前回の続きのTS-700無印の電源不具合の追っかけである
不具合内容は、20V出力の電圧値が18V以下であり
強いて挙げると、通電中にキィーンと言う発振音が聞こえる事であった
私もサラリーマンなので、平日は普通に仕事である
平日だと中々この手を弄る時間が取れないのであるが、一日30分程度色々と弄っていたのである
<TS-700 電源部の回路 赤丸部分が今回不具合箇所>
この回路のミソはD2とD3の間である
DC入力の場合は13.8V、AC入力の時は整流後のDC電圧16.8VがD2のアノードに印加されている
Q1で発振したパルスをQ3.Q4-Q5.Q6で電力増幅して、そのプラス電圧分がD3のアノードに印加されて、電圧が倍圧される仕組みである
その倍圧した電圧をQ7.Q12で20Vに制限して安定化させている
当時としては凝った電源回路である
20Vを必要している理由は、終段の2N5642(元祖はモトローラ)の入力電圧を確保するためである
ちなみに、このトランジスタは125MHz~175MHzまで最大20Wを出力出来る(28V入力時)
前回も少し書いたのであるが、33μFのコンデンサの代わり10μFのコンデンサが3個並列に接続されていた
(回路図の赤丸のD9のとなりC18である)
この理由も分かったのであった
<3個連結のコンデンサと故障していたダイオード>
結論は、回路図の赤丸のD9(1N60)がショートモードで破損していたのである、更にD9に接続される100Ωの電流制限抵抗がパスされていたのである
その結果、D3のアノードへ印加される倍圧されるパルス分がC18を通してグランドに短絡したため、20Vラインの電圧が低下していたのであった
この電源を以前に修理した人は、最初にC18パンクの対処をしたのち、Q7のベース電圧が上がらない(すなわち20Vが出ない)のでD9に繋がる100Ωの電流制限抵抗を外したのであろう
その処置後C18の発熱に気が付いて3個のコンデンサので発熱を吸収させたと考えられる、Q1とL1の負荷による発振音は目をつむったのであろう
数十年もの年月が経つ機械である、経年変化もあれば改造等々もあるであろう
幸せな事は、当時の技術資料がネットで簡単に入手出来ることである
とりあえず電源ユニットは正常となり、定格の電圧の確認が取れたのである
まだまだ先は長そうである