ビンテージマシンのアキレス腱

ビンテージマシンのアキレス腱は、、バンド切替えのロータリスイッチと思うのである

製造時は、それなりの耐久性を意識したモノを選定しているのであるが、40年近くの歳月はいかんともし難い
バンド切替えについては沢山の回路を切替えており、送受信の局発のクリスタルから、ドライバ段の同調と終段のタンクコイルのタップ切替など多岐の切替がここに集中している

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<FT-101Zのバンド切替スイッチ 横の長いシャフトがバンド切替である>

このバンド切替のロータリスイッチに接触不良が出ると、様々な症状が発生する
送受信出来ない、特定バンドで受信出来ない、送信出来ない等々..様々である
特に、長年使っていない場合はロータリスイッチの不具合が多く出やすい
只、多くの場合はバンド切替をノブを幾度が切替えることをすると、復帰することもある

操作バネルのノブから、長いシャフトに接点が取り付けてあるウエハーと呼ばる基板が10枚近くシャフトに連結されている
これらの接点の一つが、接触不良となっても何らかの不具合が発生する
また、前記の通り様々な回路からの切替えの配線が、このロータリスイッチに集中するため、周囲の配線は膨大な数となっている
このロータリスイッチを交換する場合は、仮に新品が入手出来たとしても多大な労力を必要するのである

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<FT-101Z ドライバ周りの同調切替周辺>

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<FT-101Z ファイナルの同調切替周辺>

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<FT-101Z ファイナルのPLATE,LOADINGのシャフト LOADINGはチェーン駆動である>

さて、このバンド切替ロータリスイッチのメンテナンスであるが、最初に禁止事項がある
それは、絶対に接点復活剤をスプレーしてはいけない のである
特に、送信のドライバと終段が真空管の場合、接点によっては高電圧が印加されている
そこに、接点復活剤が塗布された場合、高い電圧部からリークしてしまう
問題はリークするポイントが不定であるため、実際の不具合については予測不能である
この場合は、その機械は本当のジャンクとなるか、ロータリスイッチを交換することになる
ロータリースイッチの各ウェハー(接点基板)は乾燥していないといけないのである

メンテナンスについては、無水アルコールを綿棒に染み込ませて、綿棒で各接点を拭き取るのが正攻法だと思う
もしくは、接点洗浄剤で各接点を綿棒で拭くかである、接点洗浄剤を使った場合は数十分以上乾燥させないといけない
結構骨の折れる作業であるが、’急がば回れ’である

ちなみに1980年代頃からのマイコン制御の機械は、この切替えをマイコンとリレーで行っている
特にバンドパスフィルターのバンド切替えについては、配線がとてもスマートになっている
けれど、高周波電力を扱う部分については、どうしてもリレーによる接点切替えとなっている
比較的新しい、マイコン制御の機械はリレーのメンテナンスが必要となる

Drake R-4A に水晶を増設してみる

件のR-4Aである

このR-4Aはバンド水晶の取付端子が10個ある
実装済の水晶はバンド着替え時に選択されるが、XTALSの水晶を選択するとオプションのバンドを受信することが出来る

標準で搭載されている水晶はアマチュアバンドのみであり、受信周波数は以下の通りとなっている
3.5MHz~4.0MHz
7.0MHz~7.5MHz
14.0MHz~14.5MHz
21.0MHz~21.5MHz
28.5MHz~30.0MHz

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<R-4Aの水晶デッキに水晶を取付でみた>

上記以外のバンドを受信したい場合は、後面の水晶デッキに水晶を増設することで受信可能となる受信範囲は、5.5MHz~6MHzを除く1.5MHz~30MHzである

偶々、部品屋さんに行った時に発振周波数20.5MHzが安価で売っていたので購入したのである
サイズは今時なので、HC49USである
当然、R-4Aの水晶デッキはHC-6/Uである、アダプタを適当にでっち上げてみた

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<でっち上げた水晶アダプタ 取付けている水晶は20.5MHz>

本来であれば20.6MHzの水晶で9.5MHz~10.0MHzが受信可能となる

水晶を個別に発注すれば問題無いのであるが、中々個人的な財政も厳しいので、近い周波数の安価な水晶で試してみることにした
今回は20.5MHzの水晶なので、9.4MHz~9.9MHzとなり、VFO表示は100KHz高くなるのである
まぁ、一個150円の水晶なので贅沢は言えないのである

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<R-4Aで9.750MHz Radio Janpanを受信してみる>

短波放送のメッカである9.5MHz帯である
時間帯にもよるが、これは調子良く入感するのである
R-4Aの場合はLCフィルタによる4.8KHz帯域は、放送受信はとても快適である
VFOの表示ズレは意識すれば、特に問題は無い

後は、38.1MHzの水晶が安く販売されているのを探したいのである

TS-700無印とTS-700G2の違い

TS-700(無印)は1973年に発売された145MHz帯のオールモード機である
その2年後にTS-700GⅡがマイナーチェンジとして発売されている
見た目の外観は大きくは違わないが、それなり変更がなされている

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<TS-700無印の操作パネル>

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<TS-700GⅡの操作パネル>

まずフロントバネルのノブである
TS-700   TS-700GⅡ
RF GAIN → AF GAINと同軸になり、下段右に移設
出力調整無し → 上段左に新設 (TS-700のRF GAINの位置)
SQUELCH → 下段中に移設し、左回し切りでCAL(マーカ機能)SWとなる

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<TS-700無印のスイッチ>

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<TS-700GⅡのスイッチ>

 

スイッチ類の変更は以下の通り
TS-700   TS-700GⅡ
NB → メータのS表示とセンタメータ切替
CAL → SQUELCHと共用になり、この位置はNBとなる
RIT → 変更無し
SPOT → FMのバンド幅切替 WIDE/NARROWとなる

リアバネルは、内部の20VDC/DCコンバータ専用のヒューズがTS-700 GⅡで廃止となる

TS-700無印とTS-700G2の運用上の違いのポイントは以下の4点である
・TS-700無印は出力を絞ることが出来ないTS-700GⅡは0.5W程度まで段階的に絞れる
・CAL(マーカ機能)はTS-700無印は1MHzHz単位、TS-700GⅡは100KHz単位でのVFO校正となる
・TS-700GⅡはFM時にメータをセンターメータして使用出来るが、無くても問題はない
・FMのWIDE/NARROW切替、現在はNARROW固定なのでTS-700無印でデビエーションの調整がされていれば問題はない
回路構成については大きな変更は無いが、各ユニットの互換性が無いユニットがある
単純に相互のユニット転用は出来ないと考えた方が無難であり、回路図とユニット番号を調べてからすべきである
オプションや、水晶はそのまま転用が可能である

TS-700無印も、きちんと整備すれば使えそうである

FM変調 の デビエーション調整 をしてみる

FM変調のデビエーションとは、音声を入力した時の周波数の変動範囲のことである

デビエーション調整がきちんとされていないと、いわゆる’変調が浅く’なったり、場合によっては隣接のセパーレーション周波数に混信することになる

145MHz帯のFM変調の占有周波数帯幅は16KHzであり、20KHz毎に周波数を使用することにより隣接周波数の混信を防ぐことが出来るが、デビエーション調整がいい加減だと妨害を与えることになる

実際には、雰囲気でデビエーションの調整を弄って深くしている人は多いかも知れないが、この調整がいい加減だと、隣接周波数に混信を与えることになるため確認が必要である

本来は、このデビエーション調整には専用のデビエーションメータが必要となる
残念ながら私は所有していないので、スペクトルアナライザで簡易調整してみた

最初に、マイク端子に一定の音声信号を加える 私は低周波発振器で1.5KHzをマイク端子に入力する
無線機のマイクゲインを中央値にする
当然のことながら、アンテナ端子にはダミーロードと-40dB程度のCMカップラや減衰器を通して測定器に接続する
該当周波数を受信出来る他の受信機を用意する

送信して低周波発振器の出力を上げていくと、ある一定以上のポイントで変調が頭打ちとなる
(この回路が試験勉強で覚えたIDC回路と呼ばれる変調信号のリミッターである )

変調が頭打ちのポイントで、スペクトラムを計測する

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<TS-700GⅡで、上記条件で測定してみた所>

スペアナでみると頂点の2つのピークの間が、現在の周波数偏移である
この間隔が5KHz以内なるようにデビエーションを調整する
占有帯域幅についても、-50dBのポイントで20KHzとすれば問題無いと考える

一旦、件のTS-700GⅡを調整してみたのであった

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<デビエーション調整中のTS-700GⅡ>

周波数変位は規定範囲の約4.6KHzであるが、若干占有幅が広い気がするのであるが、 この程度であればローカルにも迷惑を掛けることなさそうである

 

ビンテージマシンと新スプリアス規格

先月、総務省から、新スプリアス規格への対応に関する手続がHPに掲載された
そもそも、新スプリアス規格に対応していない設備を使用する場合の既定概要は以下の通りである

2017年(平成29年) 11月30日まで
・旧スプリアス規格の無線機でアマ局の開設・変更が可能

2017年(平成29年) 12月1日以降
・無線局の開設・変更は新スプリアス規格準拠の無線機のみ
・既に免許されている新スプリアス規格に未対応の無線機でも運用可能
・既に免許されている局の再免許は降りる、しかし新スプリアス規格に未対応の無線機は2022年(平成34年)の12月1日以降は運用が出来ない

2022年(平成34年)の12月1日以降
・新スプリアス規格に未対応の無線機は運用出来ない

今回総務省から「スプリアス規格への対応に関する手続」発表された概要
ビンテージマシンに関係する概要は以下の通りである (詳細は各自確認して下さい)

1. 送信機出力端子と空中線との間にフィルタを挿入して対応する場合
無線機器の出力端子にフィルタを挿入し、新スプリアス規格に適合させることで、継続使用可能 手続は以下の通り
a、総合通信局に変更申請を行う
b、変更許可後に、無線機器のスプリアスを測定する
c、工事完了届にスプリアス発射及び不要発射の強度確認届出書を添えて提出
この場合、測定器は較正後1年以内のものに限られる

2. 製造業者等が測定したデータの活用をする場合
<メーカが測定したデータがある場合はスプリアスの測定が不要となる ビンテージマシンには殆ど該当はしなさそうである>
但し、以下の内容は注視が必要である
‘これらのほか、アマチュア局については、保証の手続を活用することも可能です’

今後、どのような形で対応施策が出てくるかは見守りが必要である
上記の、自分で対策して測定については今まで見解が無かったので少し進歩したと思う
只、スペクトルアナライザは1年以内に校正したものとなっているので、自分で事業をしている人かお大尽でないと中々厳しそうである。
強度確認届出書に測定器校正証明を添付必須と言われそうな予感もする

現在の新スプリアス規格の内容を額面通りに読むとアマチュアに厳しい内容に思える
クルマはビンテージカーでも実際に走れる法規制となっている (税金は高くなるが)
他業務を妨害するようなスブリアスは論外であるが、アマチュアバンド内での規格については、もう少し考慮した上で明確にして欲しいものである

いずれにしても2017年の11月までは、ビンテージマシンでも免許は降りるのである
そして、2022年11月までは免許が降りた機器は使用出来るのである
今のうちに入手し、免許申請や変更届の申請するのも一つの手法ではある

但し、実際の電波の質については、オーナが責任を持つのは当然である
古い機械だからと言って、スプリアスやスプラッタの放射は許されない
定期的に、モニタしてきちんと調整を行った上で、運用を心がけたいものである

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<昔作ってみた 7MHz A3 [0.1W],A1[0.5W] 送信機  短波ラジオとセットで遊べる>

アマチュアならではの楽しみ’自作機’も、 2022年(平成34年)の11月30日までは楽しめる、それ以降は意地でも新スプリアス規格に合致させて運用したいものである

技術的概要はこちら

1970年頃の部品実装とプリントパターン

件のTS-700GⅡを色々と弄っていて思うことである
この機械も1975年頃の製造と思われる

日本のプリント基板の歴史は以外と古い、戦前の昭和11年に民生用ラジオに搭載されている
1950年代以降のトランジスタ化による機器の小型化で、プリント基板は多用される
プリント基板によって、配線の品質が上がると共に生産の効率化が大きく進み、実装密度の高い商品が続々誕生したのであった

そのプリント基板なのであるが現在はその殆どが機械で生産される、実装密度も半導体に近いモノになっている
しかしその性質上、大量生産には向くが、多品種少量生産の場合は基板の共通化などの工夫が必要となる
アマチュアレベルで多くて数台とかの制作規模だと、プリント基板のアートワーク設計(パターン設計)や製造装置への設定等々のイニシャルコストも出ないと思う

さて前置きはここまでとして、TS-700GⅡの基板であるが、多分手作業で基板に部品を実装していのではないかと思う
基板のランド(部品をハンダ付けする領域)にリード部品のリード線が、きちんとパターン方向に曲げて取り付けてある
これはこれで新品時の品質を上げる当時の手法である
私が小学生の頃、親にねだって買って貰った2石ラジオキットの組立説明書にも、リードは外れない様にパターン方向に3mm程度曲げて取り付けるとか言ってあった記憶がある

只、リードを曲げて取り付けてある部品を、取り外すのは集中力と根気が必要である
この頃のアナログ機器は単層基板なのであるが、ベーク基板と呼ばれる紙フェノール基板である
問題は、修理時にプリントパターンが傷みやすいのである
更にリードを曲げて取り付けてあるので、ハンダ吸引機を使っても結局ハンダゴテを当てながら曲げてあるリードを元に戻す作業が必要になる

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<プリントパターンのハンダを除去した所 ランドに沿ってリード曲げてある>

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<部品を外した所 パターンを傷つけない様に細心の注意が必要>

この作業を雑に行うと、あっという間にプリントパターンを剥いでしまうことになりかねない
パターンにストレスを加えない様に、リードの曲げを元に戻すのであるが、実装密度の高い箇所だと、複数の部品を合わて絡げでいることもある
ハンダを除去して、該当部品が複数の部品と絡げてあると、気持ちがブルーになってしまう

ネットで検索すると、古い電解コンデンサは有無を言わずに交換とか書いてあるが、集中力と根気のなさせる技と思うのである
特に3本足のトランジスタだと更に面倒である

まだTS-700は比較的修理の作業性が高いのであるが(プローブも当てやすい)、作業性の悪い機械でこの作業を行うのはかなり躊躇してしまう
(仕事でやられている方は本当に大変かと思う)

古い機械を弄るのも、気合と根性と技能が必要みたいである

LCRメータ

その昔は、メーカの実験室や大学などの研究室位でしか、お目にかかれない測定器であった
コイル自体の断線確認と電解コンデンサの簡易確認は普通のテスターで出来るが、
アマチュアの場合は、インダクタンス値とかキャパシテンス値の測定は、標準コイルや標準コンデンサを用意し、それを基準に共振させて共振周波数から逆算して目的のインダクタンス値やキャパシタンス値を求めていたのである
近年、アマチュアでも手が届くLCRメータが安価で入手出来るようなった
それも8千円程度でである

これは、ある意味大きなイノベーションだと思う
測定器が高価で入手出来なかった、アマチュアレベルである程度の精度で、インダクタンス値やキャパシタンス値が測れるのである
高周波回路を弄る場合、どうしてもコイルやコンデンサが付き物である
色々な制作事例とかは、昔の雑誌やらインタネットに掲載されているであるが、市販以外のコイルについては再現性が乏しいことが多かったのである
アミドン社のフェライトコアを使用し巻線の指定があるものは再現性が高いが、空芯の場合はコイルの径や巻き方でインダクタンスは変化してしまう

自分でコイルを巻いた時に、そのインダクタンス値が解るのは大きな変化である
LCRメータも高価なモノは測定周波数を高く設定出来、更にコイルのQ値まで測れるモノがある
しかし、一万円以下のLCRメータも中々素晴らしいのである
私が使用しているものは、測定最大周波数は100KHzであるが十分である
(Q値の測定はちょっと100KHzだと厳しい)

また、キャパシタンスの測定もテスターとは雲泥の差である
pF単位のコンデンサの容量も直読出来る
コンデンサの場合、殆どの場合は既成品を使用していると思うので、測る必要あるの?
と言われる方もいらっしゃるとは思う
全くその通りであるが一番役にに立つのは、ジャンク品から外したバリコンの測定である
一発で最小容量と最大容量が判別するのである
また、古い機械をお持ちの方々も多いかと思う、よく言われる電解コンデンサの容量抜けについては、外した電解コンデンサの容量がチェック出来るのである

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<バリコンの最大容量を測ってみる これは460pF>

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<バリコンの最小容量を測ってみる これは22pF>
測定器も価格破壊がここまで進んでしまったようである
けれど、アマチュアには今まで出来なかったことを、実行できるチャンス到来である
Tektronix様のデジタルオシロスコープも50MHz・FFT付きが新品5.2万円で購入可能であり、リーダ電子で販売しているスペクトルアナライザもTG付きで19万で購入可能である

今まで言い訳としていた、測れない…が無くなりつつある
折角の機会である、私はまだまだ入門者であるが測定器を使いこなすスキルを勉強して行きたいのである

TS-700GⅡ をさらに弄ってみた

件のTS-700GⅡである
とりあえず、色々と試験して来たのであるが、FMの受信音がどうにも歪ぽいのである
USBでは気にならなかったのであるが、今回のその対策である

最初は、身近のハンディ機からFM信号を出して信号を追ってみたのであるが、いかんせん私の技量ではオシロスコープの波形で不具合箇所を特定出来ていない
(まだまだ技量と勉強不足である 殆ど言い訳であるがFM変調のSGが欲しいのである)

当初はFM IFユニットのAF出力が怪しいと思ってとりあえず、電解コンデンサを換えてみたのであった なんとなくは良さ気な感じがするが、ここも一個も容量抜けの確認は出来ていない

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<音声主力系の電解コンデンサを交換したAFユニット>

今回はAF入力段から電解コンデンサを換えてみることにしてみた
これって以外と面倒である、パターンの裏面が把握出来ていれば良いのだが、一発で該当のランドに当たらないことが多い
大きめの電解コンは楽にランドが判明出来るので比較的楽である

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<TS-700GⅡで交換した部品たち 電解コンデンサの容量抜けは一個も発見出来ず..>

という事で、今回も一個毎に外したあと、容量計で容量を計測してみた
結局明らかな容量抜けは今のところ一個も無い
只、一箇所の電解コンデンサを外した所、液漏れらしき後が有り、該当の電解コンデンサを交換した所、歪感は改善したのである

が..まだ歪感が残るのは多分気のせいなのであろう….. (まだまだ続くかな)
けれど、該当の電解コンデンサの容量は規定通りであった
これも勉強不足で何故そうなるかが分かっていない

受信音質も改善した所で、ダミーロードを使って144MHz~146MHzまで出力の確認を再度行った
145.50付近から出力が低下し、146MHz付近だと5W程度まで低下する
私はお月様まで電波を飛ばすことも無いので、このままで良いと思ったのであるが、気持ちが悪いので結局もう一度終段調整をやり直したのであった

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<もう一度再調整している所>

結果として、144MHz~146MHzまで10Wの出力は出る様になった

後は我が家の、古い機械たちの一員として活躍してもらうばかりである

 

PIC の水晶発振子入力で VXO を試してみる

ふっとした思いつきである
PICでマーカ発信器が出来れば、超安く出来るのでは? と妄想を抱いたのであった
冷静に色々と考えた所、クロック入力の補正はソフトウェアでの補正は無理なのである

例えば、周波数カウンタではゲートタイムの値を正確に補正すれば良い
ゲートタイムは1/100秒とか1/10秒の単位なので、正確な基準信号があれば補正も可能である
しかし、マーカ発信器として使うには、ソフトウェアでの補正は実行命令ステップ単位で4クロックなので、低い周波数であれば可能性はあるが周波数が高くなると実質的に不可能である

で、考えた結論はPICの水晶発振子の入力に、LとCを付けてVXOを構成してみる実験をしてみた
今回は部品箱に転がっている12F675で実験してみる
まずは素の水晶でPICと接続して発振させてみる
水晶も貰い物なので想定負荷容量などは不明である、発振周波数は2KHz程高く発振していたのである

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<必殺 空中配線で水晶を繋ぐ>

さてPIC + VXOの実験である
まずは発振コイルを作る 私は10Kボビンが転がっていたので、それに巻いてみた
一旦の想定インダンクタンスは10μHである
コイルが組み上がったところで、仮組みで実験してみる
素晴らしい…. 約19.999…MHz
発振周波数が3KHz低く発振出来たのである

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<このボビンを使用する>

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<分解して 元に巻いてある線をほどく>

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<今回は上段8T 中段8T 下段8T 計24Tを巻いた 9μH~14μHとなった>

気を良くして、基板に実装してみる
元々の発振周波数が高い水晶なので、コンデンサの容量は小さめに15pFとしてみた

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これで、発振周波数の変化範囲は、19.995MHz~20.004MHzと約10KHz程度の幅が確認出来た
PICは発信器としても使えるではないか…
但し、クロック発振周波数20MHzの数10Hz単位で安定しないのである 全体をシールドしてしまえば安定度は増すと思うが、そこまでする程のモノではない

また、データシートだと水晶の両端をコンデンサでグランドに落とすのが正当だと思うが、その部分にL・Cを付けても上手く変動しなかったのである 究極の力技でLCをぶち込んだが、回路的に水晶のグランドがフローティング状態なので、不安定の理由はそこらへんかも知れない

PIC_Marker

<回路は簡単であるが、発振コイルと水晶・C2の配線は最短かつ発振コイルと水晶の筐体はアースが必要である>

今回は、マーカのテストなので、500MHzのマーカをでっち上げてみた
発振コイルのコアで、20.000.000MHzにHz単位で合わせる
あとは、超簡単な手抜きファームを入れ込むだけである
(超短いので500KHz版のソースを掲載する 当然ノンサポートである)

好きな人は、ソースを変更して100KHzなり25KHzなりのマーカに仕上げれば良いと思う

ちなみに、PICでVXOなんてマイクロチップ社は想定もしていないと思うので、当然誰も動作保証なぞしてくれないのである

超手抜きであるがソースは以下のリンクで

PIC_MARKER

超高級品 の グリットディップメータ

DELICA SP-7型  高級品なのである

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<高級なグリットディップメータ>

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<高級な糸かけ式減速機構>

普及品のグリットディップメータは、発振周波数の調整ダイアルが内部のバリコンに直に繋がっている
微妙な周波数の調整については、技が必要である
高級品である、このグリットディップメータは周波数調整ダイアルが糸掛け式で減速機構があり、発振周波数の調整がスムースである
メータも大きな丸型で、DIP点の変化がとても見やすいのである

普及品と大きく違うのは、プローブコイルである
HamBandGridDipMaterは10mm径のボビンにプローブコイルが巻いてある
普通に使うには十分であるが、金属ケースに入っているIFT等のコイルの同調確認をする時は、どうしてもコイルのQ不足を感じることがある

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<高級なプローブコイル>

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<高級なメータ とても見やすい>

ところがSP-7型のプローブコイルは19mm径である、従ってプローブコイル自体のQ値が高いので、結合度が弱い共振回路でも共振値が測りやすいのである
またDIP点の変化も急峻である
本体電源のジャックはこれまた高級なキャノンコネクタ 2Pである

当時はこのDELICA SP-7型は事業者向けの測定器であった
現場で、何をどの様に計測していたかは、知るよしも無いが、吸収型周波数計や信号発生器もしくは電界強度計として活躍していたのかも知れない

ちなみに、対応周波数は1.5MHzから250MHzを6個のプローブコイルでカバーしている
なお、最も周波数の高いAコイルは先端に透明のキャップがあり、結合方向が確認出来るとともに無用な接触事故を防止している

私は普段は、普及品のHamBandGridDipMaterを使用しているが、どうしても同調が測れない時に、この高級品に登場してもらうのである
特に高級品はQが高く、空中線の共振点を測る際にはとても便利である

この高級品は大先輩の矢花氏から無理矢理強奪しているのである
(申し訳ありません..とても役にたっています)

高周波測定器が揃っている大先輩(大先輩はアマチュアと仰っているがプロの事業者である)であるが、ネットワークアナライザが有ろうが、グリットディップメータは手放せないと言う
プリミティブな測定器であれ、便利なモノは便利である