FT-101 の周波数構成について

FT-101 は取扱説明書に、動作原理の詳細が記載されている
当時は、趣味と言えども無線機の購入者を技術者として考えていたのかも知れないのである
この取扱説明書の動作説明について、受信系統の勝手な補足をしたいのである

取敢えず、FT-101の受信ブロック図を作成してみたのである
(もし間違い等があればご連絡下さい)

FT-101_recv_blck

<図をクリックすると拡大>

 

受信信号は高周波増幅を行った後に、第一局部発振の信号と混合される
例えば 7.100MHzを受信する場合は以下の通りとなる

IMGP5735

 

第1局部発振周波数=13.020MHz 受信信号は7.100MHz
混合後の第1中間周波数 = 13.020MHz – 7.100MHz  =  5.920MHz

注意すべきはFT-101の初段中間周波数は6.020MHz~5.520MHzへ500KHzの帯域全体が変換される事である
すなわち7MHz帯を受信している場合は、7.000MHz~7.500MHzまでの帯域全体が6.020MHz~5.520MHzに変換される
変換後の周波数は局部発振周波数と受信周波数の差分であるため、受信周波数が7.000MHzの場合6.020MHzとなり、7.500MHzの場合5.520MHzとなり、帯域のスペクラムは反転する

局部発振の周波数は、バンド切替えによって水晶発振子が切り替わるのである
(発振周波数は図を参照)

VFOの発振周波数は9.200MHzから8.700MHzである
初段中間周波数の帯域スペクラムが反転しているので、VFOの周波数も9.200MHzが最小値0KHz(500KHz)であり、8.700MHzが最大値500KHz(1000KHz)となる

FT-101の場合3.180MHzが第2中間周波数として設定されている
従って、第2混合回路で、初段中間周波数6.020MHz~5.520MHz (500KHzの帯域)からVFOの発振周波数の差分が3.180MHzとなる周波数で同調される
受信周波数が7.100MHzの場合、5.920MHzに変換されているのでVFOの発振周波数は9.100MHzで同調する
混合後の第2中間周波数 = 9.100MHz  –  5.920MHz  =  3.120MHz

VFOの発振周波数は最小点から100KHzのポイントになり、最小点9.200MHzから0.1MHzを引いて9.1000MHzとなる
FT-101の選局は、第2局部発振のVFO発振周波数の変化で行っているのである

第2中間周波数3.120MHzに変換された信号は、中間波増幅を経て水晶フィルタで帯域幅を2.4KHzとする
フィルタの帯域はモードによって選択される
更に、中間波増幅を経て検波する

FT-101のSSBの検波は、リング検波器を使ったプロダクト検波である
キャリア信号の3.815KHz又は3.785KHzと第2中間周波数の周波数差分が音声として復調される

以上が、ざっくりとしたFT-101の受信信号の流れである

件の周波数カウンタでの、デジタル直読を行うためのオフセット周波数の根拠は上記の内容から求められるるのである
7MHz帯のオフセット設定周波数は局部発振周波数と第2中間周波数(第2混合で選局を行うため)の和となり
周波数表示値は以下の式である

オフセット周波数(13.020MHz+3.180MHz)-VFO発振周波数(例は9.100MHz) = 7.100MHz

IMGP5734

ちょっとした頭の体操ではある

YAESU FT-101E で周波数カウンタを使ってみる (送信編)

ケースに入れた、直読型周波数カウンタをYAESU FT-101E で送信してみたのである

当然の事ながら、送信前のセレモニーでひと通りのファイナル調整を行う

送信してみると、ある程度の出力で表示周波数が変化してしまうのである

IMGP5693

<7.195MHzで送受信>

IMGP5694

<送信すると7.638MHzと表示される>

この周波数カウンタには、HOLDモードがあるので送信時に、HOLD端子をグランドレベルに落とす事で回避はされるのである

そうは言っても気になるのである

 

IMGP5695

<受信時の FT-101E のVFO出力のスペクトラム 入力は-30dBの外部アッテネショーンしてある>

9.005MHzのVFO周波数と約-40dBで内部IF周波数が乗っている

IMGP5696

<送信時の FT-101E のVFO出力のスペクトラム>

9.005MHzのVFO周波数と、-15dB位で7.195MHzの送信キャリアが乗っている

 

送信時については、周囲の配線の状況で、測定すべき周波数以外の信号がノイズとして乗って来るのであった

本来の解決方法としてはバンドパスフィルターを挿入するのが正攻法であるが、FT-101 の専用機となってしまうので、悩ましい所ではある

送信時にカウンターをHOLDモードにして、表示を固定してする事で、使ってみたいと思っている

(送信時のQRHはモニター出来なくなるが…)

 

 

 

 

YAESU FT-101E で周波数カウンタを使ってみる (受信編)

ケースに入れた、直読型周波数カウンタをYAESU FT-101E で使ってみたのである
FT-101E のリアバネルのVFO 出力端子に、VFOの発振出力が出力されている

FT-101 の送受信周波数計算は少し面倒ではある

ざっくり各バンド毎に表すと以下の通りである

  • 160m   10.7MHz  –  VFO発振周波数  (1.5MHz-2MHz)
  • 80m     12.7MHz  –  VFO発振周波数  (3.5MHz-4MHz)
  • 40m     16.2MHz  –  VFO発振周波数  (7MHz-7.5MHz)
  • 20m     23.2MHz  –  VFO発振周波数  (14MHz-14.5MHz)
  • 15m     30.2MHz  –  VFO発振周波数  (21MHz-21.5MHz)
  • 10m     37.2MHz  –  VFO発振周波数  (28MHz-28.5MHz)

 

ちなみに、VFOの発振周波数は 9.2MHz~8.7MHzであり、VFO発振周波数が9.2MHzの時がダイアル上では一番低いダイアル位置となる

例えば、7.195MHzを送受信する場合は、VFO発振周波数は9.005MHzである

上の表にから、 16.2MHz –  9.005MHz =  7.195MHz  となる

周波数カウンタで7MHzの受信周波数を直読する場合は、オフセット周波数の16.2MHzから測定周波数を減算する事で直読が出来る

この辺りのFT-101の仕組みは別の機会に書きたいと思っているのである

実際に使って見た写真である

IMGP5692

 

FT-101Eの場合もR-4Aと同様SSBを受信してゼロイン後に

表示周波数が受信周波数と同じになる様にオフセット調整を行う

FT-101E の場合、3.5MHz,7MHz,14MHz,21MHz,28MHzなどをバンドメモリにそれぞれオフセット周波数を登録し、バンド毎にメモリの切替が必要になる

純正品のYC-601でもこの仕様は変わらないのである、従ってYC-601の代わりに使う事は可能ではないかと思うのである

送信については別の問題が有るので次回に..

 

FT-101E その1

FT-101E

アマチュア無線機ではメジャーな機種である

写真の機械は1977年頃の製造だと思われるが、40年経った今でも動作しているは立派である

モード切替やバンド切替のロータリSWの多少のガリについては、40年以上前の工業製品であり、致し方無いと思う

この頃の無線機で送信する場合は、バンド毎にチューニングが必要であり、現在のボタン一発の機械からすると面倒である

ヒータSWを入れて、アンテナをダミーロードに切り替え、所定の調整作業を行う

送信管のIPを確認しながら、PreSelecter,PLATE,LOADを最良値に追い込む

なんとも、アナログな儀式ではあるが、その儀式の意味はとても大切な事であった

それらの意味を現在で噛みしめながら儀式を行う事も、今となっては贅沢な遊びなのかもしれない。

偶々の個体かもしれないが、このFT-101EのVFOは比較的安定している 電源投入後30分以降の周波数変動は数Hz/h程度の安定度である

これも当時の凄い技術だと思う。

10Hz単位のアナログダイアルでの運用は、やっぱり最新の機械で周波数直読が便利ではあるが、昔のVFO操作感も触って楽しいものである

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