真空管 から トランジスタとIC化 そしてSDRのことをちょっぴり

増幅素子のミニ変遷である

この4つの部品は皆、増幅素子なのである
そもそも増幅素子とは、元の信号をより大きな信号や電力に変換する部品である

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写真の一番左は一般的な信号増幅用真空管である
真空管は、グリッドに加えられた入力電圧の変化が、プレートとカソード間の電気抵抗の変化となる
一般的にはプレートには200V位の電圧が印加されているので、グリッドに加えられた入力電圧の変化がプレート電圧の変化となり、増幅度は大きい
プレートへの印加電圧は高いが、電力増幅管以外では電流はあまり流せない

写真の左から2番目はゲルマニュウムトランジスタである
このタイプのトランジスタは、ゲルマニュウムを使用している初期の頃のトランジスタである
今のシリコントランジスタとは材料も作り方も価格も大きく異る
トランジスタは、ベースとエミッタ間の入力電流の変化が、コレクタとエミッタ間の電気抵抗の変化となる
ゲルマニュウムトランジスタはベースとエミッタ間の電流が流れ始める電圧値が約0.2Vと低い
従って、単純に現在のシリコントランジスタへの置き換えは簡単には出来ないことが多い

写真の左から3番目はシリコントランジスタである
このタイプのトランジタは非常にポピュラーなものである
材料の高純度なシリコンも安く量産され、技術の進歩で高い周波数まで対応が出来る
入力信号から出力信号の取り出し方は、ゲルマニュウムダイオードと同じである
但し、シリコントランジスタはベースとエミッタ間の電流が流れ始める電圧値が約0.6Vが標準的である
電力増幅用のトランジスタは、コレクタとエミッタ間の電流が多く流せる

一番右は電界効果トランジスタ(FET)である
この電界効果トランジタはゲートに加えられた入力電圧の変化が、ソースとドレイン間の電気抵抗の変化となる
一般的なトランジスタは入力は電流値なのに対して、電界効果トランジタは電圧値である
そのことは、真空管と同じく入力のインピーダンスを高く取れるため、高周波信号増幅によく用いられる

現在ではシリコンを材料としたIC化が進み、最近ではデジタル回路の高速化が著しくなりDSP(ディジタル信号処理)搭載のチップも多い
DSPでアナログで処理をしていた帯域フィルターや検波などがチップ内で処理が可能となっている
チップ内部のソフトウェアを書き換えると色々なフィルターや復調処理が可能であり、そのチップを使用した受信機をSDRと呼んだりしている
しかし、DSPのプログラミングは一般人には難しくチップの種類毎での互換性は殆どない、よく言われることにソフトを入替えて色々な受信機が出来るというのは嘘ではない、しかし一般人は神様が作ってくれるかも知れないソフトウェアのリリースを待つしかない (神様はアマチュアが好みそうなSSBとかよりも、需要が桁違いに多い携帯電話などのデジタル処理に興味がありそうであるし、神様も大変忙しそうである)

メーカの開発者であれば、部品点数が大幅に減らせるDSPを使ったSDRのアドバンテージは高いのであるが
量産をすることがない、一般人はディスクリート部品で遊んでいた方が自由度は高いと思う(2015現在)のである