DRAKE R-4A を数年使用してみた感想

DRAKE R-4Aはかれこれ3年程使用している
我が家のメイン受信機である

購入した経緯は日頃お世話になっている、大先輩の矢花氏宅へお邪魔した時に、何気に置いてあったのであった
当初はそんなに興味も無かったのであるが、この機械は特に受信音を聴いて欲しいということで、アンテナに繋げで受信をしたみた

R-4シリーズには内蔵スピーカは無いので、16cmのスピーカを繋いで7MHzのSSBを受信した所、目からウロコが取れた感じであった
当時使っていた無線機とは雲泥の違いである、無音時のシャー音が無くとても聴きやすいのであった
コリンズの75S3 と聴き比べたのであったが、どちらも素晴らしいのである (コリンズは少し硬い感じだが、とても聴きやすい)
インスパイアを受けた私は、その時からR-4AかR-4Bを探し始めたのであった

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<DRAKE R-4A>

その後3ヶ月程で届いたのは、R-4Aである
R-4シリーズはR-4(無印)・R-4A・R-4B・R-4Cと4機種である (製造時期の違いで詳細が異なるバージョンも多い)
R-4Cは帯域フィルタにクリスタルフィルタを使う様に変更されている、R-4Cについてはオプションのフィルタが必須である
その他のR-4は帯域フィルタにLCフィルタを使用しているので、本体だけで使用出来る

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<PASSBANDノブ LSB,USBの切替は通過帯域を変更することで行う>

まずは、R-4C以外に搭載されているLCフィルタであるが、400Hz,1200Hz,2400Hz,4800Hzの帯域がノブで選択出来る
SSBなら2400Hz、7MHzのCWでは400Hz,A3は4800Hzを選択することになる
そのフィルタの切れは、LCフィルタとは思えない程、スッパリ切れる

またLCフィルタなので、PASSBANDのツマミがIF-SHIFTとなる
通常のアマ機のIF-SHIFTは局部発振周波数を移動させ、通過帯域自体は変化させないのであるが
しかし、R-4のPASSBANDは、局部発振周波数は固定で、通過帯域自体が変化するので近接の混信信号の除去高価は高い
LCで実現しQの高いLを使っているため、その特性は鋭いのである

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<秀逸なプリセレクタ>

次にPRESELECTORであるが、このプリセレクタは秀逸である
受信機として、受信帯域以外の信号は前段で排除する思想をそのまま実現している
この辺りは、現在の送受信機は広帯域受信を必要とされるので、構造的に厳しいと思う
プリセレクタはQの高いコイルに、ダストコアを抜き差しでのμ同調を3段として、第1IF出力も連動しているため、プリセレクタの切れは素晴らしい特性となっている
この辺りは、やっぱりQの高いLCでの同調に適うモノは無いと思ってしまう

音質については、柔らかい音で長時間聴いていて疲れない音である、しかし了解度はすこぶる高いのである
CWについても、低いビート音で聴いていると、とても心地が良い

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<優れもののノッチフィルタ>

更に、もう一つのポイントはノッチである、このノッチも極めてノイズ除去効果が高く、最近のDSPによるノイズ除去と勝るとも劣らぬ性能である

使っていて気になる点はQRHである
電源投入後1時間程度は、数百Hz程度のズレが発生する
真空管の受信機なのでVFOの温度変化に対して当然変動が発生すると思う
この辺りは、分かって使うのが一番である

感度については、当然のことであるが28MHz帯まできちんと受信が出来る
但し、R-4シリーズはゼネカバ受信機ではないので、中波放送とIF帯域(5MHz~6MHz)は受信出来ない
アマチュアバンド以外を受信するためには、リアバネルの水晶デッキに水晶を増設する必要がある
私は、9.5MHz帯と27MHz帯の水晶を増設しているが、海外放送受信やその他のA3信号受信はとても快適である

安定度はともかくとして、この性能が50年前に実現していたのだから、本当に恐れ入るのである、この機械を使っていると受信機は新旧はあまり関係なさそうである

Drake R-4A に水晶を増設してみる その2

件のR-4Aである

今回は、HC-6Uの水晶を大先輩の矢花氏から有り難く頂いたのであった
その発振周波数も、37.77778MHzである
この水晶だと、26.687MHz付近~27.187MHz付近が受信出来るのである

HC-6Uタイプの水晶なので、そのまま取付けが出来る

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<HC-6U 水晶>

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<発振周波数は37.77778MHz>

 

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<R-4Aの水晶デッキに水晶を取付てみたところ>

11mバンドを聞くのも久しぶりである、以外と多くの交信が確認出来た
最近、これみよがしの11mアンテナを付けたトラックは見かけなくなった
それでも、自宅の近くでは、結構強いレベルでの交信が結構聞こえるのである
11mバンドもステルス化が進んでいるのだろうか?

LCフィルタによる4.8KHz帯域は、11m受信にとても快適である
11m帯はAMなのでやっぱり6KHzの帯域である
2.4KHzのSSBフィルタで暫定的に聞くのとは、音質が全然違うのであった

だから何なの? と言われると困るのであるが、単なる技術的興味だけである

それにしても、未だに11mの専用用語が聞き取れないのは、経験不足である

 

Sメータ の確認をしてみた

Sメータの校正

最初に校正と較正の違いはであるが、ざっくりと’校正は基準との違いを確認すること’で’較正は基準に調整すること’である
なので、今回は基準との違いを確認したのであった

先日お借りしてきたスイーパ基準信号発生器でSメータの確認をしてみる

30MHz以下のSメータの基準はS9を指す状態が、コネクタへの入力電圧は100μV(EMF), 40dBμ(EMF)となり、アンテナ端子の入力インピーダンスは50Ωのため、終端時の電圧は50μV(PD)となり、測定基準電力は34dBμ(PD)となる

S9以下の1目盛りのステップは-6dBとなる

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<14.2MHz -40dBμV(EMF)を受信した各機種のSメータ>

今までSメータの確度なんて、あまり気にしていなかったのである、と言うか受信機は測定器ではないので、この辺りは多分いい加減(良い加減です)でセッティングされている筈でSメータ自体の確度を気にする必要は無かったのである

しかし基準信号があると測りたくなるのは性なのであろう
と言うわけで、我が家のSメータの確度を測ってみた

受信機のマニュアル等をみると14MHz帯で校正しろと書いてある
実際に測ってみるとローバンドではゲインが上がるためバンド毎に差がある
きりがないので、14.2MHzで測定してみた

まずはDrake R-4Aであるが、S9の位置は少し9より上である
次にFT-101E であるがS9の位置はピッタリであった、FT-101ZではS9の位置でS8位である
ちなみにTS-520XではS9の位置でS8位であり、S9の位置には大きな狂いは無かったのである

次に各機械がS9になる信号から-24dBをアッテネ-タで減衰した信号を入力してみる

メータの指示はS5となるべき値なのであるが…

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<S9になる信号から-24dBのSメータ値>

素晴らしいのはTRIO TS-520Xであった、S9以下は規定通り6dB単位にS値が同期している。<これには本当に恐れいりました m(_ _)m>

次にDRAKE R-4Aである、バラツキはTS-520以上ではあるがS9以下は大体6dB単位にS値が同期していた

FT-101EとFT-101Zはちょっとリニアリティが怪しい、まあ難しい事を言ってはいけないのである 自分の修理時の較正が甘かったのであろう
クルマのスピードメータは車検毎に確度を確認されているが、Sメータは機械のAGC特性との関係もあり目安と考えるべきであろう
測定器は、表示がdBなのでログアンプと呼ばれる対数アンプで増幅するが、普通の受信機にはそんな機能は付いていない
Sメータは交信を楽しむためのモノであろう、特にSSB受信の場合は景気よく振れている方が感度がよさ気である

 

Drake R-4A に水晶を増設してみる

件のR-4Aである

このR-4Aはバンド水晶の取付端子が10個ある
実装済の水晶はバンド着替え時に選択されるが、XTALSの水晶を選択するとオプションのバンドを受信することが出来る

標準で搭載されている水晶はアマチュアバンドのみであり、受信周波数は以下の通りとなっている
3.5MHz~4.0MHz
7.0MHz~7.5MHz
14.0MHz~14.5MHz
21.0MHz~21.5MHz
28.5MHz~30.0MHz

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<R-4Aの水晶デッキに水晶を取付でみた>

上記以外のバンドを受信したい場合は、後面の水晶デッキに水晶を増設することで受信可能となる受信範囲は、5.5MHz~6MHzを除く1.5MHz~30MHzである

偶々、部品屋さんに行った時に発振周波数20.5MHzが安価で売っていたので購入したのである
サイズは今時なので、HC49USである
当然、R-4Aの水晶デッキはHC-6/Uである、アダプタを適当にでっち上げてみた

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<でっち上げた水晶アダプタ 取付けている水晶は20.5MHz>

本来であれば20.6MHzの水晶で9.5MHz~10.0MHzが受信可能となる

水晶を個別に発注すれば問題無いのであるが、中々個人的な財政も厳しいので、近い周波数の安価な水晶で試してみることにした
今回は20.5MHzの水晶なので、9.4MHz~9.9MHzとなり、VFO表示は100KHz高くなるのである
まぁ、一個150円の水晶なので贅沢は言えないのである

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<R-4Aで9.750MHz Radio Janpanを受信してみる>

短波放送のメッカである9.5MHz帯である
時間帯にもよるが、これは調子良く入感するのである
R-4Aの場合はLCフィルタによる4.8KHz帯域は、放送受信はとても快適である
VFOの表示ズレは意識すれば、特に問題は無い

後は、38.1MHzの水晶が安く販売されているのを探したいのである

R-4A の Preselectorと μ( ミュー )同調

R-4シリーズのPreselectorは非常に切れが良いとと思うのである
フロントパネルのプリセレクタノブは、ギアでμ( ミュー )同調コアを連動で制御している
そのコアの連動コイルは以下の通りである
・高周波入力段のアンテナコイル T1
・高周波出力段のRFコイル T2
・VFOと各バンド水晶発振のプリミックスのカップリングコイル T3,T4

この4つの同調回路が連動してしている、プリミックス機能である

4つのコイルのコアを精密に同期させることで、DRAKE R-4シリーズのプリセレクタは素晴らしい切れを持っている
FT-101で言うところの”ギロチン”である (FT-101は送受信含めて3連であり、ここまでの切れは無い)

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μ同調とは、固定コイルの中にコアをストロークさせることで、インダクタンスを変化させる同調方式であり、同調用のキャパシタンスは固定である
通常同調回路はインダクタンスが固定のコイルを使用し、バリコンでキャパシタンスを変化させる

この頃の通信機器は、同調機構がいわゆる戦略的な差別化技術であり、当時の技術の中で選択度・安定度・同調タイアル直線性(直読精度)・操作感覚について競って開発をしたと考えるのである
この辺りの技術がCORINSやDRAKEのマシンが世の中を席巻するベースとなったと思うのである
現在の無線機や受信機は電子機器であるが、この頃の無線機や受信機は精密なマシンだったのである

ちなみにR-4のVFO(PTO)もμ同調である

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(操作感はあんまり良くない、PTOをOHすれば操作感は改善するのであろうか?)

 

 

DRAKE R-4A で周波数カウンタを使ってみる

ケースに入れた、直読型周波数カウンタをDRAKE R-4A で使ってみたのである
R-4AのリアバネルのINJ端子に、PTO(VFO)の発振出力と各バンド毎の水晶との発振出力の混合周波数が出力されている (プリミックス出力)
<プリミックス主力は、PRE-SELECTを同調周波数に合わせないと出力されないので注意>

INJ端子から出力されるプリミックス周波数は受信周波数に5.645MHzを加算した周波数である

周波数カウンタで受信周波数を直読する場合は、測定周波数から5.645MHzを減算する事で直読が出来る
しかし、実際の問題としては、各バンド毎の水晶発振子の発振周波数に幾らかのズレが生じているため、各バンド毎に補正が必要である

(バンドを切替えた時に、マーカを使ってVFOの校正を行うのは主にこの理由)

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<R-4Aのブロック図の1stIF付近を参照>

 

今回の直読型周波数カウンタは、バンドメモリに7つのオフセット周波数を登録する事が出来る
バンドメモリを活用して、R-4Aで使用するために5.645MHzをバンドメモリに登録する
R-4Aは受信モードによって、プリミックス出力の周波数が変動しないため、オフセットを合わせるだけで周波数直読が可能である

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写真はR-4Aで3.559MHzを受信時の様子

  •   表示周波数 =  計測周波数  –  オフセット周波数
  •  オフセット周波数  =  5.645060MHz

 

SSBを受信してゼロイン後に、表示周波数が受信周波数と同じになる様に
オフセット調整を行う事で、誤差の少ない受信周波数の直読が可能となる実際に使って見ると、周波数変動(QRH)が可視化され、その修正も非常に簡単である

更に高度な使いこなしとして、バンド毎に校正した周波数を直読する場合は、3.5MHz,7MHz,14MHz,21MHz,28.5MHzで5つのバンドメモリに5,645MHzを登録し、それぞれのバンド毎にオフセット調整を行う事で、直読精度は更に向上する

実際に使ってみると、とても便利である

これで、メイン受信機であるR-4Aを更に快適に使う事が出来るのである

FT-101E で使ってみるに続く…

Drake R-4A 前期・後期の違いについて

Drake R-4シリーズは、R-4,R-4A,R-4B,R-4Cと大きく4機種に分かれるのである

R-4A

(写真はR-4A)

基本構成は、1stIF 5,645MHz 2ndIF 50KHzのダブルスーパで受信機であるのは変わらない

最初はR-4で、PTO(VFO)の発振回路も電子管を用いており、使用本数は14球である

その後のR-4AはPTO(VFO)がトランジスタ化され、R-4A後期型では検波回路もトランジスタ化されている

R-4Bになって、マーカ発振と定電圧管がトランジスタ化され、マーカ発振が25KHzと変更されている

R-4からR-4Bまでのシリーズの主な変更点として、下記の表にまとめてみた

変更点↑の表をクリックすると大きくなる

(もし、間違い等があればご教示下さいませ)

何れにしても、とても聴きやすい音質で、了解度は抜群の機械である

別のR-4Aの記事はこちら

サードパーティ製、直読周波数カウンターの記事はこちら

DRAKE R-4A

米国ドレーク社のR-4Aである

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この受信機は3年前に入手して、現在メインの受信機として使用している

製造時期は1967年頃であろうか? (詳しい方、詳細をお教え頂ければ幸いです)

特筆なのは、2rdIFが50KHzであり、そこにLCで組まれたフィルターが400Hz,1.2KHz,2.4KHz,4.8KHzが選択出来ることである

水晶でのフィルターではなく、LC回路で実現しているところが、当時の凄い技術と思う

内蔵スピーカは無く、外部スピーカに接続して使用するのであるが、16センチ位のスピーカを接続すると、受信音は非常に良いのである

受信音が良いと明瞭度が上がる、他の機械では聞き取りにくい音声でも、R-4Aだと聞き取れたりする

それに長く聴いていても疲れないのである

 

R-4シリーズは、R-4,R-4A,R-4B,R-4Cと大きく4機種存在する

どの機種も良い機械であると思うが、最新のR-4Cは水晶フィルターに変更となっている

VFOの範囲は500KHzで、標準で3.5MHz~4.0MHz,7.0MHz~7.5MHz,

14MHz~14.5MHz,21MHz~21.5MHz,28.5MHz~30MHz

のバンドが受信可能である

この機械は、3.5MHzや7MHzなどのローバンドをゆっくりと聴くにはとても良い機械である

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