懐かしき2716

机の引き出しを整理していたら、何と懐かしき部品が出て来たのであった
昔懐かしきEP-ROMである

IMGP6282

<富士通製の2716 懐かしい>
紫外線に窓部分を当てる事によって記録された情報を消去して、再度書き込むことが出来る
当時はROM WRITERとROM ERASERはセットで、組込み系の仕事場には必ず置いてあったものである

この2716は8bit幅のデータが2K番地まで記録出来る読出し専用メモリ(ROM)であり、8×2048で16Kbitの容量である
27**と言うシリーズの**は記録出来るビット数の事であった

当時は、CPUとしてZ80が全盛期の頃であり、8085や6800などのシステムも存在していた
いわゆる、マイコンと呼ばれた世代である
プログラミング言語は殆どアセンブラであり2Kbyteの空間にどうやって、コードを押込めるか悩んだものである
(この後すぐに2732や2764が実用化されたので、一時的にサイズ不足は解消されるのであるが、その分仕様が膨らむので結局、コード圧縮の仕事は無くならなかった)

今やEP-ROMを書くことも無くなった
マイクロコントローラにはフラッシュメモリが搭載され、そのサイズも大きくなっている
Raspberry Pi等のワンボードからすると、隔世の感である

妄想としては、Z-80CPUや8255などを集めてワンボードを作ったら十分に懐かしさを味わえる
70年代終盤から80年代前半のシステムであろうとも、手間は一緒…いや今以上に大変かもしれない
アナログ系のものは古い機械でもフォーマットが変わらない限り使えるが、デジタル系の古い機械は
単なる産廃である…

この2716は今現在、どの様な使いみちがあるのだろう

IMGP6283

<ガラスパッケージが時代を感じる 昔は高価な部品だったのである>

 

昔の同軸切替器の挿入損失を測ってみた

最近、ヒマがあればそこいら辺のモノを測って遊んでいるのである
今回は、昔の同軸切換器である

IMGP6269

<測ったモノはコレ Mコネクタなので高い周波数でのロスの原因はコネクタかも…>

 

IMGP6271

<ダイキャストのキャビティ構造である>

実際測ってみたが、600MHzで約-2dB程度、430MHzで-1.5dB程度、150MHzで-1.5dB程度、50MHz以下で0.5dB以下って感じであるHF帯では十分に使えそうであるが、U/Vだとちょっと厳しい感じである

*もしかして、この切替器は清掃が必要なのかも…
特に400MHzからの落ち込みは、M型コネクタの特性が足を引っ張っていると思う

IMGP6270

<1dB/100MHz  0.1MHz~1Gまで手動スイープした画像 >

いつもの通り、1MHzステップの手動スイープで特性のエンベローブはピークホールド機能で記録したものである

SSGがあるとこんな遊びも出来て大変楽しい
(こんな遊びをしているとTG付きのスペアナが欲しいのであるが、まだまだ我慢)

OCXOの校正その4

我が家の基準信号として使用しているOCXOである
先日GPSからの10MHz基準信号と比較してので、それぞれの差分を再度確認してみる

IMGP6073

<2台のOCXOを比較してみる 電源投入後1時間以上してから比較を行う>

比較については、OCXO-Aの出力を周波数カウンタの基準信号として入力し、OCXO-Bの出力を周波数カウンタで測定するだけである
我が家で真面目に周波数測定(といってし大した確度ではないが)をする場合は、この比較を行って差が0.5Hz以内であることを確認した上で測定を行っている

水晶発振子には、エージングレートと呼ばれる発振周波数が時間とともに変化する特性がある
例えば、エージングレート±1×10^6 と書かれていれば10MHz発振子の場合で年間10Hz以下のズレが発生する可能性がある
従って水晶発振子を使用している場合は定期的に周波数の確認が必要となってくるのである
例え温度補償回路付きのTCXOであれ恒温槽入のOCXOであれ、水晶発振子を使用している以上は経時変化の確認は必要不可欠であろう

良くメーカオプションのTCXOを入れているから自分の送受信周波数は正確と仰っている方がいるが、仮に初期値は正確かも知れないが経年変化のズレに対しての確認は必要かと思う
HF帯域では数ppmのズレがあっても気づかないことの方が多いし、気にする必要も無いと思う

しかしUHF帯域以上でSSBやCWを行う場合は要注意であり、定期的に自分の無線機の送受信周波数の確認は必要かも知れない

と言うことで、先日校正した2つのOCXOを発振周波数を比較してみた

151112212446

<校正済のOCXOを比較 差は0.1Hz>

OCXO-A・Bの発振周波数の差は0.1Hz以下であった、さすがに校正したてである

我が家の標準周波数として、また暫くは活躍してもらうのである

元祖 DC-DCコンバータ ??

現在は色々な回路で使用されているDC-DCコンバータである
昇圧型のDC-DCコンパータは、内部の発振器で発振させた信号を昇圧した電圧を利用している

約80年前にもDC-DCコンバータは存在していたのである
名称は回転式直流変圧器である

IMGP6060

<地三号受信機の回転式直流変圧器>

これは、直流モータでダイナモ発電機を回転させて発電する力技の、電力変換器である
入力がDC6V出力がDC200Vである

この回転式直流変圧器は、旧陸軍の地3型受信機に使われていた変圧器である
一般的に真空管を動作させる場合は、プレートに対して数100Vの電圧印加が必要であり、この変圧器は受信機のプレート電圧を確保するために使われている
交流電源が用意出来る場所であれば電源トランスで済むのであるが、交流電源が利用出来ない場所で使うために用意されている
元々真空管のヒータ電源として6.3Vが用いられていたのと、当時の自動車は6V電装が主流だったので入力電圧が6Vだったと思う

さてこの回転式直流変圧器であるが、大先輩の矢花氏から見てもらえないか とお預かりしたものである
内部のロータは固着しており、モータ部分の道通はあるがダイナモ発電機出力の道通は無かった
多分ブラシの接触不良であろう

70年以上前の貴重な重要文化財である、壊さないように慎重に作業を行う
まずネジは全て’―’ネジである 手持ちの工具箱から全てのマイナスドライバを取り出す
ネジ山にフィットするドライバを使用しないと、ネジ山を痛めるためである

電気回路修理には原則スプレー式の潤滑剤は使わないのであるが、長年の年月でネジは固着しているのでネジや接合部にスプレー式の潤滑剤を吹き付ける
1日以上置いておくと潤滑剤が浸透しネジの固着が緩和される

本来であれば全部を分解・洗浄・組立・再給脂となるのであるが、ベアリングを外す専用プーラが無いのでブラシ部分の清掃とベアリング部分の洗浄、電極接点磨きを試みてみる
一通り作業を行って、ダイナモ出力の抵抗値を見ると約600Ωと道通している

モータの電源にはCC制御が出来る電源を使用し電流制限値は3Aとしてみる
MAX電圧は3Vとして、まずは様子を見てみることにした
モータ入力にDCを印加すると、電流値はMAXの3Aとなりその時の電圧は約0.9Vであった
ロータを外から回してみると回転したのでユルユルと回転したのであった
モータ側のブラシ位置を調整してみたところ、きちんと回転を始めたのである
電流値は約2.5A、電圧値は3Vである

ダイナモ側のブラシ位置の調整をした所、100V程度の電圧が確認出来た
この状態で、発熱・発煙・異臭・異音が無いことを確認して、徐々に電圧を上げて見る
出力は無負荷であるが、モータ電圧6Vで205V程度の出力を確認出来たのである

IMGP6061

<回転中の回転式直流変圧器 2次側無負荷で6V 2.7A程度の消費電力>

IMGP6062

<2次側無負荷の出力は 205V>

とりあえずは、この回転式直流変圧器の基本部分は動作している事を確認出来たのである
しかしOHは必要であるので、軸受け構造など確認の上でOHを考えてみたい

<試運転の動画である>

OCXOの校正 その2

先日OCXOの校正(較正)について記載したので、直近の精度について気になったので、測ってみたのであった

確認の方法は、前回記載した内容と同じで、2つのOCXOの周波数を比較する方法である

比較方法は以下の通りである

1. ユニバーサルカウンタの10MHz標準信号にOCXO(a)の出力を接続

2. ユニバーサルカウンタ(周波数カウンタ)の入力にOCXO(b)の出力を接続

3. OCXOとユニバーサルカウンタの電源を投入して2時間エージングする

4. 周波数を計測する

今回の計測結果は、10,000,000.0Hz(8桁、ゲートタイム10S)なので、OCXO2個の周波数差は0.01ppm以下である

当然、GPS基準などの絶対値からの比較では無いので絶対差では無いが、OCXO2個が同一方向方向の周波数ズレが生じている確率は低いので、予想値として0.1ppmの範囲には入っていると考えている

しかし、いずれはGPSの10MHz基準発振器が欲しいと思う

(下記のユニバーサルカウンタは ADVANTEST TR5823)

IMGP5629

ちなみに下記の写真は、私が使用しているTOYOCOM TC0-612L OCXOである

発信周波数の較正(校正)は、端子に取付た多回転半固定抵抗で行う

当然のことであるが、この調整はGPS基準信号などの絶対精度が高い基準信号との比較で実施することは言うまでも無い

IMGP5630

下記の写真は、ユニバーサルカウンタ標準内蔵のTCXO標準周波数で、上記のOCXOを測定したものである

10MHz周波数で、+0.4Hzの測定となっている

IMGP5636

OCXO記事..

OCXOの校正 その1

恒温槽の中に、発振回路を入れて外部温度での発振周波数の変動を少なくしたものである
精度は一般的に0.1ppm以上

私は周波数を計測する時は、周波数カウンタの基準信号と基準信号の確認用として2個のOCXOを用いている
(GPSの10MHz基準信号で0.01ppm以下に2つのOCXOを較正(校正)したもの)

一つは周波数カウンタの基準信号に入力し、もう一つをその基準信号で計測するのである
計測した値で、0.1Hz以下の差であれば、一旦その周波数基準は正しいと判断して
その基準信号信号を用いて計測した結果は、概ね0.1ppm以下の精度で計測されていると思う

本来であれば、GPSでの基準信号か、ルビジューム等の基準信号が望ましい
これらであれば精度は0.0001ppm以上を確保出来る、その内GPSの基準信号を入手したいと思う

10MHzで+1ppmズレがあれば+10Hzであり、100MHzで+1ppmズレがあれば+100Hzである、1GHzで+1ppmズレがあれば+1KHzである
従って1GHz付近の周波数計測では、10Hz単位の計測でも0.01ppmの精度が要求されるため、基準信号の精度は非常に大切である

なお、OCXOはその構造上、常に通電している事が望ましい
私は経済的な理由で常に通電は出来ないため、OCXOを用いる時には2時間以上の通電してから利用している

IMG00292

(写真は5MHzのOCXOを逓倍して10MHzとして使用しているもの)

続きはこちら..