OCXOの校正その4

我が家の基準信号として使用しているOCXOである
先日GPSからの10MHz基準信号と比較してので、それぞれの差分を再度確認してみる

IMGP6073

<2台のOCXOを比較してみる 電源投入後1時間以上してから比較を行う>

比較については、OCXO-Aの出力を周波数カウンタの基準信号として入力し、OCXO-Bの出力を周波数カウンタで測定するだけである
我が家で真面目に周波数測定(といってし大した確度ではないが)をする場合は、この比較を行って差が0.5Hz以内であることを確認した上で測定を行っている

水晶発振子には、エージングレートと呼ばれる発振周波数が時間とともに変化する特性がある
例えば、エージングレート±1×10^6 と書かれていれば10MHz発振子の場合で年間10Hz以下のズレが発生する可能性がある
従って水晶発振子を使用している場合は定期的に周波数の確認が必要となってくるのである
例え温度補償回路付きのTCXOであれ恒温槽入のOCXOであれ、水晶発振子を使用している以上は経時変化の確認は必要不可欠であろう

良くメーカオプションのTCXOを入れているから自分の送受信周波数は正確と仰っている方がいるが、仮に初期値は正確かも知れないが経年変化のズレに対しての確認は必要かと思う
HF帯域では数ppmのズレがあっても気づかないことの方が多いし、気にする必要も無いと思う

しかしUHF帯域以上でSSBやCWを行う場合は要注意であり、定期的に自分の無線機の送受信周波数の確認は必要かも知れない

と言うことで、先日校正した2つのOCXOを発振周波数を比較してみた

151112212446

<校正済のOCXOを比較 差は0.1Hz>

OCXO-A・Bの発振周波数の差は0.1Hz以下であった、さすがに校正したてである

我が家の標準周波数として、また暫くは活躍してもらうのである

ユニバーサルカウンタ TR5823

私が普段使用している、周波数カウンタはアドバンテストのTR5823である

IMGP5950

<ADVANTEST TR5823>

この周波数カウンタは、シリーズとしてTR5821,TR5822,TR5823の3機種ある
TR5821とTR5822の違いは本体にGPIB等の外部I/Fの内蔵可否である(5821は内蔵不可)
この2機種は入力端子が2系統あり、INPUT Aでは直接計数方式で10Hz~120MHzまで測定が出来る
INPUT Bではレシプロカル方式で、0.001Hz~50MHzが測定出来る

ちなみに直接計数方式とは、一定時間中(ゲートタイムと呼ばれる)のパルス数をカウントするので、周波数が低くなると測定桁数が少なくなる
レシプロカル方式は、パルス間隔を測定してその逆数を計算して周波数として表示する、但しパルス間隔の測定には限界あるので高い周波数の計測には用いられない

TR5823は入力系統が1系統増えてINPUT Cが加わり100MHz~1.3GMHzまで測定が可能となる
後、稀ではあるがタイムベースにOCXOを内蔵したTR5823Hも流通していた

いずれにせよ古い機械である、これらの機械を使って測定する場合は較正が問題となる
TR5323H以外のタイムベースは10MHzのTCXOを使用しており、その周波数較正は裏面から調整が可能である
(このトリマ調整もかなりシビアなので正確な基準が無い場合は触らないほうがよい)
確実なのは、GPSによる10MHzの周波数基準器の信号を測定することである

IMGP5951

<TR5823の後部パネル面 電源ケーブルの近くの穴がタイムベースのTC>

これらの機種は直接計数方式で測定した場合、ゲートタイム10秒時に8桁の精度で測定が出来る
これは10MHz測定時に0.1Hz単位での表示となり、測定精度を仮に0.1Hz単位まで求める場合は、タイムベースの較正は0.05Hzまで追い込む必要がある
10MHzでの0.05Hzは5×0.001PPMとなり、この精度での基準信号を出力出来るのは我々が入手出来る範囲ではルビジューム発振器かGPS周波数基準器位である

時計の精度に変換すると、ざっくりと年差0.1秒以下となる

何を測定するかは利用者に異なると思うが、例えば1.2GHz帯SSBの周波数誤差を120Hz以下にしたい場合は、0.01PPM単位での測定が必要になり、タイムベースは上記の例の通り5×0.001PPM以下に較正が必要となる

当然のことながら、各機種とも内蔵されているTCXOのタイムベースではそこまでの精度は厳しい
外部から基準信号が入力出来その周波数が10MHzであれば、GPSなどの基準信号を簡単に利用出来る
しかし0.5PPM程度まであれば内部タイムベースでも、較正用に周波数基準信号さえ用意出来れば十分に使える精度の確保は可能と思う

これらの機種は、電源コンセントに通電しておけば、本体の電源を切ってあってもタイムベースには通電されているため、ウォーミングアップ不要となる

程度の良い中古があればお勧めである、もしユニバーサルカウンタ(周波数カウンタ)の購入を考える場合は外部の基準信号の入力可否とその基準周波数は必ず確認すべきである
10MHzの基準信号を入力出来れば、基準信号の精度を高めることによりカウンタの精度確保が出来るからである

IMGP5952

<較正されたOCXOが、タイムベースとして便利>

OCXOの校正 その2

先日OCXOの校正(較正)について記載したので、直近の精度について気になったので、測ってみたのであった

確認の方法は、前回記載した内容と同じで、2つのOCXOの周波数を比較する方法である

比較方法は以下の通りである

1. ユニバーサルカウンタの10MHz標準信号にOCXO(a)の出力を接続

2. ユニバーサルカウンタ(周波数カウンタ)の入力にOCXO(b)の出力を接続

3. OCXOとユニバーサルカウンタの電源を投入して2時間エージングする

4. 周波数を計測する

今回の計測結果は、10,000,000.0Hz(8桁、ゲートタイム10S)なので、OCXO2個の周波数差は0.01ppm以下である

当然、GPS基準などの絶対値からの比較では無いので絶対差では無いが、OCXO2個が同一方向方向の周波数ズレが生じている確率は低いので、予想値として0.1ppmの範囲には入っていると考えている

しかし、いずれはGPSの10MHz基準発振器が欲しいと思う

(下記のユニバーサルカウンタは ADVANTEST TR5823)

IMGP5629

ちなみに下記の写真は、私が使用しているTOYOCOM TC0-612L OCXOである

発信周波数の較正(校正)は、端子に取付た多回転半固定抵抗で行う

当然のことであるが、この調整はGPS基準信号などの絶対精度が高い基準信号との比較で実施することは言うまでも無い

IMGP5630

下記の写真は、ユニバーサルカウンタ標準内蔵のTCXO標準周波数で、上記のOCXOを測定したものである

10MHz周波数で、+0.4Hzの測定となっている

IMGP5636

OCXO記事..