1970年代に流行った別な無線機器

なつかしのCB無線機、500mWで8CHの合法機なのである
この機械は数年前にローカルから、不動機を頂戴したのであった
(我が家のモノは結構貰ったモノが多い)

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<National RJ480 少し新し目のCB機で1980年代モノである>

CBが流行った頃は、私も多感な中高生であった
何時頃にXCHで出るからねぇ なんてクラスで騒いでいる友人をとても羨ましく思ったものである
私の超田舎の実家あたりでも、クラスのメンバーが数人出ていたので、結構な数はオンエアーしてのであろう
当時私が使えた短波にアクセス出来る機械は、スカイセンサー5600のみであり、このラジオは短波帯は12MHzまでしか受信出来ず、
私にはCB帯域なんて受信出来ないのであった
(当時はクリコンなんことを考えられる頭脳は無かったのである、ワルガキの頃そんなもの作れる頭脳と技能があれば私の人生も大きく変わっていたであろう)

さすがに、親に泣きつこうにも一年前にスカイセンサーをねだっていたので、無理なのは子供心に良く理解出来た
その頃は、何故かワイアレスマイク付きのラジカセや、50mW機のCB付きラジオまで市販されていた時代である
で、親に許しを得てお友達の家にCB交信を見学させて頂いた覚えがある

感動したのは、チャリで十分位の距離で十分に交信出来ていたことである
これがあれば、自分が自由に使えない一家に一台の電話より、素晴らしい世界がありそうで胸がワクワクしたものである

当時は、CB無線とはいえ無線局申請を行い無線局の免許を必要した
当然従事者の資格は不必要である
工事現場などでも交通整理で使っていた、今考えると長いアンテナを付けた受話器みたいである

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<長いアンテナである この機種は比較的短い方らしい>

その辺りから、米国向けCB機在庫が国内に大量に出回りはじめ、いわゆる違法CBがはびこり始めた
ノーマルの米国向けCB機であればAM5Wの出力なので大きな混信はなさそうであるが、私の超田舎の実家でも電源が入っていないステレオのスピーカが鳴る位のインタフェアが入っていたので、その頃には強力なリニアアンプも出回っていたのであろう
話が昔話になってしまったが、昔の少年の憧れグッズの一つであった

現在でも、フリーライセンス(アマチュアもやっている方々も多い)の方々で、交信が行われている
CB機も新スブリアス規定に該当するとのことで、有志で昔の機材に手を入れて技適を取得している猛者の方々もいる
まぁ、あれだけ少年の心を踊らせた機械である、思い入れの強い気持ちも良く理解出来る

この機械を修理した時に数回交信をしてみた、ロケーションにもよるが数キロの交信は当然だが可能であった
Eスポが出ると当然に遠距離とも交信出来る

不勉強でCB機のレギュレーションに疎いのであるが、アンテナは内蔵ロッドアンテナのみ・500mW・A3・電源も内蔵電池か純正アブプタのレギュレーションは面白いと思う
アマ機でも、30cm以下のアンテナ、1W以下、標高1000m以下のロケーションなどのレギュレーションで、催しをやれば楽しいかも知れない
その意味ではレギュレーションがしっかりしているCB機で遊ぶのも大変面白そうである

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<内蔵電池は単3✕8本 専用の12Vアダプタの端子も付いている>

 

アマチュア局の集計をしてみた

2015年9月26日現在の無線局等情報検索データから集計したものである

日本全国でアマチュア無線局の総数は435,751局である
推移のデータは以下の通りで、2014年度末で435,581局となっており、今年は少し増加している

以下のデータは総務省情報通信統計の数値である

推移

<アマチュア局の減少に歯止は出来るのであろうか>

従事者免許付与累計は2014度末でアマチュアの従免付与総数は3,403,868件である
ただこのデータは現在までの付与累計であり有効免許数ではない
実際の有効免許数はわからないが、鬼籍に入った方々を1割とすると306万人位であろうか

免許割合は、1アマ 0.9%  2アマ 2.3%  3アマ 6.7% 4アマ 90.1%となっている

データとして公表されていないが、9/26現在の局数が43万5千局であり、従免の有効数を306万とすると、従免保持者の約14%が開局をしてる計算となる
実際は、社団局や一人で複数局開設の場合があり、従免保持者の開局率は14%以下となろう

各バンド毎の免許局数をグラフとしたのか下記の図である

バンド毎

<現在もメインストリームは2mと70Cmである>

免許されているバンドで一番多いのが、145MHzであり全アマ局の約94%が免許されている
<その割に空いていると感じるのは、我が家の設備と場所が悪いのであろう>
次に435MHzであり、全アマ局の約93%が免許されている

3.5MHz,7MHz,21MHz,28MHz,50MHzのバンドは全アマ局の約50%が免許されている
14MHzは約13%、18MHzは約20%となっている

所轄総合通信局別に局数の割合を円グラフが以下の図である

地域<当然1.2.3エリアが多い>

地域の人口と比較はしていないが、人口比率に対応とすると思われる

昔と違って移動体通信が発達した現在では、連絡用途にアマチュア無線を使用することは減少しているのであろう

 

余談ではあるが携帯電話では音声同報発信が出来ないので、現代でも複数の自動車間で連絡しあう場合は便利である
その利便性で、大型自動車の運転を生業とする方々がアマチュアバンドを使用している
特に二輪車の場合は、運転中に携帯電話で複数人と連絡を取り合うのは至難の業であり危険でもある
しかし、二輪車で複数人で連絡が取れればこの上無く便利ではある
ここに目を付けたのがFTM-10Sであろう
従免保持者が約300万人中かつリターンライダー層の数を推測して、ソロバンを弾いたのであろう
とても良いマーケティングだと思う、私も余裕が有れば欲しい機種ではある、しかし遊び相手が従免を持っていないので購入には至っていない
435MHz出力7Wもバイク間の通信であれば必要十分である

アマチュアの従事者免許は実は凄い免許なのである
アマチュアバンド内であれば、自分で送信機を設計・製作することが認められており、しかるべき手続きで申請すればその送信機を運用が可能である
これはアマチュアだけに許されている特権である
今現在アマチュア局を開設している理由は様々であろう、けれど携帯電話用途での利用者が少なくなった今こそ、個人の技術的興味で色々と楽しめると思うのである

ユニバーサルカウンタ TR5823

私が普段使用している、周波数カウンタはアドバンテストのTR5823である

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<ADVANTEST TR5823>

この周波数カウンタは、シリーズとしてTR5821,TR5822,TR5823の3機種ある
TR5821とTR5822の違いは本体にGPIB等の外部I/Fの内蔵可否である(5821は内蔵不可)
この2機種は入力端子が2系統あり、INPUT Aでは直接計数方式で10Hz~120MHzまで測定が出来る
INPUT Bではレシプロカル方式で、0.001Hz~50MHzが測定出来る

ちなみに直接計数方式とは、一定時間中(ゲートタイムと呼ばれる)のパルス数をカウントするので、周波数が低くなると測定桁数が少なくなる
レシプロカル方式は、パルス間隔を測定してその逆数を計算して周波数として表示する、但しパルス間隔の測定には限界あるので高い周波数の計測には用いられない

TR5823は入力系統が1系統増えてINPUT Cが加わり100MHz~1.3GMHzまで測定が可能となる
後、稀ではあるがタイムベースにOCXOを内蔵したTR5823Hも流通していた

いずれにせよ古い機械である、これらの機械を使って測定する場合は較正が問題となる
TR5323H以外のタイムベースは10MHzのTCXOを使用しており、その周波数較正は裏面から調整が可能である
(このトリマ調整もかなりシビアなので正確な基準が無い場合は触らないほうがよい)
確実なのは、GPSによる10MHzの周波数基準器の信号を測定することである

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<TR5823の後部パネル面 電源ケーブルの近くの穴がタイムベースのTC>

これらの機種は直接計数方式で測定した場合、ゲートタイム10秒時に8桁の精度で測定が出来る
これは10MHz測定時に0.1Hz単位での表示となり、測定精度を仮に0.1Hz単位まで求める場合は、タイムベースの較正は0.05Hzまで追い込む必要がある
10MHzでの0.05Hzは5×0.001PPMとなり、この精度での基準信号を出力出来るのは我々が入手出来る範囲ではルビジューム発振器かGPS周波数基準器位である

時計の精度に変換すると、ざっくりと年差0.1秒以下となる

何を測定するかは利用者に異なると思うが、例えば1.2GHz帯SSBの周波数誤差を120Hz以下にしたい場合は、0.01PPM単位での測定が必要になり、タイムベースは上記の例の通り5×0.001PPM以下に較正が必要となる

当然のことながら、各機種とも内蔵されているTCXOのタイムベースではそこまでの精度は厳しい
外部から基準信号が入力出来その周波数が10MHzであれば、GPSなどの基準信号を簡単に利用出来る
しかし0.5PPM程度まであれば内部タイムベースでも、較正用に周波数基準信号さえ用意出来れば十分に使える精度の確保は可能と思う

これらの機種は、電源コンセントに通電しておけば、本体の電源を切ってあってもタイムベースには通電されているため、ウォーミングアップ不要となる

程度の良い中古があればお勧めである、もしユニバーサルカウンタ(周波数カウンタ)の購入を考える場合は外部の基準信号の入力可否とその基準周波数は必ず確認すべきである
10MHzの基準信号を入力出来れば、基準信号の精度を高めることによりカウンタの精度確保が出来るからである

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<較正されたOCXOが、タイムベースとして便利>

TS-700 無印が届く

縁あって、最近我が家へやって来たTS-700である
このTS-700も件のTS-700GⅡと同様にジャンク同様である

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<TS-700無印 インジケータが暗く、全体に清掃が必要 頑張れ40年選手!!>

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<内部にも埃が堆積している>

そうは言っても、一通りの動作確認をやってみた
後部の電源コネクタから直接DC13.8Vを供給ししてみる、良くみると後面パネルに電源端子の接続説明シールが貼られている

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<4PINの電源端子の接続図が貼られている>

取り敢えず、ダミーロードを繫いで電源を投入してみる
電源は入るし、受信ノイズは聞こえるのである
VFOの表示ランプは点かないので、VFOを回してみると点灯するポイントがある
このTS-700も件のTS-700GⅡと同様に、VFOバリコンの接触不良があるのだろう
ハンディ機で、VFOが動作する周波数で送信してみると、受信音の確認は出来る
受信は大丈夫そうである

試しにFMで送信してみる、このTS-700も出力が4W程度に落ちている
マイクを繋いで送信してみると変調音がかなり低い、USBに切り替えて送信してもパワーが殆ど出ない
マイク入力系に何らかの不具合があるのだろう

以前に記載したがTS-700(無印)でも、整備すれば通常に運用するには十分に使えるとは思う
当然現代の機械の方が、性能と特に使い勝手は雲泥の差である、しかしTS-700シリーズには現在の無線機が持っていない雰囲気がある
重厚なVFOの操作感が、古き良き時代を思い出せてくれるのである

また、TS-700無印だけに備わっている機能に、’SPOT’スイッチ’がある
これは、SSBで送信した時に相手に、ゼロインをしやすくするためにキャリアをワザと送信する機能である
慣れているとSSBでの同調は造作も無いが、当時のTRIOはSSBを少しでも使いやすくするために、この機能を付けたのであろう
今となってはこの機能は使うことは無いと思うが、TS-700無印同士でSSB交信するときに、しゃれで使ってみると面白いかも知れない

只、現代で運用するには決定的に使いにくいポイントがある (VFO機全般のことであるが…)
それは、144MHz台と145MHz台を跨ぐ運用である
例えば、145.08MHzから144.92MHzに周波数を変更する場合は、バンド切替えを145MHz~144MHzに切り替えて、VFOを08から92まで回す必要がある
現代の機械なら、周波数ダイアルを数クリックで済むオペレーションである

更に固定水晶であるが、これはVFOの発振周波数8.2MHz~9.2MHzまでの間を水晶で発振させるものである
従って、バンド間を跨いでのワンタッチ切替えが出来ない
基本設計が1970年代前半である、当時は呼出周波数も144.48だったので、現在みたいな不便さは無かったと思う
この機械を運用する場合は、「機械の操作を楽しむ」と言う割り切りが必要である
(USBやCWは快適である)

また時間が出来たら、こいつも整備してみたいと思う

ビンテージマシンのアキレス腱

ビンテージマシンのアキレス腱は、、バンド切替えのロータリスイッチと思うのである

製造時は、それなりの耐久性を意識したモノを選定しているのであるが、40年近くの歳月はいかんともし難い
バンド切替えについては沢山の回路を切替えており、送受信の局発のクリスタルから、ドライバ段の同調と終段のタンクコイルのタップ切替など多岐の切替がここに集中している

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<FT-101Zのバンド切替スイッチ 横の長いシャフトがバンド切替である>

このバンド切替のロータリスイッチに接触不良が出ると、様々な症状が発生する
送受信出来ない、特定バンドで受信出来ない、送信出来ない等々..様々である
特に、長年使っていない場合はロータリスイッチの不具合が多く出やすい
只、多くの場合はバンド切替をノブを幾度が切替えることをすると、復帰することもある

操作バネルのノブから、長いシャフトに接点が取り付けてあるウエハーと呼ばる基板が10枚近くシャフトに連結されている
これらの接点の一つが、接触不良となっても何らかの不具合が発生する
また、前記の通り様々な回路からの切替えの配線が、このロータリスイッチに集中するため、周囲の配線は膨大な数となっている
このロータリスイッチを交換する場合は、仮に新品が入手出来たとしても多大な労力を必要するのである

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<FT-101Z ドライバ周りの同調切替周辺>

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<FT-101Z ファイナルの同調切替周辺>

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<FT-101Z ファイナルのPLATE,LOADINGのシャフト LOADINGはチェーン駆動である>

さて、このバンド切替ロータリスイッチのメンテナンスであるが、最初に禁止事項がある
それは、絶対に接点復活剤をスプレーしてはいけない のである
特に、送信のドライバと終段が真空管の場合、接点によっては高電圧が印加されている
そこに、接点復活剤が塗布された場合、高い電圧部からリークしてしまう
問題はリークするポイントが不定であるため、実際の不具合については予測不能である
この場合は、その機械は本当のジャンクとなるか、ロータリスイッチを交換することになる
ロータリースイッチの各ウェハー(接点基板)は乾燥していないといけないのである

メンテナンスについては、無水アルコールを綿棒に染み込ませて、綿棒で各接点を拭き取るのが正攻法だと思う
もしくは、接点洗浄剤で各接点を綿棒で拭くかである、接点洗浄剤を使った場合は数十分以上乾燥させないといけない
結構骨の折れる作業であるが、’急がば回れ’である

ちなみに1980年代頃からのマイコン制御の機械は、この切替えをマイコンとリレーで行っている
特にバンドパスフィルターのバンド切替えについては、配線がとてもスマートになっている
けれど、高周波電力を扱う部分については、どうしてもリレーによる接点切替えとなっている
比較的新しい、マイコン制御の機械はリレーのメンテナンスが必要となる

Drake R-4A に水晶を増設してみる

件のR-4Aである

このR-4Aはバンド水晶の取付端子が10個ある
実装済の水晶はバンド着替え時に選択されるが、XTALSの水晶を選択するとオプションのバンドを受信することが出来る

標準で搭載されている水晶はアマチュアバンドのみであり、受信周波数は以下の通りとなっている
3.5MHz~4.0MHz
7.0MHz~7.5MHz
14.0MHz~14.5MHz
21.0MHz~21.5MHz
28.5MHz~30.0MHz

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<R-4Aの水晶デッキに水晶を取付でみた>

上記以外のバンドを受信したい場合は、後面の水晶デッキに水晶を増設することで受信可能となる受信範囲は、5.5MHz~6MHzを除く1.5MHz~30MHzである

偶々、部品屋さんに行った時に発振周波数20.5MHzが安価で売っていたので購入したのである
サイズは今時なので、HC49USである
当然、R-4Aの水晶デッキはHC-6/Uである、アダプタを適当にでっち上げてみた

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<でっち上げた水晶アダプタ 取付けている水晶は20.5MHz>

本来であれば20.6MHzの水晶で9.5MHz~10.0MHzが受信可能となる

水晶を個別に発注すれば問題無いのであるが、中々個人的な財政も厳しいので、近い周波数の安価な水晶で試してみることにした
今回は20.5MHzの水晶なので、9.4MHz~9.9MHzとなり、VFO表示は100KHz高くなるのである
まぁ、一個150円の水晶なので贅沢は言えないのである

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<R-4Aで9.750MHz Radio Janpanを受信してみる>

短波放送のメッカである9.5MHz帯である
時間帯にもよるが、これは調子良く入感するのである
R-4Aの場合はLCフィルタによる4.8KHz帯域は、放送受信はとても快適である
VFOの表示ズレは意識すれば、特に問題は無い

後は、38.1MHzの水晶が安く販売されているのを探したいのである

TS-700無印とTS-700G2の違い

TS-700(無印)は1973年に発売された145MHz帯のオールモード機である
その2年後にTS-700GⅡがマイナーチェンジとして発売されている
見た目の外観は大きくは違わないが、それなり変更がなされている

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<TS-700無印の操作パネル>

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<TS-700GⅡの操作パネル>

まずフロントバネルのノブである
TS-700   TS-700GⅡ
RF GAIN → AF GAINと同軸になり、下段右に移設
出力調整無し → 上段左に新設 (TS-700のRF GAINの位置)
SQUELCH → 下段中に移設し、左回し切りでCAL(マーカ機能)SWとなる

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<TS-700無印のスイッチ>

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<TS-700GⅡのスイッチ>

 

スイッチ類の変更は以下の通り
TS-700   TS-700GⅡ
NB → メータのS表示とセンタメータ切替
CAL → SQUELCHと共用になり、この位置はNBとなる
RIT → 変更無し
SPOT → FMのバンド幅切替 WIDE/NARROWとなる

リアバネルは、内部の20VDC/DCコンバータ専用のヒューズがTS-700 GⅡで廃止となる

TS-700無印とTS-700G2の運用上の違いのポイントは以下の4点である
・TS-700無印は出力を絞ることが出来ないTS-700GⅡは0.5W程度まで段階的に絞れる
・CAL(マーカ機能)はTS-700無印は1MHzHz単位、TS-700GⅡは100KHz単位でのVFO校正となる
・TS-700GⅡはFM時にメータをセンターメータして使用出来るが、無くても問題はない
・FMのWIDE/NARROW切替、現在はNARROW固定なのでTS-700無印でデビエーションの調整がされていれば問題はない
回路構成については大きな変更は無いが、各ユニットの互換性が無いユニットがある
単純に相互のユニット転用は出来ないと考えた方が無難であり、回路図とユニット番号を調べてからすべきである
オプションや、水晶はそのまま転用が可能である

TS-700無印も、きちんと整備すれば使えそうである

FM変調 の デビエーション調整 をしてみる

FM変調のデビエーションとは、音声を入力した時の周波数の変動範囲のことである

デビエーション調整がきちんとされていないと、いわゆる’変調が浅く’なったり、場合によっては隣接のセパーレーション周波数に混信することになる

145MHz帯のFM変調の占有周波数帯幅は16KHzであり、20KHz毎に周波数を使用することにより隣接周波数の混信を防ぐことが出来るが、デビエーション調整がいい加減だと妨害を与えることになる

実際には、雰囲気でデビエーションの調整を弄って深くしている人は多いかも知れないが、この調整がいい加減だと、隣接周波数に混信を与えることになるため確認が必要である

本来は、このデビエーション調整には専用のデビエーションメータが必要となる
残念ながら私は所有していないので、スペクトルアナライザで簡易調整してみた

最初に、マイク端子に一定の音声信号を加える 私は低周波発振器で1.5KHzをマイク端子に入力する
無線機のマイクゲインを中央値にする
当然のことながら、アンテナ端子にはダミーロードと-40dB程度のCMカップラや減衰器を通して測定器に接続する
該当周波数を受信出来る他の受信機を用意する

送信して低周波発振器の出力を上げていくと、ある一定以上のポイントで変調が頭打ちとなる
(この回路が試験勉強で覚えたIDC回路と呼ばれる変調信号のリミッターである )

変調が頭打ちのポイントで、スペクトラムを計測する

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<TS-700GⅡで、上記条件で測定してみた所>

スペアナでみると頂点の2つのピークの間が、現在の周波数偏移である
この間隔が5KHz以内なるようにデビエーションを調整する
占有帯域幅についても、-50dBのポイントで20KHzとすれば問題無いと考える

一旦、件のTS-700GⅡを調整してみたのであった

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<デビエーション調整中のTS-700GⅡ>

周波数変位は規定範囲の約4.6KHzであるが、若干占有幅が広い気がするのであるが、 この程度であればローカルにも迷惑を掛けることなさそうである

 

ビンテージマシンと新スプリアス規格

先月、総務省から、新スプリアス規格への対応に関する手続がHPに掲載された
そもそも、新スプリアス規格に対応していない設備を使用する場合の既定概要は以下の通りである

2017年(平成29年) 11月30日まで
・旧スプリアス規格の無線機でアマ局の開設・変更が可能

2017年(平成29年) 12月1日以降
・無線局の開設・変更は新スプリアス規格準拠の無線機のみ
・既に免許されている新スプリアス規格に未対応の無線機でも運用可能
・既に免許されている局の再免許は降りる、しかし新スプリアス規格に未対応の無線機は2022年(平成34年)の12月1日以降は運用が出来ない

2022年(平成34年)の12月1日以降
・新スプリアス規格に未対応の無線機は運用出来ない

今回総務省から「スプリアス規格への対応に関する手続」発表された概要
ビンテージマシンに関係する概要は以下の通りである (詳細は各自確認して下さい)

1. 送信機出力端子と空中線との間にフィルタを挿入して対応する場合
無線機器の出力端子にフィルタを挿入し、新スプリアス規格に適合させることで、継続使用可能 手続は以下の通り
a、総合通信局に変更申請を行う
b、変更許可後に、無線機器のスプリアスを測定する
c、工事完了届にスプリアス発射及び不要発射の強度確認届出書を添えて提出
この場合、測定器は較正後1年以内のものに限られる

2. 製造業者等が測定したデータの活用をする場合
<メーカが測定したデータがある場合はスプリアスの測定が不要となる ビンテージマシンには殆ど該当はしなさそうである>
但し、以下の内容は注視が必要である
‘これらのほか、アマチュア局については、保証の手続を活用することも可能です’

今後、どのような形で対応施策が出てくるかは見守りが必要である
上記の、自分で対策して測定については今まで見解が無かったので少し進歩したと思う
只、スペクトルアナライザは1年以内に校正したものとなっているので、自分で事業をしている人かお大尽でないと中々厳しそうである。
強度確認届出書に測定器校正証明を添付必須と言われそうな予感もする

現在の新スプリアス規格の内容を額面通りに読むとアマチュアに厳しい内容に思える
クルマはビンテージカーでも実際に走れる法規制となっている (税金は高くなるが)
他業務を妨害するようなスブリアスは論外であるが、アマチュアバンド内での規格については、もう少し考慮した上で明確にして欲しいものである

いずれにしても2017年の11月までは、ビンテージマシンでも免許は降りるのである
そして、2022年11月までは免許が降りた機器は使用出来るのである
今のうちに入手し、免許申請や変更届の申請するのも一つの手法ではある

但し、実際の電波の質については、オーナが責任を持つのは当然である
古い機械だからと言って、スプリアスやスプラッタの放射は許されない
定期的に、モニタしてきちんと調整を行った上で、運用を心がけたいものである

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<昔作ってみた 7MHz A3 [0.1W],A1[0.5W] 送信機  短波ラジオとセットで遊べる>

アマチュアならではの楽しみ’自作機’も、 2022年(平成34年)の11月30日までは楽しめる、それ以降は意地でも新スプリアス規格に合致させて運用したいものである

技術的概要はこちら

1970年頃の部品実装とプリントパターン

件のTS-700GⅡを色々と弄っていて思うことである
この機械も1975年頃の製造と思われる

日本のプリント基板の歴史は以外と古い、戦前の昭和11年に民生用ラジオに搭載されている
1950年代以降のトランジスタ化による機器の小型化で、プリント基板は多用される
プリント基板によって、配線の品質が上がると共に生産の効率化が大きく進み、実装密度の高い商品が続々誕生したのであった

そのプリント基板なのであるが現在はその殆どが機械で生産される、実装密度も半導体に近いモノになっている
しかしその性質上、大量生産には向くが、多品種少量生産の場合は基板の共通化などの工夫が必要となる
アマチュアレベルで多くて数台とかの制作規模だと、プリント基板のアートワーク設計(パターン設計)や製造装置への設定等々のイニシャルコストも出ないと思う

さて前置きはここまでとして、TS-700GⅡの基板であるが、多分手作業で基板に部品を実装していのではないかと思う
基板のランド(部品をハンダ付けする領域)にリード部品のリード線が、きちんとパターン方向に曲げて取り付けてある
これはこれで新品時の品質を上げる当時の手法である
私が小学生の頃、親にねだって買って貰った2石ラジオキットの組立説明書にも、リードは外れない様にパターン方向に3mm程度曲げて取り付けるとか言ってあった記憶がある

只、リードを曲げて取り付けてある部品を、取り外すのは集中力と根気が必要である
この頃のアナログ機器は単層基板なのであるが、ベーク基板と呼ばれる紙フェノール基板である
問題は、修理時にプリントパターンが傷みやすいのである
更にリードを曲げて取り付けてあるので、ハンダ吸引機を使っても結局ハンダゴテを当てながら曲げてあるリードを元に戻す作業が必要になる

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<プリントパターンのハンダを除去した所 ランドに沿ってリード曲げてある>

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<部品を外した所 パターンを傷つけない様に細心の注意が必要>

この作業を雑に行うと、あっという間にプリントパターンを剥いでしまうことになりかねない
パターンにストレスを加えない様に、リードの曲げを元に戻すのであるが、実装密度の高い箇所だと、複数の部品を合わて絡げでいることもある
ハンダを除去して、該当部品が複数の部品と絡げてあると、気持ちがブルーになってしまう

ネットで検索すると、古い電解コンデンサは有無を言わずに交換とか書いてあるが、集中力と根気のなさせる技と思うのである
特に3本足のトランジスタだと更に面倒である

まだTS-700は比較的修理の作業性が高いのであるが(プローブも当てやすい)、作業性の悪い機械でこの作業を行うのはかなり躊躇してしまう
(仕事でやられている方は本当に大変かと思う)

古い機械を弄るのも、気合と根性と技能が必要みたいである