TS-520X コイルパックの調整

お正月休みである、正月早々せちがないのであるが、件のTS-520Xのコイルパックの調整をしてみた

TS-520D/Xのコイルパックは、3.5・7・14・21・28MHzそれぞれの帯域について、局部発振・混合・アンテナ同調・ドライブの4つから成り立っている
調整順は3.5,28,21,14,7MHzの順となり、それぞれバンドの中央で行う

なお、コイルパックは無線機の下蓋側である

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<TS-520のコイルパック 左から局発・混合・アンテナ・ドライブの順となる>

特には問題は無かったのであるが、強いて上げると7MHz帯の感度が若干低い感じがしたので、お休み中なので弄ってみることとした
最初は受信から行う、SGを接続してAGCをFASTでバンド順に最大感度にアンテナ同調と混合を調整して行く
一通り受信調整が終わった所で、送信ドライブの調整をバンド順に行うのである

受信については各バンドの感度は確認出来た、7MHz帯の若干の感度不足もコイルパック調整で各バンドとほぼ同等となった
送信については3.5MHz~21MHzまで100W、29MHzで90W弱の出力を確認した
28Mhz帯は当時は50Wの出力制限がされていた、機種の筈である
私は制限は外す処理はしていないが、100W化の時に一緒に処理されたのであろう

とりあえずは、S2001は健在そうである

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<妖しく光るS2001  フィラメントの明るさは6JS6Cの方が明るい>

やる事が無いと、こんなイタズラして時間を潰してしまうのであった

Sメータ の確認をしてみた

Sメータの校正

最初に校正と較正の違いはであるが、ざっくりと’校正は基準との違いを確認すること’で’較正は基準に調整すること’である
なので、今回は基準との違いを確認したのであった

先日お借りしてきたスイーパ基準信号発生器でSメータの確認をしてみる

30MHz以下のSメータの基準はS9を指す状態が、コネクタへの入力電圧は100μV(EMF), 40dBμ(EMF)となり、アンテナ端子の入力インピーダンスは50Ωのため、終端時の電圧は50μV(PD)となり、測定基準電力は34dBμ(PD)となる

S9以下の1目盛りのステップは-6dBとなる

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<14.2MHz -40dBμV(EMF)を受信した各機種のSメータ>

今までSメータの確度なんて、あまり気にしていなかったのである、と言うか受信機は測定器ではないので、この辺りは多分いい加減(良い加減です)でセッティングされている筈でSメータ自体の確度を気にする必要は無かったのである

しかし基準信号があると測りたくなるのは性なのであろう
と言うわけで、我が家のSメータの確度を測ってみた

受信機のマニュアル等をみると14MHz帯で校正しろと書いてある
実際に測ってみるとローバンドではゲインが上がるためバンド毎に差がある
きりがないので、14.2MHzで測定してみた

まずはDrake R-4Aであるが、S9の位置は少し9より上である
次にFT-101E であるがS9の位置はピッタリであった、FT-101ZではS9の位置でS8位である
ちなみにTS-520XではS9の位置でS8位であり、S9の位置には大きな狂いは無かったのである

次に各機械がS9になる信号から-24dBをアッテネ-タで減衰した信号を入力してみる

メータの指示はS5となるべき値なのであるが…

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<S9になる信号から-24dBのSメータ値>

素晴らしいのはTRIO TS-520Xであった、S9以下は規定通り6dB単位にS値が同期している。<これには本当に恐れいりました m(_ _)m>

次にDRAKE R-4Aである、バラツキはTS-520以上ではあるがS9以下は大体6dB単位にS値が同期していた

FT-101EとFT-101Zはちょっとリニアリティが怪しい、まあ難しい事を言ってはいけないのである 自分の修理時の較正が甘かったのであろう
クルマのスピードメータは車検毎に確度を確認されているが、Sメータは機械のAGC特性との関係もあり目安と考えるべきであろう
測定器は、表示がdBなのでログアンプと呼ばれる対数アンプで増幅するが、普通の受信機にはそんな機能は付いていない
Sメータは交信を楽しむためのモノであろう、特にSSB受信の場合は景気よく振れている方が感度がよさ気である

 

届いた TS-520Xの整備

ざっくりと届いたTS-520Xの状態の確認したのであるが、まずは音声が出ない不具合の対処を実施してみる

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<届いたTS-520Xの裏面 とても綺麗である>

フロントパネルのヘッドフォン端子では聞こえるので、AF増幅回路は問題なしであろう
リアパネルの外部スピーカ端子にヘッドフォンを繫いでみると聞こえのである
次にスピーカ自体の抵抗を測ってみると、問題なしである
リアパネルの外部スピーカ端子の不良である
手持ちのミニジャックと交換して、この件は解決である

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<交換した ミニジャック>

バンド切替えスイッチと、モード切替えスイッチの接触不良であるが
接点洗浄剤と綿棒で接点を清掃していく、手の入らない箇所は洗浄剤をスブレーしながら接点を動かしてみる
お手軽メンテナンスである
本当であれば、ウェハーを外してイソプロピルアルコールで拭きたい所ではある

JJYとRITスイッチも接点から、洗浄剤をスブレーしながらスイッチを何度も動作させていく
接点洗浄剤は揮発性であるが、乾くまでは電源投入は避ける

ボリューム類は殆どガリ状態である
特に酷いのはRITのVRである、RITスイッチを押した途端に周波数が上下に変動するのである
これらのVRは古いタイプで端子とカバーの間に隙間のあるVRなので、隙間からピンセットで接点復活剤を極少量を流してからVRを何度も摺動させてみる

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<摺動ガリだらけのVR>

VFOの周波数ゲーシの動作不良は、単にVFOつまみの取付位置不良である
つまみを取り外して、再度組み付けでOKである
本来だと、ゲージとパネルの間はフェルトリングが入るのであるがこの機械には欠品だったので、また適当に探してみることにしたい
当面の動作には異常は無い

VFOの窓が内側から曇っているのと、白い100KHz単位のゲージも埃で汚れいており見苦しいので、これも拭き取ることとした
これはプラスチックの透明パネルであるが、FIXチャンネル切替えの取付ナットで共付けしてあるので、ナットを外して透明パネルを中性洗剤を染み込ませた布で拭く
VFOの白い100KHz単位のゲージも窓から綺麗に拭いて完了である
不具合があればVFOを取り外して対処したあとに清掃するであるが、不具合がないのに分解することは避けたい
(レストアであれば別であるが….)

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<アクリル板を外して、表示部分を拭く>

外観の整備は以上でおわりである
気合があれば、上ケースの塗装腐食点も乗り直すと見栄えがかなり違うと思われるが、まぁ今回は我慢である

さて内部調整であるが、一旦は受信も送信もほぼ正常そうである
只、内部は綺麗であるが内部の供給電圧電圧の確認と調整を行ってみる
9Vの電源はVFOなどの周波数精度に影響するので確認を行う、実測は9.05Vで問題なしである
次にAGC電圧の3.3Vであるが、実測3.4Vで高めなので3.3V±0.05程度に調整をする

本来であれば、この後BPFの調整から入るのであるが、現時点では触らないでおく
(触らぬ神に祟りなしである)

ここで受信感度の確認をしてみる
発振器で確認する周波数を出力して他の受信機との比較で感度を確認する
3.5MHz,7MHz14MHzは、ほぼ他の無線機と同等である
Sメータの振れが弱いので、メータ調整を行う(最大値でも少し弱いのでAGCの調整がまだ必要かも知れない)
21.MHz,28MHzは感度が若干落ちるようであるが、昔の使用感でもこんな感じだったので、まずは様子見とする

他の送信機からSSBでテスト信号をダミーロードに流して、それを受信をしてみる復調については問題は無いキャリアポイントの調整も様子見である
今度はTS-520XからSSBをダミーロードに流して他の受信機と鳴き合わせをしてる、この機械の変調も特に問題はない
送信周波数と受信周波数がズレの無いことも、相互の鳴き合わせで確認する
(PLL機だと基準周波数から周波数カウンタで調整が必要であるが、VFO機だと鳴き合わせが確実な気がする)

VFOの直線性について各バンドのバンドエッジとバンド中央値で確認を行う、これも良好である
再度送信出力について確認を行う、29.7MHzで100W,21MHzで110W,14MHzで120W,7MHzと3.5MHzで140W程度の出力が確認出来たのである
暫く受信状態でVFOのドリフトを確認してみる、1時間程度では受信音が変化する程のドリフトは無い

中々良好なコンディションまで復帰出来たのであった
(接点不良と各VRのガリは様子見であるが…)

これも、TSSへ保証認定の準備をしたい
変更申請が通れば、1970年代のビンテージマシンがFT-101EとFT-101ZSDそしてこのTS-520Xの3台となる
ビンテージマシンはとても素敵なデザインであるが問題はその大きさである

狭小住宅の我が家では場所の確保が課題である

ニューフェィス TS-520X である

オークションで落としたTS-520Xである
その昔、一時期所有していたこともあったTS-520であるが、縁有って再度我が家へやって来たのであった

このTS-520Xは、電源投入は確認済で・その他はNC/NRと言うものであった
決め手は、電源コネクタが付属していることである
この電源コネクタは最近入手が困難で代替品もそれなりに高価である
TS-520Xは定格が10Wなので、比較的安価で落札が出来たのであった

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<届いたTS-520X>

着荷したTS-520Xについて、一通りの状態確認をしてみた
まず外観であるが、ケース天板の一部が塗装が腐食している・後面は年相応でネジ類に錆がある程度である
操作パネルは比較的綺麗である
VFOダイアルを回すと周波数表示のスケールもダイアルと一緒に回転している
ケースを開けると内部は大変綺麗である
高電圧部分のコンデンサ等も外観には異常なさそうである

次に基本動作である
電源投入確認済とのことだったので電源を投入してみる、特に異臭・異音などはないので、しばらく通電後に受信確認を行ってみる

AF-GAINを回しても何の音もしないのであった
ヘッドフォン端子へヘッドフォンを繫いでみると受信ノイズは聞こえたので一安心である
この辺は簡単に修理出来そうである

但し、AF-GAINのガリは凄まじい、次にアンテナを繫いでJJYのSWを押してみた所、10MHzの基準放送が受信出来たのであった
受信が出来れば大部分は正常動作しているのである、少しホッとしたのであった
そのまま、パルス発振器で3.5,7,14,21,28,28.5,29.1を出力して受信確認を行う
すべてのバンドの受信はOKである

次にダミーロードを接続して送信試験である
モードをTUNE・メータ表示をIPに切り替えて恐る恐るヒータSWを入れて様子をみる、特に異臭・異音などはない
いよいよ、SEND SWをONにしてみる
IPが20mA程度である、LOADを浅くしてPLATEを回すとディップ点がある
ファイナル同調を取ると17W程度の出力が確認出来たのであった
全バンドをTUNEモードで送信を確認してみるとOKで29.7MHzでも15W程度の確認が出来た
基本動作は問題なさそうであるである

オークションで入手したビンテージマシンの場合、何らか手を入れられて可能性が高いので、ここまで動作の確認が出来るとまずは安心である

動作確認の最後にマイク端子から1KHzを入力しての確認を実施する
TUNEモード・14.2MHzで同調を取り、USBで送信テストを行ってみた

ここで異常を発見したのである
TS-520Xは10W機であるのに、この機械は30W程度の出力が出ているのである
異常発振か?
内蔵メータをHV(高圧電圧)に切換えると、なんと800Vである
IPは180mA ??

(本来は最初に確認すべきことであるが….)
であれば、単管50W仕様に改造の可能性もあるし、もしかして100W改造機かも知れない
この状態で、PLATEとLOADの微調整を行ってみた

なんと100Wあっさりと出力されたのであった
電源を切って、高圧部の上面パネルのメクラ板を外してみると、出力管が2本鎮座していたのであった

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<届いたTS-520Xは100W改造機であった…>

偶には良いことがあるのである \(^o^)/

後は一通り不具合箇所の対応をすれば、この機械も現役復帰出来ると思う

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<S2001を磨いてみた 気持ちが良いのである>