昔の同軸切替器の挿入損失を測ってみた

最近、ヒマがあればそこいら辺のモノを測って遊んでいるのである
今回は、昔の同軸切換器である

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<測ったモノはコレ Mコネクタなので高い周波数でのロスの原因はコネクタかも…>

 

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<ダイキャストのキャビティ構造である>

実際測ってみたが、600MHzで約-2dB程度、430MHzで-1.5dB程度、150MHzで-1.5dB程度、50MHz以下で0.5dB以下って感じであるHF帯では十分に使えそうであるが、U/Vだとちょっと厳しい感じである

*もしかして、この切替器は清掃が必要なのかも…
特に400MHzからの落ち込みは、M型コネクタの特性が足を引っ張っていると思う

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<1dB/100MHz  0.1MHz~1Gまで手動スイープした画像 >

いつもの通り、1MHzステップの手動スイープで特性のエンベローブはピークホールド機能で記録したものである

SSGがあるとこんな遊びも出来て大変楽しい
(こんな遊びをしているとTG付きのスペアナが欲しいのであるが、まだまだ我慢)

オーソドックスなアンテナカプラなのである

DAIWA の CL-64である

これは、出力のアンテナ切替が出来ること以外に付加機能が付いていないオーソドックスなアンテナカプラである
200WPEPまでの耐入力なので100W局であれば何ら問題なく使うことが出来る

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<DAIWA CL-64 アンテナカプラ>

アンテナカプラとアンテナチューナは同義語である
私が開局した1970年代はアンテナカプラと呼ばれていた

さて、アンテナカプラであるが、中身は2つのバリコンとバンド毎にタップが付いたコイルだけである
コイルのタップでバンドを確定して、入力側と出力側のバリコンを調整をするのである
バリコンの調整はコツがいるが慣れれば問題は無い、SWR計が付いていないカプラは、別途入力側(送信機側)で測る必要がある

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<アンテナカプラの内部 バリコン2つとタップ付きコイルだけである>

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<裏面は出力が3系等の切替が出来る パススルーがあるともっと良かったが…>

カプラはπマッチ回路そのもので、入力側のインピーダンス変換と出力側のインピーダンス変換が出来る
通常は入力側のインピーダンスは50Ω固定なので、出力側のインピーダンス変換が主な仕事となる

現在のボタン一発のアンテナチューナも原理は全く一緒である
ただ、バリコンの代わりに高耐圧のコンデンサの容量をリレーで高速に切り替え、バンド設定のコイルの代わりに複数のコイルをリレーで高速切り替えている、そして人間が読んでいたSWR計の指針をマイクロコントローラが判断して素早く、同調を取っている

ビンテージマシンとカプラを併用するには少し注意が必要なのである
終段が真空管の送信機はPLATEとLOADの調整が必要であるが、この回路はπマッチ回路である

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<LOAD,PLATEもπマッチ回路>

従ってアンテナの整合範囲が現在の50Ω固定はでは無く35Ω程度から100Ω程度位まではマッチングするのである
今で言う所の、アンテナチューナ内蔵である
(操作は大変面倒であるが)

前回に紹介した、CAN-2002 オートアンテナチューナも原理は全く一緒である
2つのバリコンの位置関係がギアで操作されているものである

最近はアンテナチューナが内蔵されている無線機も多いが、無線機内蔵タイプや無線機の近くに配置するアンテナチューナやカプラは万能ではない

何故なら、カプラ(チューナ)からの出力とアンテナの給電点との伝送経路の特性インピーダンスが50Ωだからである ハンドの中央に調整しているアンテナでバンドエッジで運用する時位と使用に留めた方が安全である

整合されていないアンテナをこのタイプのカプラやチューナで無理矢理運用するのは避けるべきかと思う

この辺りは別途

DAIWA オートアンテナチューナ CNA-2002

力技のオートアンテナチューナーである

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<DAIWA CNA-2002>

昔懐かしいDAIWA製のオートアンテナチューナ CNA-2002である
このアンテナチューナはモーターで、πマッチ回路のバリコンを回転させる
アンテナ側のバリコンと送信機側のバリコンのギア比を変えてあり、1つのモータで同調を取っている
同調動作中VSWRの値を計測して、一定以下のポイントで同調動作は停止する

動作を見ていると中々楽しい
5W程度で同調が取れるので、目的の周波数でキャリアを出力する
左側のOPEボタンを押すと同調がスタートする
その間内部はモータの回転かる音して、バリコンが電動で回っている
当然、ギア比で2つのバリコンを交互に動かしているのだけなので、偶々同調ポイントが近くにあると同調は直ぐ終わるが、同調ポイントが過ぎた地点からだと一周期の回転となるので、同調には数分かかる
同調が取れたら回転が停止するので、その後は手動で右側の2つのファインチューニングで更に追い込んで終了となる

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<2つの黒い箱がモータ駆動のバリコン>

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<一つのモータでギア比を変えて2つのバリコンを駆動している>

自動同調している間は無線機のアンテナ負荷は当然の事ながら変化する
従って現代の無線機を出力をこのチューナに接続して自動同調させた場合、無線機側の保護機能で出力が落ちてしまい同調が出来ない
ビンテージマシンであれば難なく同調は可能である (とは言っても不整合分の電力は終段で吸収することななるが…)

このチューナ内蔵のダミーロードであるが、見た目でも100Wの連続負荷は厳しそうである
写真では少し焼けた感じがする抵抗器である、無線機側のファイナル調整をこのダミーロードで行った跡であろう

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<少し焼けている内蔵の100Wダミ-ロード>

このアンテナチューナの仕様は、2.5KWPEPとなっており実際には1KW対応となる
繋がるアンテナは2系統で、100Wのダミーロードを内蔵している
電源は13.8Vで、自動チューニング機能が動作する
チューナをパスする切替えも装備している

私の家は狭小住宅であるため、ローバンドのフルサイズダイポールなんて無理である
従って適当な、ロングワイヤーを貼ってAH-4で同調している
現代のアンテナチューナはとても賢く、そして同調も瞬時である

KWの免許を受けている方々であれば、完璧に同調されたアンテナを使用している思う
このアンテナチューナは同調点から外れたバンドエッジでオンエアするには具合が良いかもしれないが、この自動機能であれば手でバリコンを調節した方が早いし確実でもある

しかしながら、この雰囲気と力技のオートチューニング機構はビンテージマシンに良く似合うのである