FT-101ZSDを数年使ってみた感想

このF-101ZSDはとあるOMさんに故障品を頂いたモノである
頂いた時の、不具合は送信が全く出来ない、IF WIDTHが異常である点であった
多分A3で多用していたと思われ、ドライバ管の12AY7のカットオフ回路の抵抗が焼損しており、その結果12BY7Aが送信時以外に、動作してしまい12AY7も不良となっていた

カットオフ回路の抵抗を交換しドライバのカットオフ回路の動作確認後に、12BY7Aを交換して送信はOKとなった
又、FT-101Zシリーズは、可変帯域機能が搭載されており、WIDTHというツマミがそれである
この調整がズレていたので、一通り取扱説明書に従って調整を行ってほぼOKである

元々、FT-101ZSDはデジタル周波数表示の10W機で、拙宅にあるのはWARCバンド対応の最終型である

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<FT-101ZSD 最終型>

送信管は6146Bであり、元来のFT-101シリーズの6JS6Cから変更されている
以前にも書いたが、構造的にFT-101Zシリーズは以前のFT-101シリーズとは全く別物であり、FT-901シリーズの兄弟機である
従ってオプションもFT-901との共用が多く、フロントパネルは非常に酷似している
FT-901と根本的に異なる点は、FT-901がPLL機であるのにFT-101ZはVFO機であることである

さて、実際に数年間使ってみた感想である
最初に全体の操作性である
真空管を出力管で使っている場合は殆どが、ファイナル調整機能としてバンド毎にPLATEとLOADINGの調整が必要である
FT-101ZはプリセレクタとPLATEツマミに減速機構がついており、減速機構での周波数表示がモダンでツマミは大きく軽く動作するので操作性は良い

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<操作性が良い PRESELECTとPLATE>

この辺り機構は真空管ファイナル機の最終世代だけあって良く出来ている
(FT-901はファイナル調整タイマーが搭載させている)
只、ファイナル調整時のSNEDスイッチが、VOXつまみと共用となっているのが使いづらい

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<マイクのPTTを押せば済むが、本体でのSENDが使いにくい>

基本的にFT-101Zシリーズはシングルスーパ機であり、そのため受信音のノイズは少ない
音質も優しくこの機械は長く聴いていても疲れない機械の一つである

FT-101Zシリーズの特徴の一つにIF-WIDTH機能がある、この機能はIF信号の8.9875MHzを10.76MHzに再度変換する際の局発周波数調整で、2つのフィルタを利用して帯域幅を調整する機能である
(凝った回路である)
混んだ7MHz帯のCWでは結構この機能は使える けれどナローフィルタに慣れていると操作が面倒ではある
ノッチとしてAPF機能が用意されており混信除去として使えるが、これも操作が面倒ではある

VFOの操作感は、ノッペリした感覚でギア感は全くない
この辺りの操作感は好みが別れる点であるが、現代のPLL機のエンコーダに近い感覚である
FT-101ZSDは100Hz単位のデジタル周波数表示であり、この辺りの操作感は現代の機械とあまり変わらない

通常のSSBでの交信では、今なお十分使用出来る実力を持っている
但し真空管ファイナル機であるので、QRV周波数を変更した場合は必ずファイナル調整が必須であることを留意する位である

最後にAMの送受信であるが送信にはオプションのAMユニットが必要となる
AMの受信音はオプションのAMフィルタが無い場合は、SSBフィルタの帯域となるので当然音質は良くない
聴けないレベルでは無いが、AMメインでQRVするのであればAMフィルタは必要と思う
オプションのAMユニットが入手出来のであれば、AMフィルタとセットが望ましい

ビンテージマシンではあるが、現代のマシンに近い機械である

1970年代 の最新鋭機 FT-101Z

FT-101Zなのである

この機械はFT-101と名乗っているが、中身は全く違う機械である
(マーケティング上の配慮で、FT-101の名前が残されたと思う)

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この機械も、故障品の貰い物である (ZSDの100W改)
ある日、受信しか出来ないFT-101があるので、欲しかったら上げるとの申し出が有ったので、有り難く頂戴してきたマシンであった。
もう、かなり前なので、自分が手を加えた内容は忘れてしまったが
12BY7Aのカットオフ回路が焼けていて、12BY7Aがボケていた

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<その時の12BY7A  ゲッターの鏡面が白く濁っている>

焼けていた抵抗を修復し12BY7Aを交換した所で、送信が可能となったのである
>12BY7を快く恵んで頂いた 大先輩の矢花氏大変ありがとうございました

その後、取扱説明書に従って確認調整をした所、IF widthの周波数ズレとクラリファイアのズレ、終段の中和でほぼ所定以上の出力も出る様になったのであった

この機械は出力管が本流FT-101の6JS6Cから6146Bに変更されている
この頃の機械は28MHzが50Wに制限されている(本流FT-101には制限は無かった)
私の場合は28MHzで50Wも出れば実用上問題ないのであるが、取敢えず終段管へのスクリーングリッド電圧の制限を外して100W化とした (何故か回路図には記載されていない)
さすが6146Bである 29.7MHzで100W以上の出力が確認出来た

最近はあまり使用する機会が少ないが、WARCバンド対応機なので18MHz,24MHz,そして28MHz帯に出る時に使う程度である
(最近は根性無しで殆ど出ていない)

内部の周波数構成は本流FT-101と全く異なり、当時のフラグシップFT-901の兄弟機である
面白いのが、FMユニットとAMユニットがoptionでどちらかかを選択出来る
ちなみに私の機械はAMユニットが装着されている

更に私の機械は、周波数カウンタ付きのFT-101ZSDである
100Hz単位で送受信周波数の直読が出来る 素晴らしいことである

当時の高級機らしく機能てんこ盛りなのであるが、送信時の調整に使用する’MOX’-SWは都度VOXツマミを左に回し切る必要がある
どうしても、送信時のファイナル調整の時に違和感が残ってしまう
VFOの操作感は、ギア感がなく本流FT-101の操作感とは異なり、VFOの増減方向も本流FT-101と逆である

何気に気になるのが、マイク入力インピーダンスである、本流FT-101は50KΩだったのに600Ωに変更されている
本流FT-101のマイクがそのまま使えないのは残念である

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<写真は50KΩと600Ωの切替付きのYD-844A>

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<底面にもSWが有り、手で持つと送信され 倒れても送信される お茶目なマイクである>

 

全く個人的な考えであるが、この機械は古い機械を使っている感じがしないのである
それだけ完成度が高かった機械だと思うが、私的にはWARCバンドの専用機となってしまうのである