽しみもあるであるが)

で、1波専用として製作すれば同調回路を簡略化が出来るため、コンパクトなLA-1600を使った受信機としてはお勧めである

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その6 送信調整

この連休中に色々と突いていたTS-700GⅡであるが、やっと送信調整出来る段階となった
先週の到着時に、ざっと測った所FMで4W位の送信出力であった

準備として、パワーメータとダミーロードを接続する
とりあえず、FMモードで確認を行う

まずはMIX UNITの調整が先であるが….
調整するトランスが蝋で固められているので、一旦はパスした
(安直すぎるかも知れないが.. )

なお、ALCの半固定抵抗は、ここでは弄らないでおく
次にフィナルユニットである
まずは、DRIVE(PreSeleter)を送信周波数に合わせる
パワー計を見ながら送信を行い、FINALを最大値に合わせる (パネル分解後はここでツマミ位置を合わせる)
この後に、フィナルユニットのトリマコンデンサを終段から、パワー計の最大値に調整する

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<フィナルユニットは下面であり 丸印が調整箇所>

数回繰り返した所で、約12Wの出力が確認出来たのであった
(ALCを弄ると出力は上げられるが12W以上は出していけない)

次に、マイク端子の音声に1.5KHz程度の音声信号を入れる
USB,LSBそれぞれで出力を確認してみる
パワー計は約12W程度でこれも良好である (キャリア調整は又別途)

ちなみに、FM 無変調時の送信時のスペクトラムを測ってみた
測定範囲には輻射信号は無いのである (IMDは未測定)
とても素晴らしい機械である

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<100MHzスパン 全く綺麗である>

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<500KHzスパン これも非常に綺麗である>

今は、145MHz帯も昔と異なりガラガラである ガラガラに空いているのに144MHzの下方でわざわざ、お話している方々がいるのであるが不思議なことである

今更この機械をメインで使う事はないと思うが、さすが当時のメジャーマシンである
受信感度はイマイチ感があるが、とても良く出来た機械である
我が家の、ミニミュージアムにまた一台機械が増えたのであった
(追加申請が面倒ではある…)

それって粗大ゴミでしょ!! と言う声には負けていられないのである

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その5 受信の調整

今回は、一通りの整備を行ったTS-700GⅡの調整作業である

ネット検索すると、TS-700無印のサービスマニュアルは簡単に入手出来たのだが
TS-700GⅡのものは私は探す事が出来なかった
今回の修理は、TS-700の回路図とプロック図を参照していたのであるが、やっぱりマイナーチェンジで変更されている所が多々ある
従って調整作業については、資料が入手出来るまで項目によってペンディングとなる

又、TS-700GⅡの資料については、ネット以外のルートで探してみたいのである

さて、調整であるが 最初にキャリア周波数の確認である
CARRIER UNITのUSB,LSBの発振周波数と発振レベル調整である
これは、USB 10.6985MHz LSB 10.7015MHzの周波数を確認して、T1を最大値に調整する
この内容はTS-700無印と全く一緒である
正確な周波数カウンタが無ければここは触らないの無難である

(最終的にはフィルタの特性に合わせることになるが、最初の基準点の調整は必要)

次にHET UNITであるが、調整するトランス類は蝋で固定されている
安易であるがここでは、125MHzと126MHzの発振周波数の確認をした
ほぼ問題無しであった
(厳密にいうと数10Hzのズレはあったが、L1とL2の蝋を溶かして再調整するほどではないと判断した)

その後は、受信調整である
本来は、きちんとしたSG(SignalGenerator)を使うべきである
残念ながら、私はきちんとしたSGは持っていないので、その代用としてHF帯のパルスジェネレータを利用した
方形波出力なので、マーカ発信器と同じ理屈で使えるのである
但し出力レベルは全く当てにならない

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<信号源に使った方形波のジェネレータ 本来はSGを使うべき>

145MHzの1/5は29.000MHzである この周波数で方形波発振しアンテナとの結合を調整すれば、とりあえずはそれなりの信号源になる
ハンディ機で出せばと言う方も多いが、アンテナ端子にダミーロードを付けても強すぎて受信信号の調整には使いづらい

かなり離せば良いかも知れないが、これも操作性に難がある
グリッドディップメータで良いが、操作性でパルスジェネレータを使用したのである
(HF機はグリッドディップメータが便利である)

適当な信号源が用意が出来た所で、145.00MHzで受信調整を行う
AMモードにして、Sメータが3-5位の信号を受信する
DRIVEツマミを回して、Sメータが最大値の付近に合わせる この位置がDRIVEの145MHzの位置となる
再度Sメータが3-5位になるように信号源との結合を調整する

ここから、RX NB UNIT の調整である

IMGP5820

<写真はRX NB UNIT 丸印が調整箇所>

Sメータを見ながら、4つのトランスをSメータが大きく触れる様に調整する
これを、144.00MHzと146.00MHzでも確認をする (DRIVEは都度合わせること)
DRIVEの位置を確認して、ツマミを固定して、受信調整は終了である

話は飛ぶが、何故にTRIOはプリセレクタをDRIVEと言ったのであろうか?
普段FT-101Eを使っていると、この部分だけが違和感がある

送信調整編に続く

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その4 外観とインジケータ等々の整備

今回は、TS-700GⅡのインジケータや外観の整備である

一通り動作の確認をしながら、その不具合の対応をして来たTS-700GⅡである
今回は、RITのインジケータの球切れの交換から入る
インジケータの球は麦球であり、探せば入手は可能と思うが面倒なので
手持ちの高輝度LEDを使用した MAX20mAの白色LEDである
電流制限抵抗は1KΩとし14Vが印加されても最大電流は15mA以下である
横の「ON AIR」のインジケータも暗いので、一緒に交換することにする

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<高輝度LEDに交換したインジケータランプ 裏面より>

バネルやエスカッション類を含んだ外観は中性洗剤で洗い、完全に乾燥させる
ツマミ類も歯ブラシなど活用して、中性洗剤で洗い汚れを落とす
各ツマミのイモネジに軽くCRC-556を含ませた布などで、サビを落とす
一通りのクリーニングを実施して、フロントパネル面を順次組み立てを行う

実際にフロントバネルの分解・組み立ては面倒である
しかし、当時の機械がいかに、材料を含めて気合が入っていたかが理解出来るのである
VFOのダイアル窓は本物のガラスである
当時のデザイナーと外装設計は本当に大変だったのではないかと思ってしまうのである この外装を現在で同じモノを作るとしたら、とても高価なモノになるだろう 当時の大卒初任給 9.2万円 当時のTS-700GⅡの定価 134,800円 現在の価値で計算すると約30万円近くの超高級機だったのである

さて、とりあえず最組み立てしたフロントバネルである
レストア物までは綺麗にはならないが、まぁ実用上は問題ない範囲である
ここまで来ると、ボ○が無線機らしく見えて来るのも不思議である

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<最組み立てしたフロントパネル>

組んだ後は、フロントパネルのツマミ位置の調整である
ツマミ位置が確定されない、RITやDRIVE・FINALのツマミ位置については受信調整と送信調整と合わせて行う必要がある

次回は受信調整編