R-4A の Preselectorと μ( ミュー )同調

R-4シリーズのPreselectorは非常に切れが良いとと思うのである
フロントパネルのプリセレクタノブは、ギアでμ( ミュー )同調コアを連動で制御している
そのコアの連動コイルは以下の通りである
・高周波入力段のアンテナコイル T1
・高周波出力段のRFコイル T2
・VFOと各バンド水晶発振のプリミックスのカップリングコイル T3,T4

この4つの同調回路が連動してしている、プリミックス機能である

4つのコイルのコアを精密に同期させることで、DRAKE R-4シリーズのプリセレクタは素晴らしい切れを持っている
FT-101で言うところの”ギロチン”である (FT-101は送受信含めて3連であり、ここまでの切れは無い)

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μ同調とは、固定コイルの中にコアをストロークさせることで、インダクタンスを変化させる同調方式であり、同調用のキャパシタンスは固定である
通常同調回路はインダクタンスが固定のコイルを使用し、バリコンでキャパシタンスを変化させる

この頃の通信機器は、同調機構がいわゆる戦略的な差別化技術であり、当時の技術の中で選択度・安定度・同調タイアル直線性(直読精度)・操作感覚について競って開発をしたと考えるのである
この辺りの技術がCORINSやDRAKEのマシンが世の中を席巻するベースとなったと思うのである
現在の無線機や受信機は電子機器であるが、この頃の無線機や受信機は精密なマシンだったのである

ちなみにR-4のVFO(PTO)もμ同調である

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(操作感はあんまり良くない、PTOをOHすれば操作感は改善するのであろうか?)

 

 

20MHz水晶発振器 SG-636 の出力インピーダンス

SG-636-20MHz  @30円の水晶発振器なのである 

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<秋月電子 表面実装型 クリスタルオシレータ SG-636-20MHz (10個入>

昔、個人が個別に購入する水晶発振器が単価30円で買える世の中になるなんて、夢にも思わなかった
表面実装タイプで10個セットであるがとてもリーズナブルである

何気に部品箱の中を覗いたら5個ほど転がっていたので、ちょっとした妄想を抱いてみたのである
いけない妄想ではないが、27MHz-20MHz=7MHzでこれを使えば、簡単に27MHz帯から7MHz帯へのコンバータが出来そうである
今時なので、27MHz帯なんて直接受信出来るだろ! と突っ込まれそうではある
しかしながら恐るべき27MHz帯である 出ている方々の帯域が広めなので、私が所有しているアマ機では帯域が狭すぎて明瞭度が良くないのであった

そこで、DRAKE R-4Aを活用したら具合が良い筈(AMで受信バンド幅が変えられる)であるのだが、専用に水晶を作成してもらう必要がある
水晶のオーダも興味があるのだが、ここに20MHzの発振器があるならコンバータで良いじゃんと言う妄想にとりつかれたのである

で、下調べなのである
方形波発振のデジタル用発振器をコンバータに使用した場合、高調波の処理をしないと大変そうである
有り体に言うとLPFで高調波をカットすれば良いのであるが、LPFを検討するために出力インピーダンスを測ってみるのである

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<負荷にVRをつないで、電圧が半分ななる抵抗値がおおよその出力インピーダンス値 簡単なインピーダンスチェッカは便利である>
インピーダンスの計測も単純である、負荷に抵抗を接続し無負荷時との電圧が1/2になった抵抗値がおおよその出力インピーダンスである

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<無負荷時の出力波形 約5Vである>

 

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<負荷抵抗60Ωの出力波形 約2.5V 出力インピーダンスは大体60Ω位か>
出力インピーダンスは大体60Ω位である、安価な27MHz→7MHzコンバータも、少し現実味を帯びて来たかも知れないのである

 

グリッドディップメータ DELICA HAMBAND DIP METER と 周波数カウンタ

グリッドディップメータの発振周波数を件の周波数カウンタで測ってみた

グリットデッブメータ(GDM)現在は殆ど製造はしていないのであろう
市販されていた頃、周波数カウンタ付きが発売されたときは素晴らしいと思ったのである
発振周波数は、使用しているコイルでスケーリングされているダイアルの目盛をを読むのであるが、ざっくりした周波数しか読み取れない
周波数カウンタ付きであれば、そのままカウンタ値を読むだけなので楽である
その頃は、指を咥えて欲しいと思っていたのであった

 

で、私が現役で使っている、HAM BAND GRID DIP METERを件の周波数カウンタで読めないかと、チャレンジしてみたのである

件の周波数カウンタは高周波数アンプに2SK241と2SC1815を使用しているが、50MHzを超えると感度低下は避けられない
そこで、RF-AMPにICのフラットアンプを使用したスペシャルバージョンを大先輩の矢花氏が作成してくれたのである

そのスペシャルバージョンで、グリットディップメータの発振周波数を測ってみたのである

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測定信号の結合は、グリッドディップメータの発振コイルに数ターンのリード線を絡めるだけである
件の周波数カウンタは内部プリスケーラを1/8,ゲートイタムを0.1Sに設定する

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<ダイアルスケールは約52MHzとなっている (Bバンド)>

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<測定周波数は約51MHz>

*2桁目の小文字の’p’は内蔵プリスケーラを使用していることを表示

 

非常に便利である50MHz帯に使うなら十分に使える
ちなみに、120MHz付近までは計測が出来ているのである
(周波数カウンタのファームウェアで100MHz以上は100MHz単位の表示は出来ないが)
恐るべし、16F88のフリーランカウンタなのである

 

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<ダイアルスケールは約100MHzとなっている (Aバンド 外周部)>

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<測定周波数は約100MHz>

最大測定周波数に挑戦

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<ダイアルスケールは約120MHzとなっている >

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<測定周波数は約118MHz、現在のファームウェアでは100MHzを超えるる周波数の場合は100MHzの桁は表示していない>

 

TRIO TS-520 用 直読周波数カウンタ DG-5

TRIO DG-5

FG-5

 

TS-520シリーズ用、直読周波数カウンタである この周波数カウンタの素晴らしい点はTS-520本体のバンド切替えに連動して周波数表示がされることである
当時としては、画期的な直読周波数カウンタと思う
また、一般の周波数カウンタとして、100KHz~40MHzまで100Hz単位で計測出来る

このカウンタは、TS-520本体のリアパネルから以下の3つ周波数を入力して、現在の送受信周波数を表示する
・HET  TS-520のバンド毎の局部発振周波数
・VFO  発振周波数
・CAR  キャリア発振周波数

表示周波数の計算概要は次の通りである

表示周波数 = HET周波数 –  (VFO周波数 +  CARキャリア周波数)

 

さて、TS-520で件の直読型周波数カウンタは使えるのだろうか?
DG-5の機能である本体の局部発振とキャリア周波数の読取りが出来ないので、本体のバンド切替え連動は出来ない
FT-101と同様に、各バンド毎にオフセットメモリを設定して、切換えることで代用に使えるとは思うのである

TS-520は昔保有していたのであるが、使わないので差し上げたのである
実機があれば実際に動作を試してみたいのであるが、また出物が有れば探してみたい

DG-5は外観も薄型でTS-520の上に置いても違和感の無いデザインである
当時はアナログVFOのデジタル直読が出始めた頃である
とてもカッコ良くて当時は憧れたものである

 

LA-1600 は遊べるのである 20世紀の置き土産

LA-1600

三洋電機の製品でAMラジオ用ICである
3Vの電源で動作し、少ない外付け部品でスーパラジオのAF出力まで一個のICで実現出来る
これに、東芝のTA7386をAFアンプして使用すれば、3Vの単一電源でAMラジオが簡単に出来る

注)LA-1600及びTA7368は生産終了品 流通在庫は有るみたいなので2015年現在では入手可能

LA-1600は内部に、RF増幅・局発・混合・IF増幅・検波・AGC制御が内蔵されている

LA-1600等価回路

<データシートの等価回路参照>

アンテナコイル・局発の発振コイル・IFT・セラミックフィルターを接続するだけでラジオが完成するのである

pin概要は以下の通りである <詳細はデータシートを参照>
・1pinと2pinに受信する信号を入力 <アンテナとの整合と同調回路を接続する>
・3pin LCの組合せにより局部発振をする <他の水晶発振回路等の発振周波数の入力可>
・4pin混合後のIF出力でありIFTが接続される
・5pinグランド
・6pin AGC出力 <Cの値を変更するとAGC特性が変えられる 又この電圧を検知するとSメータになる>
・7pin IF入力 IFTの通過後のIF入力 <選択度を高めるにはIFTの後にセラミックフィルタを接続する>
・8pin 電源
・9pin AF出力

 

LA-1600AMラジオ
データシートのAMラジオ回路例

LA-1600SW

データシートのSWラジオ回路例

このICは短波帯まで使用可能であり25MHzまではデータが記載されており、受信機として利用価値は高いと思う 更にBFO回路等を付加すればSSBやCWを受信して楽しめる

以前に、このICを使って7.195MHz1波の受信機を作成したのである
付加部品は以下の通り

・アンテナコイルには、1Kボビンで7.2MHzのコイルを作成
(7MHzのFCZコイル等でも使えると思う)
・7.650MHzの水晶で発振回路を作成しその出力を3pinへ
(発振コイルは1Kボビンで手巻き 7MHzだと2SC1815でOK)
・IFTは455KHz用の黄色
・セラミックフィルタ (IFT1段だと選択度が低いため、アマチュア無線では使えない)
・TA7368の低周波数アンプ

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7.195MHz AM受信機の基板

残念ながらフリーハンドで作成したので回路図は残っていない m(__)m
まさかブログを書くなんて当時思いもよらなかったのである

菊水 7314A 直流安定化電源 整備すれば良い電源だと思う

これも古い機械である

私がトランジスタやPIC等でちょっとした実験や試作を行う時に使う電源である
この手の実験だと1.5V程度から13.8V位で大体の用は足りるのではないかと思う
電流も0.5A程度もあれば十分と思うのである

私の場合、どうしても気が緩んだり、思い違い等で実験回路の結線を間違う事はしばしばある
その時に重要なのは、フの字特性の過電流防止機能だと思うのである

使用している菊水の電源は、その昔中古で3千円で手に入れたものである、自分なりに較正を施しており動作確認もしてあるので、現在も現役である
多分これは1960年代後半の製造ではないだろうか? ちょっと前までいろんなメーカの実験室で見かけた機種である

 

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<小容量電源なので、奥行きも短い ディスクトップ電源として具合が良い>

主な機能は以下の通り
出力電圧 0-8V  or  8V-15V レンジ切替式
出力電流 100mA MAX  or  500mA MAX レンジ切替式
過電流防止機能 各電流レンジでMAXを超えると電流・電圧を下げる フの字特性 の保護機能付き
私は殆ど100mA MAXで使用する事が多い

従って、間違ってショートさせてしまっても、被害は最小限に防ぐ事ができる
更に、電源供給を受ける側で、電源に並列に整流用ダイオードを繋げておくと、逆接続の時の被害が少ない
(私は偶に間違って繋ぐことがある 注意力散漫なのである)

電子工作をライフワークとするには、必要不可欠なのは電流制御が出来る安定化電源と思う
最近だとデジタルでCC制御が出来る直流安定化電源が安価で、オークション等に沢山出品されているので、入手も楽であろう

更に、もう一言である
安定化電源は、シリーズ電源とスイッチング電源に二分される
一般的に、スイッチング電源の方が小型軽量であるが、この手の工作をするならシリーズ電源が良いと思う
アナログ回路を弄って遊ぶと、スイッチング電源のノイズで嵌ることがある
(外部ノイズに強い回路を設計するのが本筋ではあるが...)

 

SWR計 の動作チェック用 75Ω,100Ω,150Ω ダミーロード

SWR計の動作チェッカー

SWRを測るのには色々と方法があるが、やっぱり市販で売られているSWR計は安くて便利である
私の場合はアンテナがとてもプアなので、電波を出す際にはSWR計で都度確認している

この便利なSWR計であるが、時に誤差が気になることがあるのである
誤差とは言っても、SWRのコンマ以下の値とか1付近の値ではない
1.5とか2とか前後の値である

SWR計のアンテナ端子に、50Ωのダミーロードを接続して送信すると、値は1前後になる筈である
75Ωのダミーロードを接続して送信すると、値は1.5前後になる筈である
100Ωのダミーロードを接続して送信すると、値は2.0前後になる筈である

で、確認用に作ったチェッカーが以下の写真である

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単にピンプラグに抵抗を付けただけのモノである
1W位の電力で、偶にSWR計をチェックしてみるのであるが概ね良好である

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老婆心ながら、市販で売られているSWR計のSWR値は目安と考えるべきある
1.5以下なら ‘良’ と判断するが吉であろう

ちなみに VSWR 1.5 =リターンロス=13.98dB 電力反射係数 0.039
VSWR 1.4 =リターンロス=15.56dB 電力反射係数 0.027
VSWR 1.3 =リターンロス=17.69dB 電力反射係数 0.017
VSWR 1.2 =リターンロス=20.83dB 電力反射係数 0.008
VSWR 1.1 =リターンロス=26.44dB 電力反射係数 0.002

この辺になると誤差の範囲だと考えてしまうのである

なお厳密なSWRの計測は相応の測定器が必要である

 

米国海軍 RBM-4 のダイアルメカを使った受信機

米国海軍RBM-4(リンク先はRBM-5)の同調機構を使用した短波受信機

この受信機は、大先輩からの借入品である
ひと目見て、ダイアルエスカッションのカッコよさに惹かれてしまったのである

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この受信機は、米国海軍の艦船向けに戦前に、WESTINGHOUSE社が納入したRBM-4受信機のパーツを使用している

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大先輩の矢花氏が、受信機の心臓部と言える、ダイアル周りをそのまま流用し受信機を制作したものである
(大先輩の矢花氏は偉大である)

元のRBM-4の仕様受信範囲を踏襲し、受信バンドは以下の4バンドとなっている
2MHz~3.6MHz
3.6MHz~6.5MHz
6.5MHz~11.4MHz
11.4MHz~20MHz

ダイアルは、バンド切替えと連動してスケールが切り替わる
バーニアスケールが内周部にあり、同調は合わせやすい
また、精密な全金属製のギア減速機構で、同調のバックラッシュは殆ど感じられないのである

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<3.9MHz付近を受信>

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<3.9MHz付近を受信>

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<精緻なダイアルメカ部>
当時の合衆国の様々な技術の集大成的な機構である
個人的な感想は当時のハイテク技術が量産出来た合衆国の技術蓄積に驚いてしまう、日本なら超優秀な技術者と超一流の職工さんが手作りで一週間に一台程度の生産性になろうかと思う

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さて、この受信機は高周波増幅1段(6BA6)・局発(6AF)・混合(6BN6)・IF2段(6BA6*2)・プロダクト検波(6BN6)・AM検波(12AX7)・BFO(6AU6)・AGC(6BN8)・AF(6AQ5)と豪勢な陣容である
IFは500KHzのシングルスーパで、CORINSのメカフィルターが装備されている

実際に使ってみると特に短波放送をゆっくりと聴のには最適である
SSB、CWについても十分に実用になる

件の直読型周波数カウンタを取り付ければ便利にはなるのであろうが、やっぱり戦前の同調機構がこの機械には似合うのである

 

昔はラジオは貴重品だった 1973年製造か

手持ちのラジオ NATIONAL RF-541 である

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昭和48年位の製造と思われ、現在も完動品である

音質は、6センチスピーカで良く言うとマイルドであり耳にやさしい感じであるが、やっぱり、ポケッタブルラジオとホーブルラジオの中間であり、それなりである

感度は必要十分であり現在でも申し分ない、周囲にインバータ回路等のノイズ元が無ければ十分に実用である

同調ダイアルは糸掛け式でチューニング感覚は普通であり、違和感は無い

(最近の安物ラジオはバリコン直結が多いので、それらとは一線を画す)

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リアバネルに、AMとFMの切替SWがある

 

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裏蓋を開けた所である

電源は006Pの9V電池を使用する

電流を測ってみたが、普通に聞ける音量で電圧8.5Vの時に10mA程度であった 従って当時の006P電池でも連続5時間以上は聞けたと思う 又このラジオはDC入力端子があるのでACアダプタでも使える実用品である

1970年代のラジオらしく、見えるトランジスタは4個は、懐かしきゲルマニュームトランジスタである

オーディオ用トランスも2つ使用している、バーアンテナも容積は大きいのである

AM,FM合わせて9個のIFTで搭載されており、製造時の調整もそれなりに大変だったのであろうと予想する

普通のポータブルラジオであるが当時の価格は8千円位だろうか、1973年の初任給換算を現在に適用すると、8千円 ✕ 2.3倍 = 1万8千円 である

やっぱり昔のラジオは貴重品だったのである

このラジオも当時を伝える文化財である、大切に次の世代に渡したい

 

YAESU FT-101E で周波数カウンタを使ってみる (送信編)

ケースに入れた、直読型周波数カウンタをYAESU FT-101E で送信してみたのである

当然の事ながら、送信前のセレモニーでひと通りのファイナル調整を行う

送信してみると、ある程度の出力で表示周波数が変化してしまうのである

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<7.195MHzで送受信>

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<送信すると7.638MHzと表示される>

この周波数カウンタには、HOLDモードがあるので送信時に、HOLD端子をグランドレベルに落とす事で回避はされるのである

そうは言っても気になるのである

 

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<受信時の FT-101E のVFO出力のスペクトラム 入力は-30dBの外部アッテネショーンしてある>

9.005MHzのVFO周波数と約-40dBで内部IF周波数が乗っている

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<送信時の FT-101E のVFO出力のスペクトラム>

9.005MHzのVFO周波数と、-15dB位で7.195MHzの送信キャリアが乗っている

 

送信時については、周囲の配線の状況で、測定すべき周波数以外の信号がノイズとして乗って来るのであった

本来の解決方法としてはバンドパスフィルターを挿入するのが正攻法であるが、FT-101 の専用機となってしまうので、悩ましい所ではある

送信時にカウンターをHOLDモードにして、表示を固定してする事で、使ってみたいと思っている

(送信時のQRHはモニター出来なくなるが…)