LA-1600 自作ラジオのトラッキング再調整

ふとした思いつきであったが、以前に作ったLA-1600の評価用ラジオを再度トラッキング調整してみた
トラッキング調整については本来は以下の3点の手順である
① 455KHzの変調信号を入力してIFTを信号最大点に合わせる
② 530KHzの変調信号を入力してOSCコイルを信号最大点に合わせる
③ 1620 KHzの変調信号を入力してOSCトリマを信号最大点に合わせる

本来は②と③を数回繰り返して終了である

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<LA-1600自作ラジオ 赤がOSCコイル白がIFTである>

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<バリコンのトリマ位置>

今回はもう少し突っ込んでみた
局発の発振周波数を調べてみることにした
LA-1600などの低電圧で動作するラジオの、局発周波数を周波数カウンタで調べるのは、カウンタまで信号線容量などの関係で、局発に影響を与えないで、正確な周波数を測定することは以外と面倒である

以外と確実簡単なのは、PLLのゼネカバ機で局発信号を受信することである
受信はCWでビートを受信すると、正確な局発発振周波数を測定できる

測定結果は530KHz受信で992KHz、1605KHz受信で2068KHzであった
中間周波数が462KHzとなっている
今まで455KHzと信じていたのであった (自分で作って置きながら情けない限りである)

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<局発周波数の受信による周波数測定>

このラジオはセラミックフィルタに、SFU455Bを使用している
改めて、セラミックフィルタSFU455Bのデータシートを検索してみた
中心周波数は462±2KHzであった

前回の調整時には、②と③時にIFTも信号最大点に合わせたかも知れない
従って、何も考えないでIF中心周波数は462KHzに調整されていたと思う

以前は100円で販売されていたこともある完全なコモディティ商品である中波ラジオである
されど、スーパヘテロダイン方式である限り調整がラジオの性能を決定するのである
今更ではあるが、ラジオは結構奥深いと思う

ちなみに、自作ラジオのトラッキング調整であるが、ゼネカバ受信機があればそれなりの調整は出来る
(中間周波数455KHzの場合)

① ラジオのダイアルを530KHzに合わせて、ゼネカバ受信機で685KHzのビートが入る様にOSCコイルを調整する
② ラジオのダイアルを1620 KHzに合わせて、ゼネカバ受信機で685KHzのビートが入る様にOSCトリマを調整する
③ 上記①と②を数回繰り返す
④ 放送を2局ほど受信しIFTを最大感度に調整する

たかがラジオされどラジオである、久しぶりにラジオ弄るのも楽しいものである

LA-1600 を使った 7.195MHz受信機の受信音

以前に記載した、SANYO LA-1600を使った7.195MHz専用受信機で7.195MHzを聴いてみた

単純な構成なので、比較的音質は良いと思うのである
AM用のフィルタは、murataの455KHzセラミックフィルタ6KHzの帯域幅のものである

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<このセラミックフィルタは通信販売で入手可能>

LA-1600を使う場合は、IFTが一段になってしまうため、選択度が不足する
単にAMラジオとしても、ラジオ用のセラミックフィルタが必要と思う
ましてや、混み合っている7MHz帯では必要不可欠である 近隣周波数にSSB局がいるが、6KHz程度の帯域だと、音質と選択度のバランスが良いようである

以下が、LA-1600を使用した7.195MHz A3専用受信機の受信音である

いかがであろうか

1波専用受信機の場合は、選局の仕組みが必要無いため、シンプルに制作可能である
アンテナ同調とプリセレクタとして7.2MHzの同調コイル、局発とし7195+455=7.650MHzの水晶発振回路を組み、LA-1600の局発端子に入力するのである
455KHzのIFTの後に、ちょっと良さ気なセラミックフィルタを奢ってやり、オーディオ増幅はTA7386で組むと3Vで動作する受信機となるのである

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<基板を小型SP-BOXに押し込んでいる>

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<裏面 電源兼VOLとANT端子だけ 水晶切替SWで周波数を切替える>

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<電源は単3電池2本 ロングワイヤーを適当に繋ぐと持ち運び自由で便利である>

本格的に、選局出来る受信機も良いのであるが、選局部分を考えるとVXOやらVFOなどの構成を考える必要がある
又、選局ダイアルの減速機構とか周波数表示とか考え出すと、キリがないのである
(これはこれで考えている楽しみもあるであるが)

で、1波専用として製作すれば同調回路を簡略化が出来るため、コンパクトなLA-1600を使った受信機としてはお勧めである

LA-1600 は遊べるのである 20世紀の置き土産

LA-1600

三洋電機の製品でAMラジオ用ICである
3Vの電源で動作し、少ない外付け部品でスーパラジオのAF出力まで一個のICで実現出来る
これに、東芝のTA7386をAFアンプして使用すれば、3Vの単一電源でAMラジオが簡単に出来る

注)LA-1600及びTA7368は生産終了品 流通在庫は有るみたいなので2015年現在では入手可能

LA-1600は内部に、RF増幅・局発・混合・IF増幅・検波・AGC制御が内蔵されている

LA-1600等価回路

<データシートの等価回路参照>

アンテナコイル・局発の発振コイル・IFT・セラミックフィルターを接続するだけでラジオが完成するのである

pin概要は以下の通りである <詳細はデータシートを参照>
・1pinと2pinに受信する信号を入力 <アンテナとの整合と同調回路を接続する>
・3pin LCの組合せにより局部発振をする <他の水晶発振回路等の発振周波数の入力可>
・4pin混合後のIF出力でありIFTが接続される
・5pinグランド
・6pin AGC出力 <Cの値を変更するとAGC特性が変えられる 又この電圧を検知するとSメータになる>
・7pin IF入力 IFTの通過後のIF入力 <選択度を高めるにはIFTの後にセラミックフィルタを接続する>
・8pin 電源
・9pin AF出力

 

LA-1600AMラジオ
データシートのAMラジオ回路例

LA-1600SW

データシートのSWラジオ回路例

このICは短波帯まで使用可能であり25MHzまではデータが記載されており、受信機として利用価値は高いと思う 更にBFO回路等を付加すればSSBやCWを受信して楽しめる

以前に、このICを使って7.195MHz1波の受信機を作成したのである
付加部品は以下の通り

・アンテナコイルには、1Kボビンで7.2MHzのコイルを作成
(7MHzのFCZコイル等でも使えると思う)
・7.650MHzの水晶で発振回路を作成しその出力を3pinへ
(発振コイルは1Kボビンで手巻き 7MHzだと2SC1815でOK)
・IFTは455KHz用の黄色
・セラミックフィルタ (IFT1段だと選択度が低いため、アマチュア無線では使えない)
・TA7368の低周波数アンプ

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7.195MHz AM受信機の基板

残念ながらフリーハンドで作成したので回路図は残っていない m(__)m
まさかブログを書くなんて当時思いもよらなかったのである

7.195MHz専用受信機

以前、私の大先輩である矢花氏から、セラミックフィルター(muRata CFL455H)を頂戴した
このフィルターはとても良いスカート特性なので、これを使って受信機を作ってみたら
とご進言を頂き、暫く経ってから検討を開始した
大先輩の矢花氏は真空管使いの大権威であるが、私はヒヨッコなので安易にICで構成を考えてみた
SANYOのLA-1600とTOSHIBA TA7368を使えば簡単に出来そうなので、2個のICで7.195MHzのAM専用機と言うことで、設計を開始した。

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(作成してみた7.195MHz AM専用受信機の基板)

局発は7.195MHzに455KHzを足した7.650MHzの水晶発振子とし、前段同調は10Kボビンに7.2MHzで同調点とするコイルを巻いたものである
この辺までは順調だったのであるが、どうしてかIF出力が出てこない...
LA-1600のデータシートとずっと睨メッコをするが、やっぱりダメである

で、比較用のLA-1600評価回路があれば確認は楽なのであるが、家の中にそんなものは転がっている訳が無い
ではと言うことで、データシートに掲載されているものに近い、中波ラジオを別に組んでみる事にした

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(LA-1600 評価ラジオ)

取敢えず組んで電源を入れると音は出る、局発周波数を測定するとほぼ正しい周波数である
単一調整を済ませると当然ラジオとして動作するのであった
(ラジオを作るなんて何10年ぶりだろうか)

で、動作中のLA-1600について各PINの状態を調べる
あっ.... AGCが すぐに気づきがあった
6PINのAGC端子の使い方に、思わぬ勘違いがあったのである、やっぱりこの辺は経験値がモノを言うのであろう、私はまたまた経験不足である。

7,195MHz単波受信機のAGC回路を修正して、テスト信号を入れてみると動作OKである
単波受信機は同調点は1点のみであり、局発は水晶発振子、中間波は6KHz帯域セラミックフィルタを入れているので、調整はとても簡単である。

昔のパソコン用スピーカケースに入れて、制作終了である
非常に簡単な構成であるが、感度も違和感は無く、選択度AM受信機として十分に使える
いずれにせよ、制作する時は使うデバイスについて十分な評価が必要である事を再認識した

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(ケースに入れた、7.195MHz専用受信機)