昔の4pinマイクアダプタを作ってみる

本当に今更ながら、昔の4pin仕様のマイク変換アダプタを作ってみた
私の所にある1970年代の機械たちは、八重洲製が2台とその他2台であり、すべて4pinのマイク端子は八重洲仕様に統一してある

先日、件のTS-700GⅡが到着したのであるが、昔のTRIOの機械で使えるマイクが無いのであった
送信調整ではマイク端子にワニ口クリップで、発振器から信号を入力して計測していたが、実際の声を入力する手段が無い

1970年代の頃は4pinマイクが主流であり、モービル機までが4pinのマイク端子を備えていたのである
只、この頃は無線機自体のマイク入力のインピーダンスが従来の50KΩから600Ωに切り替わる頃だったので、マイク自体の出力インピーダンスが50KΩと600Ωの切替え式も多く存在した

まぁ冷静に考えて見ると、マイクの物理的な形状は全く同じなのに、動作しないのは複雑なことであった
我が家でも、同じ八重洲製なのに、FT-101Eは50KΩのマイク・FT-101Zは600Ωのマイクである

で、件のTS-700GⅡは600Ωのマイクなので、FT-101Zで使っているマイクと共用出来そうである

けれど、いちいちマイクコネクタのハンダ付けを変更するは、面倒極まりない
そこで、本当に今更ながらYASEUとTRIOの4pinマイクのアダプタをでっち上げてみた

マイクコネクタ
<YAESU と TRIO マイク端子比較>

図を見ていると、単に右に90度回転させると、端子が一致することに気付いたのである
この手のアダプタに手間を掛けたくないのと、シールド付きの4芯線の手持ちがないので
メスコネクタとオスコネクタを90度回転させてハンダ付けして、でっち上げたの下記の写真
メスコネクタの金属部をマイクのグランドに接続している

IMGP5853

IMGP5855

<昔の機械用 YAESU→TRIO マイク変換アダプタ>

とりあえず問題無くは動作している

その後マイクの高機能化(UP-DOWN等)により、マイクコネクタの端子数は増えて専用化が進む
近年ではコンピュータ用RJ-45モジュラー端子となっている
いずれにしても、専用マイク以外はそのまま使えないことが多いのである
(アダプタも販売されているが....)

たかがマイク、されどマイクである 21世紀になってもやっぱり変わっていないと思うのであった

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その6 送信調整

この連休中に色々と突いていたTS-700GⅡであるが、やっと送信調整出来る段階となった
先週の到着時に、ざっと測った所FMで4W位の送信出力であった

準備として、パワーメータとダミーロードを接続する
とりあえず、FMモードで確認を行う

まずはMIX UNITの調整が先であるが….
調整するトランスが蝋で固められているので、一旦はパスした
(安直すぎるかも知れないが.. )

なお、ALCの半固定抵抗は、ここでは弄らないでおく
次にフィナルユニットである
まずは、DRIVE(PreSeleter)を送信周波数に合わせる
パワー計を見ながら送信を行い、FINALを最大値に合わせる (パネル分解後はここでツマミ位置を合わせる)
この後に、フィナルユニットのトリマコンデンサを終段から、パワー計の最大値に調整する

IMGP5827

<フィナルユニットは下面であり 丸印が調整箇所>

数回繰り返した所で、約12Wの出力が確認出来たのであった
(ALCを弄ると出力は上げられるが12W以上は出していけない)

次に、マイク端子の音声に1.5KHz程度の音声信号を入れる
USB,LSBそれぞれで出力を確認してみる
パワー計は約12W程度でこれも良好である (キャリア調整は又別途)

ちなみに、FM 無変調時の送信時のスペクトラムを測ってみた
測定範囲には輻射信号は無いのである (IMDは未測定)
とても素晴らしい機械である

IMGP5809

<100MHzスパン 全く綺麗である>

IMGP5811

<500KHzスパン これも非常に綺麗である>

今は、145MHz帯も昔と異なりガラガラである ガラガラに空いているのに144MHzの下方でわざわざ、お話している方々がいるのであるが不思議なことである

今更この機械をメインで使う事はないと思うが、さすが当時のメジャーマシンである
受信感度はイマイチ感があるが、とても良く出来た機械である
我が家の、ミニミュージアムにまた一台機械が増えたのであった
(追加申請が面倒ではある…)

それって粗大ゴミでしょ!! と言う声には負けていられないのである

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その5 受信の調整

今回は、一通りの整備を行ったTS-700GⅡの調整作業である

ネット検索すると、TS-700無印のサービスマニュアルは簡単に入手出来たのだが
TS-700GⅡのものは私は探す事が出来なかった
今回の修理は、TS-700の回路図とプロック図を参照していたのであるが、やっぱりマイナーチェンジで変更されている所が多々ある
従って調整作業については、資料が入手出来るまで項目によってペンディングとなる

又、TS-700GⅡの資料については、ネット以外のルートで探してみたいのである

さて、調整であるが 最初にキャリア周波数の確認である
CARRIER UNITのUSB,LSBの発振周波数と発振レベル調整である
これは、USB 10.6985MHz LSB 10.7015MHzの周波数を確認して、T1を最大値に調整する
この内容はTS-700無印と全く一緒である
正確な周波数カウンタが無ければここは触らないの無難である

(最終的にはフィルタの特性に合わせることになるが、最初の基準点の調整は必要)

次にHET UNITであるが、調整するトランス類は蝋で固定されている
安易であるがここでは、125MHzと126MHzの発振周波数の確認をした
ほぼ問題無しであった
(厳密にいうと数10Hzのズレはあったが、L1とL2の蝋を溶かして再調整するほどではないと判断した)

その後は、受信調整である
本来は、きちんとしたSG(SignalGenerator)を使うべきである
残念ながら、私はきちんとしたSGは持っていないので、その代用としてHF帯のパルスジェネレータを利用した
方形波出力なので、マーカ発信器と同じ理屈で使えるのである
但し出力レベルは全く当てにならない

IMGP5821

<信号源に使った方形波のジェネレータ 本来はSGを使うべき>

145MHzの1/5は29.000MHzである この周波数で方形波発振しアンテナとの結合を調整すれば、とりあえずはそれなりの信号源になる
ハンディ機で出せばと言う方も多いが、アンテナ端子にダミーロードを付けても強すぎて受信信号の調整には使いづらい

かなり離せば良いかも知れないが、これも操作性に難がある
グリッドディップメータで良いが、操作性でパルスジェネレータを使用したのである
(HF機はグリッドディップメータが便利である)

適当な信号源が用意が出来た所で、145.00MHzで受信調整を行う
AMモードにして、Sメータが3-5位の信号を受信する
DRIVEツマミを回して、Sメータが最大値の付近に合わせる この位置がDRIVEの145MHzの位置となる
再度Sメータが3-5位になるように信号源との結合を調整する

ここから、RX NB UNIT の調整である

IMGP5820

<写真はRX NB UNIT 丸印が調整箇所>

Sメータを見ながら、4つのトランスをSメータが大きく触れる様に調整する
これを、144.00MHzと146.00MHzでも確認をする (DRIVEは都度合わせること)
DRIVEの位置を確認して、ツマミを固定して、受信調整は終了である

話は飛ぶが、何故にTRIOはプリセレクタをDRIVEと言ったのであろうか?
普段FT-101Eを使っていると、この部分だけが違和感がある

送信調整編に続く

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その4 外観とインジケータ等々の整備

今回は、TS-700GⅡのインジケータや外観の整備である

一通り動作の確認をしながら、その不具合の対応をして来たTS-700GⅡである
今回は、RITのインジケータの球切れの交換から入る
インジケータの球は麦球であり、探せば入手は可能と思うが面倒なので
手持ちの高輝度LEDを使用した MAX20mAの白色LEDである
電流制限抵抗は1KΩとし14Vが印加されても最大電流は15mA以下である
横の「ON AIR」のインジケータも暗いので、一緒に交換することにする

IMGP5822

<高輝度LEDに交換したインジケータランプ 裏面より>

バネルやエスカッション類を含んだ外観は中性洗剤で洗い、完全に乾燥させる
ツマミ類も歯ブラシなど活用して、中性洗剤で洗い汚れを落とす
各ツマミのイモネジに軽くCRC-556を含ませた布などで、サビを落とす
一通りのクリーニングを実施して、フロントパネル面を順次組み立てを行う

実際にフロントバネルの分解・組み立ては面倒である
しかし、当時の機械がいかに、材料を含めて気合が入っていたかが理解出来るのである
VFOのダイアル窓は本物のガラスである
当時のデザイナーと外装設計は本当に大変だったのではないかと思ってしまうのである この外装を現在で同じモノを作るとしたら、とても高価なモノになるだろう 当時の大卒初任給 9.2万円 当時のTS-700GⅡの定価 134,800円 現在の価値で計算すると約30万円近くの超高級機だったのである

さて、とりあえず最組み立てしたフロントバネルである
レストア物までは綺麗にはならないが、まぁ実用上は問題ない範囲である
ここまで来ると、ボ○が無線機らしく見えて来るのも不思議である

IMGP5823

<最組み立てしたフロントパネル>

組んだ後は、フロントパネルのツマミ位置の調整である
ツマミ位置が確定されない、RITやDRIVE・FINALのツマミ位置については受信調整と送信調整と合わせて行う必要がある

次回は受信調整編

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その3 固定チャンネル発振停止やマーカ修理

シルバーウィークも3日目である (ちょっとしつこいのであるが)
本日もTS-700GⅡを突いていのるであった

さて昨日はVFOを片付けたのであるが、その後色々とチェックした所、固定チャンネルの状態が思わしくない
固定チャンネルの状態で、チャンネルランプが点滅するのである

まあ、このTS-700 GⅡを現役復帰させた所で、固定チャンネルを使う事は少ないと思うのであるがそうは言っても、気持ちが悪いのである

TS-700で素晴らしいのは、VFOや固定水晶の発振が停止すると、パネル上のランプも消灯するのである
なので、オペレータはこの表示で、正しく動作しているかを確認出来る
この不具合については、VFOランプは常時点灯なのに対して、固定チャンネルだけが消灯するのである

で、ブロック図を参照すると、HET UNITのQ1かQ2辺りの水晶発振回路か発振増幅回路ではないとか予想してみる

IMGP5806

<HET UNITの発振状態を追ってみた所>

オシロスコープでQ4のコレクタを確認した所、発振の振幅がチラチラと変化してるのが確認出来た
まずは、HET UNITのQ3 2SC470 を交換してみる
発振の振幅は大きくなったが、まだ発振の振幅が変化する、固定チャンネルのランプもチラツキが大分減ったが、まだ多少のチラツキがある
で、Q4の2SC470も交換してみる
これで、発振の振幅は一定となった

IMGP5808
<交換した箇所>

さて次に新たに見つけた不具合は、マーカが動作しない事である
それなり正確な信号源はあるので、家で使う分には周波数校正で困る事は無いと思うが、これもやはり気持ち悪いので修理にチャレンジした
これは、TS-700とTS-700 GⅡでは構成が異なるである
TS-700は1MHz発振で、VFOの起点と終点で校正を行う、TS-700 GⅡではロジック回路で分周して100KHz出力となっており、100KHzのポイントでVFOの校正が可能となっている

で、原発信のオシロスコープで確認するとこれも発振不良である、とりあえず2SC458を2SC2668に交換してる
バッチリである、発振を確認すると綺麗に発振している
周波数カウンタで100KHzの調整を行う 低い周波数の場合はレシプトリカル方式の周波数カウンタが必要である
100KHz出力をトリマで合わせ込んでマーカの修理は完了なのである

ちなみに今時の機械でマーカを使用する事は無い
マーカとは正確な周波数で発振する発振回路に出力を故意に歪ませた発振回路で、出力が歪んでいるために百数十倍位の逓倍波が放出される
その逓倍波を受信して、基準信号としてVFOを校正するのに用いる
VFOを使用している機械は殆ど搭載していた機能である

IMGP5805

<TS-700GⅡのマーカユニット>

新たな問題が…
マーカで、VFOのリニアリティ(VFOの目盛りと周波数の同期)を確認したのであるが
VFOの始点付近で、3KHz程度のズレがあるのである (>_<)
この調整には、VFOのカバーを外してバリコンの羽を調整する事になるが、超面倒そうである
この癖を覚えておけば良いので、今回はこのままにすることにした

必要なら、件の周波数カウンタのTS-700対応版を作って、TS-700Sもどきとする手も無くはない

次回に続く

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その2 VFOが発振停止する周波数への対応

シルバーウィークの2日目である
相変わらず、予定の無い私はボ○のTS-700GⅡを突いているのであった

さて、前回に続いて今回はVFOの修理にチャレンジすることとする
現象は、14X.4MHz以下と14X.6MHz以上でVFOの発振が停止することである

TS-700のVFOは8.200MHz~9.200MHzまでをカバーしている
(後、500KHz高ければFT-101のVFOと高低逆になるが互換性が有ったのに残念である)
症状として、8.600MHz付近から8.800MHz付近までしか発振していないのである

で、まずはバラシである
フロントのツマミ類とエスカッション類を取り外す
この機械は、移動運用等で水を被ったと思われる後がある
VFOのノブはサビで固着しており、取り外すのにCRC-556の助けを借りながら、小一時間も掛かってしまったのである

IMGP5791

<ツマミ類を外した写真>

その後、VFOの固定ネジ4箇所を外して、やっとVFO単体が取り外し出来る

IMGP5792

<VFOを取り外した所>

その後、VFO単体で動作確認を行う
この頃のVFOは単体で動作確認と調整が出来るので、この点は便利である

IMGP5793

<VFOの単体チェック>

その状態で、発振停止したVFOの回路をオシロスコープでチェックしていくと、Q1 3SK22が発振していない
オシロスコープのプローブであちこちを突いていると、一瞬発振する時があることを確認した
と言うことであれば、発振コイル・バリコンのどちらかの不具合と予想して、コイルを突いても状態が変化しない
バリコンを突いてみると、ロータ側の軸付近を突くと状態が変化するのである
機構を良くみると、板状のスプリングでロータのアースをしている
この板状の通電スプリングの接触不良である

IMGP5796

<通電スプリングの写真 ドライバの先端が通電スプリング>

で、対処として接点クリ-ナを掛けながら、細めのタコ糸で接点を清掃する
タコ糸を通す角度を変えながら、綿密に清掃をする
その結果は、8.2MH~9.2MHzまで全周波数問題無く発振することが確認出来た

その後、VFOのギアにごく少量のグリスでグリッスアップを行い、VFOのケースを取り付け発振レベルと発振周波数の確認を行った
周波数でのレベル変動は殆ど無く、周波数もピッタリである

IMGP5797

IMGP5802

とりあえず、本体と繋いで動作確認を行う
おぉ 問題なく全周波数の受信が出来るのである (^_^)v

この後は、フロントパネルの清掃やら、インジケータ球切れや、全体調整を行う予定である
まだまだ、道のりは遠そうなのである

固定チャンネル修理編に続く

 

TS-700GⅡ の修理にチャレンジ その1 FMが聞こえない

シルバーウィークの始まりである、私はこれといった予定が無いので先日 林大先輩から贈呈いただいた、TS-700GⅡの修理にチャレンジしてみることにした

不具合箇所は沢山あるが、まずFMが受信出来ない不具合を追ってみる事にしたのである
(VFOの修理はパネル分解が必要なので簡単な所からチャレンジしてみる)

TS-700_block
<TS-700のブロック図である>

ブロック図を見ると、FM受信の時は’FM IF UNIT’に10.7MHzに変換された信号が入力されて、10.7MHzセラミックフィルタ通過後に、455KHzに再度変換され、その後にFM検波となっている
この回路を追えば、この不具合は直りそうではある

で、近くのハンディ機で145.48KHz付近でFMを出してみる
なぜなら、VFOが145.40以下は発振していなさそうなので、受信が出来る所でテストしてみる

音声は聞こえないがSメータは振り切れているので、受信の基本機能は正常そうである,’FM IF UNIT’’の入力には10.7MHzの信号は入力されているのである
次に455KHzの変換出力を確認すると455KHzのIFが出ていないのであった…

そうなると当然、第2局部発振の10.245MHzの正常発振の確認が必要である
’FM IF UNIT’のQ7 2SC460のコレクタにオシロのプローブを当ててみる
ビンゴであった 10.245MHzが発振していないのである

只この場合は10.245MHzの水晶発振子のアクティビティ低下も考えられるが、まずはQ7を換えてみることにしたのである

IMGP5804

<白丸部分が換えたトランジスタ>

2SC460なんて多分入手は難しいと思うので、手持ちの2SC2668を代用品で使ってみることにした
代用品を使う際に気を付ける事が一点ある
2SC460の足は、品種のプリント面の裏面から’E’,’C’,’B’の順となっているのである
最近の石で代用する場合は、取り付け方向には十分に注意すべきと思う

さて、トランジスタを換えてテストをしてみると,10.245MHzの発振が正常となったのである
この不具合については、FM IF UNITのQ7 2SC460の不良である

IMGP5789

<発振の確認画面>

ハンディー機で自分の声を送信してみると、音声の確認が出来たのである
この件の修理はOKそうである

IMGP5788

<動作不良の2SC460>

 

しかし、この後が大変(と言うか面倒)そうである

VFOの出力は、ピンコネクタなので簡単にチェックは出来る
オシロスコープで、VFO出力を確認してみる
やっぱり、VFOの周波数位置でVFOの発振が止まることが、確認出来た

VFOの修理編に続く

 

1970年代 の最新鋭機 FT-101Z

FT-101Zなのである

この機械はFT-101と名乗っているが、中身は全く違う機械である
(マーケティング上の配慮で、FT-101の名前が残されたと思う)

IMGP5779

この機械も、故障品の貰い物である (ZSDの100W改)
ある日、受信しか出来ないFT-101があるので、欲しかったら上げるとの申し出が有ったので、有り難く頂戴してきたマシンであった。
もう、かなり前なので、自分が手を加えた内容は忘れてしまったが
12BY7Aのカットオフ回路が焼けていて、12BY7Aがボケていた

IMGP5781

<その時の12BY7A  ゲッターの鏡面が白く濁っている>

焼けていた抵抗を修復し12BY7Aを交換した所で、送信が可能となったのである
>12BY7を快く恵んで頂いた 大先輩の矢花氏大変ありがとうございました

その後、取扱説明書に従って確認調整をした所、IF widthの周波数ズレとクラリファイアのズレ、終段の中和でほぼ所定以上の出力も出る様になったのであった

この機械は出力管が本流FT-101の6JS6Cから6146Bに変更されている
この頃の機械は28MHzが50Wに制限されている(本流FT-101には制限は無かった)
私の場合は28MHzで50Wも出れば実用上問題ないのであるが、取敢えず終段管へのスクリーングリッド電圧の制限を外して100W化とした (何故か回路図には記載されていない)
さすが6146Bである 29.7MHzで100W以上の出力が確認出来た

最近はあまり使用する機会が少ないが、WARCバンド対応機なので18MHz,24MHz,そして28MHz帯に出る時に使う程度である
(最近は根性無しで殆ど出ていない)

内部の周波数構成は本流FT-101と全く異なり、当時のフラグシップFT-901の兄弟機である
面白いのが、FMユニットとAMユニットがoptionでどちらかかを選択出来る
ちなみに私の機械はAMユニットが装着されている

更に私の機械は、周波数カウンタ付きのFT-101ZSDである
100Hz単位で送受信周波数の直読が出来る 素晴らしいことである

当時の高級機らしく機能てんこ盛りなのであるが、送信時の調整に使用する’MOX’-SWは都度VOXツマミを左に回し切る必要がある
どうしても、送信時のファイナル調整の時に違和感が残ってしまう
VFOの操作感は、ギア感がなく本流FT-101の操作感とは異なり、VFOの増減方向も本流FT-101と逆である

何気に気になるのが、マイク入力インピーダンスである、本流FT-101は50KΩだったのに600Ωに変更されている
本流FT-101のマイクがそのまま使えないのは残念である

IMGP5775

<写真は50KΩと600Ωの切替付きのYD-844A>

IMGP5778

<底面にもSWが有り、手で持つと送信され 倒れても送信される お茶目なマイクである>

 

全く個人的な考えであるが、この機械は古い機械を使っている感じがしないのである
それだけ完成度が高かった機械だと思うが、私的にはWARCバンドの専用機となってしまうのである

TRIO TS-700GⅡ いわゆるジャンク品

これまたズバリ1970年代の機械である

発売時期は1975年位であろうか、FT-101Eとほぼ同じ発売時期と思う
この機械は、友人がわざわざ仙台から発送してくれたのであった

発送の経緯は以下の通りである
そういえば使っていないTS-700あるけど、お前は古い機械が大好きだよな
電源コネクタ改造してあるけど、送るから遊ぶといいよ!

と言うことで、粗大○○がまた増えてしまったのである
(送って貰っておいて、我ながら失礼な言い方だと反省してます)

IMGP5763

<外観は年代相応って感じ>
さて、送って貰った TS-700 GⅡであるが外観は年代相応である
フロントパネルはツマミの止めネジのサビ以外は、特に問題なさげである
VFOの回転はスムースで違和感は無いし、各ツマミ類の操作も大丈夫そうである
リアパネルは、純正の100V/12Vのコネクタから100V専用のメガネコネクタに換装されている
カバーの内側は、比較的綺麗である
水晶発振子が32と48が2個搭載されていたのであるが、同じ48の水晶2個は何に使っていたのであろうか?

IMGP5764

<電源コネクタが換装されている>

送り主からは電源は入るよ!  とのことだったので、電源を入れて状態確認をしてみた

現在の時点でざっくりと確認した不具合は以下の通りである
・VFOの周波数ズレ
・VFOの位置によってVFOの発振停止
・FMが受信出来ない (Sメータは振るが、ザー音以外聞こえない)
・RITのインジケータが点かない
・送信出力が5W程度しか出ない

IMGP5765

<上面内部は比較的綺麗である>

IMGP5766

<下面内部も比較的綺麗である>

TS-700シリーズは、1970年代の垂涎マシンであった
当時は145MHzの利用者が急増していた時期で私みたいなプアマンは、中古の12CH機でFMの空きチャンネル探しで大変だったのである
TS-700はVFOでのバンド内全カバー and オールモード機でだったのでとても羨ましい限りであった
当時、アクティブに145MHz帯に出ていた方々は結構な割合で、TS-700を使っている人が多かったのである
TS-700シリーズはG,GⅡ,最終的に周波数デジタル表示のSにマイナーチェンジされた

まさか、あれから40年も経ってからTS-700GⅡがやって来るなんて夢にも思わなかった
まずは、TS-700を勉強しないといけないのである

送って頂いた林先輩、ありがとうございます 楽しく遊ばせて頂きます のである

 

FT-101 の周波数構成について

FT-101 は取扱説明書に、動作原理の詳細が記載されている
当時は、趣味と言えども無線機の購入者を技術者として考えていたのかも知れないのである
この取扱説明書の動作説明について、受信系統の勝手な補足をしたいのである

取敢えず、FT-101の受信ブロック図を作成してみたのである
(もし間違い等があればご連絡下さい)

FT-101_recv_blck

<図をクリックすると拡大>

 

受信信号は高周波増幅を行った後に、第一局部発振の信号と混合される
例えば 7.100MHzを受信する場合は以下の通りとなる

IMGP5735

 

第1局部発振周波数=13.020MHz 受信信号は7.100MHz
混合後の第1中間周波数 = 13.020MHz – 7.100MHz  =  5.920MHz

注意すべきはFT-101の初段中間周波数は6.020MHz~5.520MHzへ500KHzの帯域全体が変換される事である
すなわち7MHz帯を受信している場合は、7.000MHz~7.500MHzまでの帯域全体が6.020MHz~5.520MHzに変換される
変換後の周波数は局部発振周波数と受信周波数の差分であるため、受信周波数が7.000MHzの場合6.020MHzとなり、7.500MHzの場合5.520MHzとなり、帯域のスペクラムは反転する

局部発振の周波数は、バンド切替えによって水晶発振子が切り替わるのである
(発振周波数は図を参照)

VFOの発振周波数は9.200MHzから8.700MHzである
初段中間周波数の帯域スペクラムが反転しているので、VFOの周波数も9.200MHzが最小値0KHz(500KHz)であり、8.700MHzが最大値500KHz(1000KHz)となる

FT-101の場合3.180MHzが第2中間周波数として設定されている
従って、第2混合回路で、初段中間周波数6.020MHz~5.520MHz (500KHzの帯域)からVFOの発振周波数の差分が3.180MHzとなる周波数で同調される
受信周波数が7.100MHzの場合、5.920MHzに変換されているのでVFOの発振周波数は9.100MHzで同調する
混合後の第2中間周波数 = 9.100MHz  –  5.920MHz  =  3.120MHz

VFOの発振周波数は最小点から100KHzのポイントになり、最小点9.200MHzから0.1MHzを引いて9.1000MHzとなる
FT-101の選局は、第2局部発振のVFO発振周波数の変化で行っているのである

第2中間周波数3.120MHzに変換された信号は、中間波増幅を経て水晶フィルタで帯域幅を2.4KHzとする
フィルタの帯域はモードによって選択される
更に、中間波増幅を経て検波する

FT-101のSSBの検波は、リング検波器を使ったプロダクト検波である
キャリア信号の3.815KHz又は3.785KHzと第2中間周波数の周波数差分が音声として復調される

以上が、ざっくりとしたFT-101の受信信号の流れである

件の周波数カウンタでの、デジタル直読を行うためのオフセット周波数の根拠は上記の内容から求められるるのである
7MHz帯のオフセット設定周波数は局部発振周波数と第2中間周波数(第2混合で選局を行うため)の和となり
周波数表示値は以下の式である

オフセット周波数(13.020MHz+3.180MHz)-VFO発振周波数(例は9.100MHz) = 7.100MHz

IMGP5734

ちょっとした頭の体操ではある